第24話うどんこ先生ガンガン日誌「お腹にお絵かき」

手術前日の夜、お腹を減らしてベットの上で
グデグデしていた時だった。

看護主任のミーちゃんが部屋にやってきた。

「うどんこさぁん、手術前の準備があるけぇ
処置室まできてちょうだいね」

お腹がすいているから嫌だとも言えず
渋々とついていくことにした。

「先生から聞いていると思うんけど、
これから設計図を書くから、お腹だしい!」

「えつ。何の設計図を書くの?」

と聞き返してみると

「ストーマ(人工肛門)の設計図よ。
先生に聞いてないけぇ?」

頭の中には“不安”の二文字がゆらゆらと
動き回りだした。

後でわかったことだが、手術をする前には
全員がこの儀式をすることになったそうだ。

手術中、ストーマを作らざるを得なくなった時
作る場所を事前に決めておかないと、不便な
日常生活を送ることになった事例があったそうだ。

そのためにも、手術の前日に設計図を書くように
なったということだ。(納得)

「さぁ、つべこべ言わんで、さっさと
お腹を出して横になって!」

主任のミーちゃんは油性ペンを持ち
慣れた手つきで線をひきだした。

おへそを中心にアルファベットのHを書いた。

定規で長さを測りながら、穴を開ける場所を
決めて、そこをグルグルと塗りつぶしていった。

「よしっ!でけたわ。うふっ♡
ん~まぁ、イイ感じでないけぇ~」

鏡で、できた作品を見ると、そこには可愛らしい
ウーパールーパーの顔があった。

その後もミーちゃんは、お国訛りが入った
話し方でいろんなことを話してくれた。

手術前日でガチガチに固くなっている病人の
緊張を、方言で笑わせながら、
少しでもほぐしてあげよう、という気持ちが
痛いように感じられたひと時であった。

ありがとう。ミーちゃん。

明日、頑張ってくるからね。

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