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乱立するQRコード決済を、どう交通整理するか? このままだと混乱するね 【マーケティング戦略の観察】

今回は『LINEペイとメルペイがQR決済で提携発表』という話題をまずとりあげます。

急に乱立しだしたQRコード決済。
ニーズと提供量が合ってないなーとも思うが、企業側が今のうちに先鞭をつけたいのもわかる。でも利用者側からみると、種類が多すぎてややこしい。どの店で何がつかえるのやら。
ややこしいと普及浸透も進まない。
この“QRコード決済業者の乱立”を、各社は“どう交通整理しようとしてるのか?”について情報整理してみます。

(個人ブログのため情報や見解の正確性には責任は持ちません。元ソースを当たってくださいね)

1、まず LINEとメルペイの提携について

この提携内容を簡単にまとめると、2019年初夏を目処に「両社の加盟店を相互に開放し、両方のユーザーがそれぞれの加盟店でも利用できるようにする」との発表である。

背景となる課題認識は、下記の記事に詳しいが、
事業者の乱立によって加盟店の負担が増加し、店舗オペレーションの煩雑化を招く。ユーザー目線でも分かりづらい」との理由。
その通りと思う。

店舗の負担増はホント深刻だと思う。
それでなくても、宅急便とか、チケット発行とか、焼き鳥とかの調理品提供とか、光熱費支払いとか、クリーニングとか、コンビニの店員作業がレジオペの他に複雑化しまくっているのに、これにQR決済まで乱立したら覚えられるわけがない。

LINEとメルペイは、この提携を皮切りに、2社で閉じずに『QRコード決済業者による“事業者連合”』の立ち上げを構想しているという。

両社はこの提携をきっかけとして、モバイル決済のアライアンス(事業者連合)として「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」を結成。今後、QRコード決済を手がける事業者に広く参加を呼びかけていくとしています。
両社の提携は、「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」の第1弾という位置づけ。メルペイとLINE Payの相互でQRコード決済機能を解放し、LINE Pay加盟店でメルペイも使えるようにし、メルペイ加盟店でLINE Payで支払えるようにします。

店頭をもつ流通小売業からすると、“複数社が統一して連携”してくれるのは望ましいことだろう。

こういう“新興の決済方法”が市場に一目置かれるには、「使える場所が豊富にある」+「使っている人が沢山いる」の両面がバランス良く伸びていかないといけない。
「使える場所を豊富」にするには、加盟店が導入しやすくなければならない。この“事業者連合”構想は、加盟店が“複数のQR決済事業者を導入しやすくなる”事に寄与する施策といえる。

でもこういうのって、結局LINEがはじめると、“大きな陣取り合戦”がはじまっちゃって、楽天は楽天で仲間を募って“連合”をつくるし、ヤフーはヤフーで“連合”を作っちゃうんじゃないか。
でもまあ、それはそれで、今よりは収斂されるので良い流れと言える。

2、QRコードの“統一規格”化

話しが変わって、これとは別に、
経済産業省が中心になって立ち上げたキャッシュレス推進協議会という取り組みがあり、ここでは『QRコードの統一規格』の議論が進められており、3月29日にはそのガイドラインが発表された。
統一コードを新たに『JPQR』と呼ぶと言う。

店側が少ない負担で多様な決済事業者を導入しやすくなり、QRコード決済の拡大につなげる。
QRコードは決済事業者が自社の様式でばらばらに作成していた。店側は複数の決済事業者と契約する場合、その都度レジの改修が必要だった
規格の統一で、契約する決済事業者が増えても同じレジで対応できる。また、コードを読み取るだけで決済事業者を識別でき、店側の作業負担を軽減できる。
(QRコード決済には)2種類がある。
店側がQRコードを提示するタイプは8月をめどに順次、統一規格への切り替えを実施する。
利用者提示型は、政府がキャッシュレス決済時のポイント還元制度を導入する10月までの切り替え実施を目指す。

いい動きだ。
規格統一には国の関与と主導も大切。どこかの企業がリードするとどうしても競争原理が働くので、“陣取り合戦”をさせないように。
あとはあんまりやりすぎて、国内だけでガラパゴス化しないことが注意点なのかな。

3、決済のあとのデータ活用面、購買データと属性をつなぐ

さてここで話しを飛躍するが、
現金での買い物だと、店側はどこの誰が買ってくれたのかがまったく特定できなかった。でもキャッシュレスが進み決済のデジタル化が進むと、決済事業者側には契約ユーザーのプロファイルデータが(多少なりとも)あるので、これと店側のPOSデータ(購買データ)とを繋ぐと、“誰がどこで何を買っているのか”が幾ばくか明らかにできるようになる。
もちろん個人情報保護には注意しながら、統計化や匿名化を整備して進める事が重要だが、このあたりの取り組みもキャッシュレス経済の裏目的にはある。

先週の3月28日付の日経で、これはQR決済ではないが “ポイントサービス事業者の浮き沈み”という記事の中で、各社のデータ活用施策面での状況がわかりやすくまとめられていたので紹介する。

Tポイントは既に約6800万人の顧客データを活用して「どういった属性の人が何を買っているか」といった情報を生かし、ポイントを利用する企業向けに店づくりやマーケティング支援に生かしている。約94万店のビッグデータを生かしたデータビジネスは業界でも先行している。
セブン&アイ・ホールディングスは「nanacoポイント」で 顧客の動向を分析する取り組みを始めた。季節や時間帯によってセブンイレブンなどの店舗で特定の食品と飲料を同時に買うなどのデータを分析し、店舗の品ぞろえの予測などに生かす。
LINEは、スマホのアプリに表示される各店舗のバーコードを店頭で読み込むとポイントがたまるサービスを進化させ、19年中に加盟店のPOSシステムと連動させる方針だ。
POSとの連動で実店舗と通販サイトの価格を比較したり、在庫を確認したりできるようになる。

この分野はまだまだ“これからの領域”だが、“人材不足改善策以外の導入メリット”として、きっとますます重要になってくるだろう。各社にとっては差別化要素でもある。

4、決済をPOSシステムごとおさえる

はたまた、違う切り口で、“決済端末側”からアプローチする企業もある。
最近の記事から代表例として選ぶと、中小企業向け決済端末ベンチャーの「Square」が新決済端末を発表した。

これまで「レジ」自体が高額だったが、最近はSquareのようにリーズナブルに「決済端末+レジ機能の導入」をサポートするツールが登場している。Squareの他にも楽天やリクルートも参画する。POSレジだと、Airレジ、スマレジ、ユビレジなどが伸びている。
この分野の競争もいろいろあって大変興味深いのだが、今回のブログでは記事が長くなってきたので、詳細は省略する。Squareの上位層は、QRコード決済に対してはこうコメントしている。

国内で普及が進むQRコード決済について、Squareでハードウェア担当責任者のジェシー・ドロガスカー氏は、「QRコードの気運は高まっているが、デジタルトランザクションのほとんどがクレジットカードベース。観光客やラグビーワールドカップ、オリンピックでますますクレジットカード決済が増える」とし、「QRはソフトウェアサービス。アプリは今後アップデートできるので、状況が変わる中で対応していく」と述べた。

このあたりの中期的な市場分析見解は、各社の個性がでてしかるべきところであろう。

というわけで、
4つの切り口で、“乱立するQRコード決済を、どう交通整理するか”をまとめました。
①決済事業者間のアライアンス推進、②QRコード自体の統一規格化、③データ活用、④決済端末やPOSレジの進化 でした
いろんな切り口がある。
ここから1、2年ですごく変化と収斂が進むと思うので目が離せない分野だ。

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