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社内の問題は、誰よりも会社の中にいる人間が知っています。社長も知っているし、中間管理職も知っている、そして末端の従業員も知っています。

では、問題を社内にいる全員が知っているのになぜ改革しないのでしょうか?知っているのであれば、改革に成功しそうなものです。しかし、現実はそうなりません。なぜ社内改革は失敗するのか?について、ご説明します

1.社内改革の進め方

多くの社内改革は社長の掛け声に始まります。特に体制が見直されるのは、新任の社長が着いたときです。新しい社長は、自分のカラーを出すため、新しい体制を作りたくなるものです。

社長の鶴の一声で、改革を担う担当者が招集されます。社内でエリートとされ、次世代の幹部候補が集まります。専属のチームが編成されますので、集められた人物は部長ではなく、部下もいません。複数の部署を所管する取締役が座長につく事もあります。社長からは「聖域無き改革を目指してくれ」と激励されスタートします。

会社がどうあるべきか大上段から議論されます。プロダクトポートフォリオ(PPM)にて、それぞれの事業、部署を収益を軸にあるべき姿が模索されます。今後成長させていくべき事業、撤退を検討すべき事業が分析され提言としてまとめられ社長に答申されます。

社長からは「良い提言をまとめてくれてありがとう」・「君たちは次世代を担う希望の星だ。各々の部署に戻っても今回の経験を活かして牽引役となってくれ」と大きく賞賛されます。

ただ、ここまで熱心に取り組まれていても1ミリも社内改革は進んでいないのです。権限や予算、部下がいない人たちが改革を議論しても現実は何も変わりません。社長も悪気は無いかもしれませんが、todoに落とし込んだり、人事評価を改めたり、不採算部署を閉鎖するなど実行しなければ、議論のための議論で終わります。

社長は「おまえの部署は必要ないと提言されているぞ、改革しなさい」と該当部署の担当役員や部長に伝えます。しかし、自分が組織のトップで、自分の組織を自分で壊す改革に自ら取り組める人はいないものです。

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2.社内改革で必ず現れる抵抗勢力の存在

社内改革は一挙に手を出せば良いと言うわけでもありません。一気に堰を切るというのは、制御不能な様々なトラブルを誘因しかねません。

網羅的に多くの課題に着手する改革は危険です。多くの社内の人間を敵に回すことになります。改革チームは、予算や権限、人員が曖昧です。人の部署に手を突っ込む形になりますので、協力が得られません。

社長の掛け声によりスタートしたプロジェクトでも、入口で反発の声が大きくなれば、社長の信認を失う可能性すらあります。

社長自身が「私の意図した方向と違う」・「それは改革チームの行き過ぎだ」等と、改革勢力と守旧派の間を取るような発言をしてしまい改革は勢いを失います

社長が改革へ本気でなければ、最悪の場合、改革チームをトカゲの尻尾切りして、混乱し分裂した会社の現状維持を期待する勢力に味方することだってあります。

変化を伴う改革を目の前にすると、多くの人間は模様ながめします。非協力的で、消極的反対の態度を示します。「総論賛成、各論反対」といった停滞した社内の雰囲気に飲み込まれ改革は力を失います。改革が停滞すると、「今だけ乗り切れば、我慢すれば嵐は止むかも知れない」と協力をしない従業員が増えます。

会社にとって聖域とされていた領域、伝統とされている領域へ改革の手が伸びた際の反発は激烈なものになることもあります。「この事業は祖業だ」・「おまえなんかが変えて良いことじゃない」と合理的な議論は吹き飛び、食うか食われるかで力の強い人間の意見が優先されます。

小さな悪が機能として見過ごされる事もあります。不正を働く人間であっても売上への貢献が大きく、「豪腕」・「目標必達の」など崇められている人間がそのまま残留することもあります。改革の機運に悪癖が改められるかもしれないと、改革に期待していた人間までも「あの巨悪が見過ごされるのか」と、力を貸さなくなります。

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3.社内改革は残念ながら失敗する

結局は、無邪気に改革に着手してしまう覚悟のなさが改革を頓挫させます。特に、スピードを優先し、わかりやすい改善ポイントから手を出して失敗します。

手をつけやすいポイントであっても、効果が少なかったり、反対意見の強さを考慮すれば、後回しで良いことにも、改革に慣れていない社内人材は、手を出してしまい、失敗への導火線に火をつけてしまいます。

スピード重視で着手した初手で成果が出ず、成果がでないままに改革が長引くと、改革疲れがまん延します。「本気を出せ」・「このままじゃだめだ」と掛け声ばかり大きくなります。そこまで行くと、改革へ抵抗感があるけれど黙っていたサイレントマジョリティが公然と抵抗を始めます。

「リスクにはどう対処するんだ?」と正しそうな正論をはく人間が出始めると、リスク潰しの終わりのないモグラたたきをする事になります。どこまで行っても改革がゼロリスクになることはありません。結果として挑戦しない低体温でピークアウトした会社や組織ができ上がります。

本来改革は、社内外、仕入先、客先関係なくチームを作り味方を増やすことです。わかりやすい改革という掛け声で、根回し無く、短兵急に手を突っ込み人の領域を荒らすと、協力は引き出せません。根回しは大事です。お膳立てができているか否かで勝負が始まる前に勝敗は決まっています。

合理性がある施策でも、そこに部署があり従業員がいると争点となります。協力が引き出せずにいると、改革を先導した優秀な人間もついに引っ込みが着かなくなって来ます。

「進退をかけます!」・「首になっても良い」・「やればわかる」と過激な言行となってしまい、改革者自身が自らの出処進退を賭けてしまいます。改革の反対者にとってはチャンスです。ついには改革者はなんら成果の実を結ばず、追い出されてしまいます

中途半端に改革が頓挫すれば、反撃にあい改革者は火あぶりにされるのは歴史が証明しています。

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4.事業再生は社内改革では成功しない

予算と権限のない改革の最期は、根性論と締め付ける管理に陥ります。最後は落とし所を求めて、看板を掛け替え部署を横文字にしたり、上っ面だけ変えて改革を終わりにします。みんな成果のあがらない改革に疲れ、やめにしたいのです。

社内改革の難しさを少しでも感じて頂けたでしょうか?一方で成功する改革として、ファンドによる改革があります。何が違うのでしょうか?ファンドは株主権を行使してブルトーザーで整地をするように、ゴリゴリに改革を進める生き物です。株主権で場合により社長を替えることも厭わないです。自ら金を出し、予算と権限を持っています。最悪の場合、損切りしリセットすることも厭いません。

外科医が自分や身内の手術をやらないというのに似ています。どれほど会社に詳しくても、改革の実践者となるには一歩引いているからこそできる要素があります。鳥倉も社内改革の担当者として改革に取り組んだこともあり、苦しんだ経験があります。必要以上にハレーションを生んだ自分の経験から、自社の改革には第三者目線が必要だと確信しています。

経営危機により事業再生の必要性が増し、金融機関を初めとした外圧がかかり、悪化した事業が赤字を垂れ流し資金繰りを圧迫したとき、社長が自ら改革を希求します。追い込まれて初めて、全てを変えても構わないから、改革したいと退路を断つのです。

追い込まれて否応なしの改革、乾坤一擲の勝負をするくらいであれば、早期に外部専門家を招聘して改革に着手することをお勧めします。社内改革の難しさを感じられたのならば、専門家に依頼する抵抗感も減ると思います。社内改革の難しさを知り尽くした鳥倉にぜひご相談下さい。

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