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なつかし劇場/最高のマジシャンの見つけ方

ある日。弾けるキャンディ「テレパッチ」を1袋分、一気に口の中に入れて耐えきる持ち芸で、口内炎になる程のお菓子好き、へーちゃんが言うのです。

「とにかく凄いんだよ。冷たくてトロトロなのにシュワシュワだぜ。スプーンみたいなストローで食べるんだ。
セブンイレブンにしか売ってないし、今日行こうよ、裸族ちゃん」

何だか興味がわいてきた小生は、こうちゃんも誘い早速セブン突入。

店内を見渡すと、まるでミキサー車みたいなマシンにミドリ色の物体がグルグルと混ぜられております。

「スラーピー」というこの飲み物。

透明カップに注いでもらい、スプーンのように先端を加工したストローを渡されます。

なんか近未来っぽいじゃん、と思いながらストローで吸うと。

「うめえ!トロトロ、シュワシュワ」

メロン味のシャーベットに炭酸が入って、刺激的。スプーンですくうと、カキ氷風な食感でも楽しめます。

すっかり気に入った3馬鹿は、連日セブン通い。今日もストロー吸いまくりの帰り道。

途中にあるマンションの駐車場をふと見ると、大きなキャンピングカーが停まっております。

その中から現れたおじさんが、犬、猫、ウサギ、サル、しまいにはカメレオンまで、様々な動物が入ったゲージを運びだしております。

駆け寄る3馬鹿。

「おじさんはペット屋の人なの?」

と、ヒゲを生やして、何だか金持ち風のおじさんに尋ねるへーちゃん。

「おじさんはね。マジシャンなんだよ」

うさんくせー!くせい!心の中でゆっくんちゃん級の反応を見せる小生。

「何かマジック見せてよ」

とこうちゃん。

右手でコブシを作り、左手の人差し指でトントンと数回叩いて気合いをかけるおじさん。

パッと手を開くと、、、

何も出てきません。

「何も出ないよ」

とこうちゃん。

するとおじさん。

「マジックって言うのは魔法じゃ無いんだ。タネを仕込んで練習を重ねて、やっとお客様に見せれるマジックになる。

おじさんのマジックは動物を出すマジック。

この子達は、マジックショーの大切な出演者なんだよ。

だから大事にしてあげないとね」

子供相手に長ゼリフキタ〜!
でもいい事言うよ。
心の中で少し感動。

その後、おじさんが動物マジックの第一人者「ジャック武田」とわかり、顔見知りになった3馬鹿は、時々動物を見せてもらっておりました。

そんなある朝。

通学路でへーちゃんが駆け寄って来ました。

「ジャックおじさんのサルが逃げたってよ!警察も来て大変だよ!」

帰宅後すぐにマンションに駆けつけるとキャンピングカーの姿はありません。

「とにかく、サル捜そうよ!」

横丁の八百屋でエサのバナナを買い、近所を捜し回るも見つからず。
やはりサルは木に登るだろうという、低レベル発想の3馬鹿。

王子神社飛鳥山を捜しまくるも、やがて日没。


サルの件でマンションを出ざるを得なかったのか?
その後、キャンピングカーを見かける事はなくなり。
ジャックおじさんとの縁は切れてしまいました。
マジックショーの主役たち、犬猫猿、鳩、カメレオンにまで優しい言葉をかけ、いつくしんでいた、ジャックおじさん、、、


月日は流れ、社会人となった小生。


日曜日のお楽しみ、ベビースターを頬張り、ビールを飲みながら夕方の「笑点」を見ていると、演芸コーナーに出てきたのは、なんとジャック武田!

動物を出しまくり歓声を浴びるジャック。

しかし、最後のサゲのマジックでシルクハットから出たのはピンクパンサーのぬいぐるみです。


客席の拍手はまばらになり。


大丈夫かよ、、、と思ったその時。


ジャックがステッキでピンクパンサーの頭を優しくコツンと叩くと。ピンクパンサーが4つ足で立ち上がりトコトコと歩くではありませんか!

なるほど、猫がピンクパンサーのコスプレしてたのか。

歩くピンクパンサーに驚き、一瞬の沈黙のあと、客席からは大歓声と拍手の嵐!


「やったぜ!ジャックおじさん!」


テレビ画面に向け、缶ビールをかかげる、小生でございました。










最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)
鳥裸族





このなつかし劇場はポッドキャスト
「拝啓、関東平野」
で読み上げて頂いております。


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