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コロナ禍での新たなバンクミーティングと事業再生における重要性

『コロナ禍での新たなバンクミーティングと事業再生における重要性』をインタビュー形式でお話し致します。

バンクミーティングとは

――バンクミーティングとはどのようなものですか?

バンクミーティングというのは、その会社が取り引きしている金融機関を全て一箇所に集めて行う会議のことをいいます。

人によっては、語感からか「ファンミーティング」や「タウンミーティング」のような、なんとなくライトなイメージをお持ちの方もいらっしゃるのですが、実際は債権者が一堂に介して、再建計画を説明する意味合いをもった会議です。そのため当事者である社長は緊張していたり、その場で自身や会社の命運が左右される可能性もありどのような議論が行われるのか心配だったりします。

金融機関というのは債権者として、ほかの金融機関がその会社を支援するのかどうかが気になるんですよね。私的整理で最も大切とされる債権者平等が保たれるかの確認です。ゲーム理論のような話で、誰かが裏切らないか、出し抜いて債権回収に走ることで利益を独り占めにする債権者がでないかを非常に危惧しています。それを解消できるのが、バンクミーティングを行うメリットと言えますね。

――某金融系のドラマでもありそうなお話ですね(笑)

そうですね(笑)半沢直樹にも似たようなシーンがありました。

まあ事業再生、特に私が取り扱うことが多い私的整理は、法的整理と比較して自由設計で自由度が高く難しい部分もあるんですよね。

「ウチだけ出し抜いて債権回収するよ」という債権者が出た場合、その1社の債権者の為に他の全ての債権者が支援を断念することになります。債権者全体の総意として同意が得られなければいけないんです。

そのためにも、全員一致して「支援する」という意思決定をするために、バンクミーティングが必要なんですね。「メインバンクしか情報をもらっていないんじゃないか?」とか「サブバンクはもらえている情報が少ないのでは?」といった疑心暗鬼に陥るため、払拭するためにも、全員が一堂に会して同じ資料を見て同じ説明を受けることが大切なんですね。

――そういった意味合いのものなのですね。たしかに素人の私としてはもう少しライトなものを想像していました。

会社を再建するために実際にはとても大事なものなのですが、あまり一般的な用語ではありませんからね。一つの重大儀式というか通過儀礼というか、そこをクリアしなければ企業の再建はスタートしない、そういった意味合いを持つ会議ですね。

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コロナ禍におけるバンクミーティングについて


――コロナ禍のバンクミーティングは、これまでとは違う部分もあるのでしょうか?

金融機関によっては、「資料さえ回してくれれば検討するので、バンクミーティングは必要ない」といった意見の会社もあります。

そのため、書面で情報を共有し紙面開催とするような形も出てきています。資料を回して、各金融機関から質問・意見を集約し、それにQ&Aのような形で回答して、お互いの議論を深めて合意まで進めるような形ですね。それはそれでコロナ禍の現実を踏まえて、手探りでやっているものですから取組として面白いですね。

――実際、銀行の方からすると、経営者や会社に対してどういう向き合い方をしているものなのでしょうか。

コロナが原因となる企業業績の悪化というのは、必ずしも会社さんに原因があるわけではないケースもあるものですから、比較的同情的であり、協力的であると思っています。金融庁もコロナ禍で業績が急落した会社に対して格付け見直しや個別引当を求めたりしていません。

また政府からの「感染拡大後に経営状況が悪化した事業者については、収束後には経営状況が回復する蓋然性が高い」との要請もあり手厚く支援しています。

少し前までは「リスケジュールに協力しなさい」という「金融円滑化法」もありました。こちらはすでに役割を終えたということで、法律自体は廃止されていますが、コロナウイルスの影響を鑑みて、国からの要請に基づいて金融円滑化法に準ずるような形で積極的に会社を支援していくという流れになっています。

返済スケジュールの緩和とされるリスケジュールについても、柔軟に対応していこうという流れがありますし、ニューマネーの融資支援を行うなど非常に協力的な姿勢を示していると思います。

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――そうなんですね。もっとシビアなイメージがありました。

去年は政府の支援策もいろいろ出ていましたので、資金調達が非常に幅広く行われていました。一般的に融資が借りられないと言われる債務超過の会社や営業赤字の会社、税金・社会保険料を滞納している会社でも、コロナ対策として特別に多くの融資を得ているというのが現実です。

すでにリスケジュールを複数年にわたって行なっていて、バンクミーティングを行い金融機関の支援をいただいてかろうじて生存していた会社でも倒産せず生存できているケースが多いです。

ただし、そういった会社でも昨年はコロナ関連の融資がニューマネーとして入っているため、既存債務への返済とニューマネーへの返済の取り扱いについて、ルール分けを行うためにバンクミーティングで話し合う機会も非常に多くなっています。

というのも、「返済を待っている金融機関がたくさんいる中で、新しくお金を借りたらどうするのか?」という問題があります。

例えば、1億円借りている会社がそれを返済せずにリスケジュールをしている状態で、新しく5000万円借り入れた場合、「先に借りた1億円と後に借りた5000万円ではどちらを先に返すのか?」というような話ですね。

実際、取り扱いとしては新しくお金を貸す銀行の返済はスケジュール通りとなり、新しく借り入れたお金を、もともと借りていたお金の返済にあててはいけないという話に繋がっていきます。

これは「他債の振替」といって、もともとのあった借入れに対してニューマネーを使って返済する行為のことを言います。金融機関が最も嫌い、ルール違反とする行為です。簡単に言いますと新しく融資した側は、その会社がコロナ禍で生き延びるために融資しているだけであって、過去に借りた借金の清算のために貸しているわけじゃないということです。

コロナ禍における新たな融資は、特に日本政策金融公庫や保証協会の保証付融資のような形で実行されることが多く、公的なルールを重んじます。

そのため新たに貸す側としても、既存の借入れがある金融機関と打ち合わせして、新たな融資への優先弁済権を確認した上でなら、融資するという条件をつける事が多く、その確認の為にもバンクミーティングは意思確認に必要になります。

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バンクミーティングの注意点


―ではバンクミーティングについて、注意点やデメリットなどはありますか?

例えば誉められた話ではありませんが、情報を隠して個別に金融機関へ出す情報を分けて管理している会社や、良い話しかせずにお金を調達していたような経営者ですと、「こっちの銀行とあっちの銀行でいままで聞いていた話が違う」といったこともあります。

そのように嘘をついてお金を借りたような、信用失墜に直結するような案件もありますので、今まで開示していた情報の中に正しい情報と間違えて提供した情報がある場合は、過去の内容を精査した上で、取引金融機関への情報の提供の仕方を見直し、今後の再建計画を立てて発表することになります。

――そのあたりは取りまとめも大変そうですね。

そうですね。ただバンクミーティングで一番大事なのは、目的を持つことです。重要な人たちが集まって議論はしたけども、なんとなくの結論を出すのではやる意味がありません。会社が銀行団を集めて再生案を示し、「この内容でやっていきたいので協力してほしい」と言うことが大切です。どういった方法で協力してほしいのかという、方向性を示し叶えるという目的を持ってやることですね。

世の中には適当な会議も多いですが、コロナの最中ですと、先々の業績の進捗が予想できず、結果として年間単位の事業計画は予想ができない、よく分からないと悩む経営者も多いです。

「売上が昨対比でどれくらい下がるか分からない」という話もありますので、資金繰りについて、売上減少が2割の時、3割の時、5割の時といった形で、場合分けをした上で会社がどこまで耐えられるのかという目線を共有することがとても大切です。

「コロナ禍で変化が読めないので資料は出せません」という話になるのであれば、金融機関が相違の元、支援体制を構築する狙いは達成できないため、バンクミーティングを行う意味もないのではないかと思います。

――そういった点には注意が必要ですね。

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鳥倉再生事務所ができる支援

――バンクミーティングに関して鳥倉再生事務所はどのようなご支援ができるのでしょうか?

バンクミーティングの開催準備、当日の司会進行、配布資料の作成などをワンストップでご支援します。バンクミーティングを成功させるために必要なご支援は何でもお手伝いしています。

バンクミーティング以後も、合意形成に必要な動きがありますので、質疑応答の集約や、議事録の作成なども行います。金融機関のみなさんが忙しいなかで集まってくれているため、「何を話したんだっけ?」となってしまうようではあまり意味がありません。

当日の質疑応答と、「こういう方向性で議論がなされました」という資料を残すことで、それをもとに金融機関で稟議書が作成され、支援方針が固まっていきます。ただ集まっただけでなく、同じ方向性を持ってその会社を支援するという方向性が固まり、金融機関で個別に意思決定して支援体制ができるということになります。

――そのあたりも、経営者の方が一人で行うのはなかなか大変なイメージがありますね。

非常に難しいと思います。私的整理は全員合意が原則です。取引のある金融機関のうちどこか一つでも脱落してしまうと、全体感のある会社の再建支援は叶いませんので、全ての銀行が協調できる内容にて支援要請をするにあたっては、そのさじ加減を含めて経験が必要なところかと思います。

――なかなか社内で完結できる問題でもありませんからね。

そうですね。たとえ優秀な経理担当がいたとしても、銀行をまとめるというのはまた違う能力です。社内に人材がいないことは決して恥ずかしいことではありません。再生専門の人材を社内で抱える必要はありません。仕方がないことだと思いますので、そこは専門家のアドバイスを仰いだ方が望む再建の方向性が築かれるのではないかと思います。

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終わりに


――コロナ禍のバンクミーティングに関して、総括的にお考えをお聞かせください。

鳥倉再生事務所ではコロナ禍に対応しリアルに集まることが難しい代わりに、オンラインを使ったバンクミーティングをトライアルでやってみるなど、金融機関の新たな要望を叶える形で様々な方法を試みております。コロナ禍で業績が急激に悪化していればこそ、本来コミュニケーションをしっかりしなくてはなりませんが、感染症と言うことで実現しないのは会社の存続にとって危険なことです。

みなさん手探りで行っているところかと思いますが、不確かな時代にはまず何よりも情報の共有が大事になります。訪問しての情報の収集もできず、会社が苦境にある中で何をしているかの報告もないという話になると、基本的に支援するという話にはならず悪い方向に進みます。

コロナ禍での新たなバンクミーティングのあり方を模索する中で、経営者の方やその取引相手の金融機関のみなさまと新たな事業再生のモデルを作っていきたいと思っています。会社が苦境にありながらも、取引金融機関との関係構築に悩む経営者の方がいらっしゃれば、ぜひ鳥倉にご相談ください。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

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