見出し画像

TikTokマーケティングにおけるOperational Excellenceと向き合った話。

はじめに
※ この記事は、B2Bマーケティング Advent Calendar 2023の記事です。


1. 自己紹介

はじめまして、株式会社TORIHADAでCOOを務めております、卯木研也(うのきけんや)と申します。略歴は以下の通りです。

株式会社TORIHADA COO / PPP SUDIO株式会社 CEO 卯木 研也(うのき けんや)

早稲田大学を卒業後、2013年サムスン電子ジャパン株式会社に入社。事業企画部にて営業戦略の設計などを担当後、株式会社サイバーエージェントに転職。同社アドテク本部にてプロダクトセールス部門のマネージャーを担当。App Annie社(現data.ai社)に転職後は同社SaaSにおける新規営業に従事し、2021年よりTORIHADAに参画。営業統括、事業統括を経て2022年10月に取締役 COOに就任。2023年10月、子会社であるPPP STUDIO株式会社代表取締役に就任。

元々広告業界にいたこともあり、インフルエンサーマーケティング特有の商習慣やオペレーションに対して、まだまだ改善できる領域がたくさんあるなと感じており、今回は業界課題をシステムで解決し、可能な限りOperational Excellenceを実現させたいという弊社の取り組みを、一部ご紹介したいと思います。そのプロセスにおいてtoBマーケティングにおいても役立つ情報が発信できていると幸いです。

2. TikTokマーケティングにおけるオペレーションの課題

TikTokマーケティング(引いてはインフルエンサーマーケティング)におけるオペレーションで最も根が深い課題、それは「属人化」に尽きます。最終的なアウトプットが人である故にイレギュラーが多発し、広告のようなシステマチックなアプローチができず、人的なリカバリーが必要になる等、オペレーションのノウハウが属人化しやすいといった傾向があります。

これはインフルエンサーマーケティングはもちろん、インフルエンサーのマネジメントでも同様の事象が発生しており、必要がない領域においても人が介在している、且つそれがひとつの価値になっているような側面があります。High Touch アプローチこそが正義!的な部分ですね。確かにそういった価値提供の手法もありつつ、ノウハウを属人化させずマネジメントの再現性を高めた方がより多くのクリエイターの方に良質なサービスの提供ができる&もっと人が介在すべき部分に人のリソースを使った方がクリエイターにとってもメリットあるよね?といった根源的な価値の在り方に即した時に、可能な限りシステマチックに効率化したいと思い立った次第です。

3. 具体的な課題点と解決策としてやったこと

本取り組みに際して使用したツールは「 Salesforce」のみです。理由は色んなツールを使うのが手間というのと、最終的に売上や利益にどれくらい貢献できているのかを可視化したかったので、CRMとして社内で機能していたSalesforceを軸にTryしました。下記に使用したサービスを記載いたしますが、当方Salesforceにめちゃめちゃ詳しいわけではないので、もっとこうした方が効率的じゃん!というご意見があれば、是非いただきたく。(めっちゃあると思います。)

MECEな管理体制を実現させるには、オブジェクトの設計が何より肝なので、弊社は下記の設計を行いました。

・リード:受発注を行う可能性がある見込み客(クリエイター含む)を管理
・取引先:受発注を行う企業を管理
・商談:各取引先との商談状況の進捗を管理
・取引先責任者:各商談における担当者を管理
・案件:各商談における各クリエイターとの制作進捗を管理
・クリエイター:発注を行うクリエイター情報を管理

ビジネスモデル上、商談とは別にクリエイターサイドの情報管理が必要となるため、「案件」と「クリエイター」のカスタムオブジェクトを作成し、その中に属人化しやすいクリエイターとのコミュニケーションログや、クリエイターの案件進行上の特性を蓄積できるような設計にしております。

上記設計に基き、本取り組みで解決した具体的な課題とその解決策に関して、下記3点でまとめさせていただいております。

a. 業務プロセスの属人化

■ 発生していた課題
リード獲得→案件受注→案件納品→請求に至るまでの各業務プロセスがルール化されておらず、属人化していた&情報の所在が点在していた

■ 解決策
・Account Engagementでチャネル別にフォームを作り、リード情報と流入元を一元管理
・リード→コーポレートのリファレンスチェックを承認プロセスで完結
・各クリエイターをSalesforce上の商品情報(繰り返しですがあくまでSalesforce上での表現です)として選択できるようにし、クリエイター毎の毎月の売上/請求情報を一元管理
・案件オブジェクト内にて各クリエイターの動画制作進捗を一元管理
・受発注書類や納品書をDocuSign上で作成し、且つそれぞれの書類を商談や案件毎で管理

これまでメールやLINEや電話等、様々なチャネルで強引に業務を遂行していた&各業務プロセス毎にスプレッドシートが乱立していた環境を、全てSalesforce上に集約させました。これにより取引先やリードチャネル毎のLTVの管理はもちろん、クリエイターサイドの売上情報を管理できるようになったことで、クリエイター毎の需給予測やそれに応じた価格調整を行う等、戦略的なプライシング設計の実現に寄与しました。

b. クリエイターマネジメントの属人化

■ 発生していた課題
クリエイターマネジメントにおいて必要な日々の情報(フォロワー数の変動 / 投稿した動画の再生数推移 / コメント欄の状況等)に関して、アナログに各SNSへ確認しに行く必要があった

■ 解決策
・各プラットフォームからAPIで情報を取得し、Salesforce内のクリエイターオブジェクトに統合
・各クリエイターのフォロワー情報や投稿動画の再生数等に変化が発生した際、Slackで担当マネージャーに通知
・各動画のコメント状況に大きな変化が発生した際、Slackで担当マネージャーに通知

これまでアナログに確認していたクリエイターの各種情報をデータとしてリアルタイムに吸い上げることで、担当マネージャーの即時対応を可能とし、クリエイターからのエンゲージメントを高められる環境を構築しました。また3点目に記載のあるコメント状況の変化に関しては、動画の炎上をいち早く察知し、クリエイターのケアや即時でのトラブルシューティングを実現できる等、昨今課題になりやすい炎上リスクにおけるディフェンス面にも寄与しております。

c. クリエイターとの情報共有の属人化

■ 発生していた課題
・クリエイターとのコミュニケーションツールが乱立しており、コミュニケーションログが集約されていないことによる認識齟齬や、制作遅延が発生していた

■ 解決策
・Experience CloudとMobile Publisherを使って案件の進行状況をリアルタイムでクリエイターに共有
・毎月のクリエイター毎の請求情報をMobile Publisher上で共有
・Mobile Publisher内のChatter機能でクリエイターとのコミュニケーションログを一元管理

特にクリエイターとのコミュニケーションログを情報として管理できていることは、クリエイター毎のイレギュラーリスクの可視化(指定した期日から平均●●日ズレる傾向がある、動画初稿の提出に平均●●日かかる等)に繋げられており、TikTokマーケティングにおいて差別化となり得る「安定したクリエイター進行」の実現に寄与しております。

4. 今後やりたいと考えていること

今後は蓄積したデータを基にクリエイターの信用情報を弊社独自にスコアリングし、よりクリエイターが経済的安全性を持った上でチャレンジできるような世界観を実現したいと考えております。この領域は諸々のハードルが高いため具体の事業化はまだ先になるかと思いますが、弊社のパーパスである「意思ある個人による新しい経済をつくる」上での、コアデータとして機能する日が必ずや来ると信じております。

5. まとめ

以上、TikTokマーケティングにおけるOperational Excellenceに向き合った話と題しつらつらと記載いたしましたが、まだまだExcellenceには程遠い状況かと思いますし、よりBestな環境を構築するためにも、皆様のような優秀な仲間を必要としております。上記は一例ではございますが、属人化しやすい&効率化の余白が大きいTikTokマーケティング(引いてはインフルエンサーマーケティング)を、DXさせる魅力的な自社サービスも絶賛開発中です。興味がある方は是非、卯木と会話させてくださいませ!ご連絡お待ちしております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?