「日本人は偉大な民族です」ってのは
ワイキキで乗ったトロリーバスの
車掌さんが口にした言葉だ。

多分、彼は60歳くらいじゃないかと
思うんだが、東洋系の顔立ちで
もしかして日系人なのかもしれないが
そこまで日本語ネイティブではない。

その日は丁度、9月11日で、誰もの
記憶の中に残る「2001年アメリカ
同時多発テロ」の日だった。

ホノルル市内でも、パトカーや救急車
そして消防車がサイレンを鳴らして
走っている姿を目にした。

ある広場では大勢の消防士さんたちが
追悼セレモニーをしていたし

宮殿の国旗は半旗で喪に服していたし

カメハメハ大王の足元には花が
手向けられていたのだ。

そんな重苦しい空気が流れる楽園で
その車掌さんはこんな話をしてくれた。

それは、私がどうしても行かなければ
ならないという思いで出雲大社に
向かったからだと思うが

縁結びで名高い出雲大社に若い女の子
が殺到するのを日々、見ながら、彼は
こういう風に思っていたそうだ。
（彼は日本語ネイティブではないので、
これは私の意訳であるが、大体こんな
感じだと思う）

「大抵の日本人は特定の宗教を持って
いないし、そもそも宗教が何たるかも
全く考えていない。何故なら、彼らは
自分の質問に『考えたこともない』と
答えるから。

更に、驚きます。
信者でもないのに、このように神社に来て
真剣に祈り、キリスト教式で結婚式を挙げ、
更にハワイの平等院で墓を買う。

最初はそういう姿が異様に思えて
すごく抵抗があったんです。

でもね、年齢と共に段々と考え方が
変わってきました。
今日のような忘れられない
メモリアルデーには特に感じます。

世界の争いの多くは宗教戦争です。

キリスト教は布教という隠れ蓑で
多くの国を侵略し、イスラムは正義の
名の元、他者への攻撃を止めない。

そして、宗教は互いをリスペクトする
ことなく、争い続けている。

私は日本のような宗教に寛容な国が
もっと増えるといいと思っています。

日本の神様、キリスト様、仏様
ハワイの精霊、すべてに手を合わせ、
それぞれに、ごく自然な思いで祈れる
民族は日本人くらいです。

これは世界に誇っていいほど、素晴らしい
ことだと思うようになってきたんです。

あなたがどう感じているか分かりませんが
私は、日本人は本当に偉大だと思って
いるんです。

9.11のこの日に出雲大社に詣でるという
ことも、実にアロハ！なことです」

出雲大社の狛犬は可愛いレイで
お洒落していた。