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#詩

造花は笑う

ぼくが君だと思っていたものは
ぼくが作った幻影だった
その黒くて美しい髪も
スラリと長い手足も
愛らしい唇も
ぼくが愛した幻だった
抱きしめたら棘が刺さって
地だらけの手を見てぼくは目が覚めた
最初から誰もいなかった
最初から愛はなかった
ただ、薔薇の花がクスクス笑っていた

あなたが好きよ
薔薇は言った
さようなら
ぼくは別れを告げた

行かなきゃ
ぼくを待ってる人がいる
どこの誰だか知らないけ

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いのり

元気にしてるかな?
困ってないかな?
悲しんでないかな?

その人のことを想い
注意を向ける

会うだけが恋愛ではないよね

《ブルーブラッド 》を書きたくなって

《ブルーブラッド 》を書きたくなって

ほんの束の間
近くて
遥かに遠いすれ違い

水曜の夜はネットのタイムライン、あちらこちらでにぎわっていた天体ショー。

ほんのりとほどこした化粧
いつぞやの君
誰のためにその熱を秘めていたのかと
吐息をひとつ落とす

ぼんやりと、ただただ眺めていた人も多いことでしょう。わたしも見とれていました。
写真に撮ろうと、なんでその時思わなかったんだろう。
後になって、あっと気がつくのはいつものこと。

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始めのことば

この世界には 始めにことばがあったという

ぼくよりも古く ぼくよりも大きく

ぼくよりも速いことば

ことばには意思があって 新陳代謝をくりかえしている

ぼくの放ったことばは

細胞になって

やがて手となり足となり

君のところへ歩いていく

ぼくのことばは君に触れ

君の美しい髪をなでる

ぼくのことばは君のしなやかな身体を抱きよせ

そっとキスをする

ぼくよりも上手に

君の始めのこと

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科学者と踊り子の恋

一つの絵画を
二人が同じように見ている
そう勘違いすることが恋なんだね

君が好きだった玄米も
君が飲んでたサプリメントも
僕は好きになれなかったけれど
そういうところも引っくるめて
君が二股かけてたところも引っくるめて
僕は本当に君のことが好きだったんだよ

僕は演繹的な愛を求め
君は帰納的に愛を探していた
すぐ、そこにあるのに
目の前にあるのに
どうして君は気づいてくれない
君は配られたカード

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不倫の美

不倫した人を執拗に叩く人達がいる

おれにはその声が「私だって我慢してるのに不倫するなんてズルい!」と聞こえる

否定する人ほど、本当はしたいのだ

パートナーを傷付けてもいいとは言わないが、人を好きになる気持ちは理屈じゃない

人には心があるから、恋愛をする
人には体があるから、誰かを求める

それを無かったことにすることは、心も体もなくせと言ってるのと同じ

倫理や道徳の前に、おれたちは生身の

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世界中にいるわたしへ

もしも、わたしが世界だったとしたら
この痛みも、苦しみも、絶望も
きっと別の誰かの苦痛なんだね

痛かったね
苦しかったね
悲しいね

大丈夫だよ
一人じゃないから

あなたが痛いと、わたしも痛い
あなたが苦しいと、わたしも苦しい

わたしたちは繋がっている
電波みたいに
目には見えない高速の光で

わたしが笑う
世界が笑う
きっと、あなたも笑っている