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Facebookも参入? 各社のゲーム事業ってどれほど稼いでるのかと“将来性”を調べてみた。【マーケティング戦略の観察】

『フェイスブック、ゲームに特化したタブ「Facebook Gaming」を始動』という記事を読んで、Facebookまでゲームかーと思った。
この記事ではそこから広げて、“大手プラットフォーマー各社がなぜゲーム事業をやるのか、ゲームにはどんな将来性があるのか”、ひととおり分析まとめしました。

(トップ画像も上記サイトより引用)

(個人ブログのため情報や見解の正確性には責任は持ちません。元ソースを当たってくださいね)

1、まず、背景となるプラットフォーマーたちの“収益構造”について

まず、ちょうどこういう記事が出ていたので引用する。

『Apple、Googleなど世界を席巻する5大IT企業の収益構造をグラフ化してみたら、意外な違いが見えてきた』

Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの収益構造がシンプルにまとめられていて必見だ。

これを見ると特に、FacebookとGoogleの2社がいかに“広告収益に依存”しているかがよくわかる。
Googleは収益全体の約70%、Facebookは98.5%もが広告収益という。もう完全なる広告の会社だ。

Googleはそれでも、GoogleホームやGoogleドライブ、Googleミュージック、pixel、Androidなどといった、デバイス端末やサブスクリプションの事業を育てているし、まだ未知だが新領域で自動運転などにも着手したりしている。

もちろんFacebookは、“あえて広告収益にこだわって”ここまでビジネスモデルを磨いてきた事と思うが、それでもここらで“他事業の柱”ができることは望ましいはずだ。
この課題がまず、ざっくりだが、Facebook自身の背景にある。

2、各社での“ゲーム事業の割合”とは?

外国のことは僕は無知なので、ここで日本に目を向けてみる。
GAFAの規模ではないが、この10年ほど、日本にも多角的事業形成を進めてきた(今となっては)巨大なIT企業がいくつかあるが、その多くが“ゲーム事業”を自社で内包している事に気づく。
中でも目立つ、LINE、DeNA、サイバーエージェントの3社を今回はとりあげて分析してみよう。

それぞれの企業の全社年間収益のうち「ゲーム事業の収益の割合」は、ざっくりまとめると以下のような売上構造をしていることがわかった。
(年度は“なるべく最近のいつかの1年間”というだけで、時期は揃っていない。雰囲気は充分掴めるので)

◆LINE
2018年度
全社収益:2,072億円
うちゲーム事業収益:382億円
ゲーム事業の割合:18.4%
◆DeNA
2017年度
全社収益:1,394億円
うちゲーム事業収益:980億円
ゲーム事業の割合:70.3%
◆サイバーエージェント
2018年度
全社収益:4,195億円
うちゲーム事業収益:1,465億円
ゲーム事業の割合:34.9%

こうしてまとめてみるといろいろと驚きはあるが、このブログ記事では「ゲーム事業の割合」にだけフォーカスを当てる。

まずDeNAは、ゲーム事業割合がなんと7割。
いろいろ多彩な取り組みもニュースでみるので、もっと新領域売上が比率を占めてるのかなと想像していたが、まだまだゲームが支える会社なのだ。

サイバーエージェントは、出自はインターネット広告代理店で今もコア事業は広告の会社だが、Amebaブログといったメディア事業を立ち上げたり、最近ではネットテレビのAbemaTV事業を手がけたり。ゲーム事業にも参入し、この3社だとダントツの収益額を生み出している。事業に占める割合も約35%と、主要事業のひとつ。
代表作は、グランブルーファンタジー(グラブルってやつだろう)やアイドルマスターなど、相当量のTVCM投下も特徴で名前は耳にしたゲームタイトルが並ぶ。

最後がLINE。
LINEは、今や日本を代表するプラットフォーマー企業だが、ゲーム事業が売上の約2割をも占め、なくてはならない規模の売上比率である。(数年前のほうが比率はもっと高かったはずだ)

LINEの特徴は、国内Monthlyアクティブ(MAU:1ヶ月の利用者)が7,600万人を超えるメッセンジャーアプリを土台に、この“おばけアプリ”を介して、各種自社サービスを横展開してみせる方針をとっている。毎日、LINEでメッセージを“受け取るついで”に、アプリ内でLINEの他サービスにも触れてもらいユーザーを育てていく。
また、サービス名のアタマをLINEで統一したり、マスコットキャラクターを共有化することで、親近感やファン度を高める。プラットフォーマーとしての王道の“ユーザー基盤拡張”を着実に推し進めてきた。

(元ソース:タイトルがでないけど3社の決算報告書pdfを参照先リンク↓)

さて、冒頭のFacebookに話しを戻すと、
Facebookがやろうとしているゲーム事業は、LINEに近いのかなと想像する。
すでに人が集まっているSNSアプリを土台にして、なるべくシームレスに同一アプリ内で、よりゲームにも認知してもらい、試用し、Highエンゲージメントユーザーへ育てていき、課金もしてもらう。

ゲーム専用タブでは、お気に入りのインスタントゲームへのアクセスが容易になる。また、人気の高いゲームのストリーミング動画の配信者や、eスポーツ団体のコンテンツも手軽に楽しめる。さらに、特定のゲーム関連のグループをフォローしたり、その他のグループのメンバーとつながる機能もある。(中略)
フェイスブックはアンドロイドユーザー限定で、ゲーム専用アプリのテストも進めている。このアプリにはFacebook Gamingタブ以上の、多様な機能が盛り込まれている。

3、可処分時間からすると心配

話が少し飛ぶが、
“可処分時間”という考え方がある。

1日は24時間あるが、生きていくためにどうしても取り組まないといけない睡眠や労働や食事という時間を除いて、“自分のために自由に使える時間”を「可処分時間」と呼ぶ。

近年のマーケティングでは、この“可処分時間の奪い合い”が激化していると見ることもできる。

SHOWROOMの前田裕二社長が下記の対談記事で、簡潔に“可処分時間の大切さ”に触れているので引用する。

自動車や家電、さまざまな企業がこれまで奪い合ってきたのは可処分所得です。ところがこの20年で大きな変化が起きました。その変化とは、所得ではなく、人が長く時間を費やしているサービスに価値が生まれていることです。例えば、米グーグル。消費者はグーグルにお金は支払っていませんが、利用者は多くの時間を費やしています。そこにスポンサーが付いてくる。この可処分時間の奪い合いに勝つ企業の時価総額が高まっています。

また、別のデータを引っ張ってくるが、“スマホゲーム市場は伸びている”という
ちょうど最近、矢野経済研究所の調査データが出ていたので紹介記事から引用する。

ちょっとした暇つぶしに、ゲームを楽しむ大人が増えている。市場調査の矢野経済研究所によると、2018年度の国内のスマホゲーム市場の規模(メーカー売上金額ベース)は、前年度と比べて3.0%増の1兆600億円を予測している。2019年3月26日の発表。

この記事で取り上げているのは売上高推移なので正確には“時間”ではないが、
「国民の可処分時間のうち、スマホゲームに費やす時間も伸びているのでは」と“解釈”することもできるかなと思う。

ゲームでリラックスする時間がつくれるのは良いことと思う。ただ、電車でみてると、ほんとみんなゲームばっかりしてるなーと思って、あんまりゲームばかりに時間を費やしても成長はしないので(ゲームはうまくなる)、日本人全体がゲーム漬けにならないようにとは心配しちゃう面もある。(僕もスマホゲームするんですけどね、悔しくて止まらなくなる時がある)

この状況に加えて、Facebookアプリでもゲーム関連サービス開始と聞くと、もうこれ以上国民のゲームの時間増やさなくていいなーという気分にも。

4、ゲームの未来へのポテンシャル

でも最後は、明るい話題を引用して終えよう。

メディアラボ4代目所長の伊藤穰一さんが、シリコンバレー発のゲーム会社Game Closureの役員に就任したという。

事業内容は、プラットフォーム上で直接プレイできる「インスタントゲーム」という開発技術を要し、たぶんはじめに触れたFacebookゲームの裏側を支えるベンチャーだが、ここでは事業には触れず、
そのインタビュー記事の中で伊藤さんが“ゲームの将来性”について明るいコメントをしているのでいくつか引用する。

伊藤:私が何かを学ぼうとした時の始まりはいつもゲームでした。インターネットを最初に学びたいと思ったのも、インターネットゲームをしたかったからです。
カーター:私がそうだったように、子供たちはゲームを通してテクノロジーを学びます。だからこそ、私はもっともっとたくさんの没入型のゲームを作りたいと思いました。ゲームと学びの融合も今後増えていくでしょう。数学、科学やプログラミングに興味を持つきっかけとなると思います
伊藤:私はゲームはもっとソーシャルになっていくと思います。実際、教育者や他の業界の人たちが関わろうとしています。私が役員を勤めている他の会社Akiliでは、ゲームを通してADHDの人や認知障害の人へのセラピーに取り組んだり、お医者さんが薬の処方や子どもたちとの連絡に、ゲームをどのように活用できるかみています
また、高齢者にゲームを遊ばせることでどのような効果があるかも研究しています。

各社がゲーム事業で培ったゲーミフィケーションのノウハウを、多様に応用が進むことを期待する。日本人の可処分時間と小銭を搾取するだけになりませんように。(おわり)

※最近のニュースの中から、これはマーケティングが上手だなーとか見逃せない話題をピックアップして“分析まとめ”してます。他の分析記事の一覧はこちら↓



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