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Dans le vin, la vérité (真実はワインの中にある)

ワインが好きだ。お酒が好きかと聞かれると、「お酒というより、ワインが好き」といつも答える。

ビールの美味しさはいまだに分からないし、日本酒や焼酎、ウイスキー、コニャックも一通り飲んでみたけど好きになれなかった。正直、カクテルだってお酒を薄めたジュースとしか思えない。

ワインとの出会いは、2年間住んでいた南仏で。当時アルバイトをしていた日本料理屋のシェフが大のワイン好きで、毎回仕事が終わるとセラーから「お疲れ様」と一本出してくれる。

主にバンドールやラングドックの南仏のワインだった。特にプロヴァンスのロゼワインは、爽やかで飲みやすく、少しドライ。それまでお酒好きとは言えなかった私にも美味しく感じた。

帰国後、ワインのことを本格的に学びたくなりワインスクールに通った。初級クラスを受講し、毎回授業の最後には何種類かをテイスティングしてその日勉強した品種を味わう。

帰り道はみんなほろ酔い気分なので、クラスメイトとも自然に話が弾む。ますますワインの魅力にはまっていく私が、次に受講したのはソムリエ資格取得のためのクラスだった。

ソムリエになるには、飲食のサービス業に従事していないといけないので、実技試験以外ペーパーもテイスティングもソムリエと同じ試験だが、資格取得のための条件がない「ワインエキスパート資格」の試験を受けることにした。

そこで培った膨大な知識は、今となっては80パーセントは消えてしまったけど(笑)無事試験には合格した。

私の場合、ワインはいくら飲んでも酔わない。正確には気分は良くなるけど、悪酔いしない。その高揚感は最初のスパークリングを一杯飲んだときから始まり、白、赤とグラスを重ねても一定に保って持続する。

いつも被っているお面が外れて、真実が口からぽろりとこぼれ出る。ありのままの素顔になって人生や夢、恋愛について語り合う時間はとても楽しい。例え相手があまり飲めなくても、その気分は自然と相手にも伝染する。

先日、ワイン番組の校正作家の友人と話していた時に意見が一致したのは、食事のメニューもワインをまず先に決めてから選ぶということ。
美味しいワインさえあれば食事は二の次。だから自然と、ワインがある程度種類豊富な店にしか足が向かなくなる。

高いワインでなくてもいいし、うんちくを語れる程ワイン通でもない。でもその時、その気分にあった品種や産地をメニューを見ながらああでもない、こうでもないと選ぶのは至福の時間だ。

...とは言えワインの種類よりももっと大切なのは、誰と一緒にその時間を共有するかに尽きるのだけれど。

今はなき代官山 Bar iDyuuにて。

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