見出し画像

なつかし劇場/サンデー・ナイト・フィーバー

下町ブームを初めて盛り上げたのが、ビートたけしの元気が出るテレビ。


「ここに来れば幸せになれる」


熊野前商店街がブームの火付け役となり、主に都電が通る下町エリアが注目されました。

王子駅前のダラダラ登る、上り坂。

その途中に高校時代、毎週土曜日に養老牛丼を食べにかよった養老乃瀧があるのです。


成人となった、クマと小生。
コップについだ養老ビールをあおるクマ。


「俺、銭湯って行った事無いんだよね。あと、下町の商店街とかも」


さすがは家の庭に池があり、錦鯉を飼っているプチ金持ちでございます。

という事で、翌日の日曜日に銭湯&下町ツアーを行う事になりました。

王子駅に集合し、飛鳥山公園の目の前にある、えびす湯に突入する2人。予定通りの17時半に到着すると。

小生の戦略通り、結構すいています。

日曜日の怪物番組「笑点」を見る為、男湯はお客がまばらになるのです。


早速、湯船に浸かる2人。


高い天井の銭湯の開放感と、壁に描かれた湖越しの富士山に大満足のクマ。


しばらくすると。


「裸族!何アレ、バカ過ぎるネーミングじゃん」


クマが指差したのは、壁にかけられたホーロー看板。


駒込駅前、パチンコはスポスポへ。


ノーテンキなピエロがパチンコ玉で玉乗りしている、トホホなイラストが悲しみを誘います。

パチンコも未経験というクマ。

下町商店街ツアーにパチンコスポスポも組み込まれました。


えびす湯を出て、西ヶ原銀座商店街、染井銀座商店街、しもふり銀座商店街と3つの商店街が連なる道をテクテクと徒歩移動。


途中、ブーム絶頂期のアサヒスーパードライを飲みながら、店頭でおいさんがパタパタと焼く、焼き鳥を食べ。
おでん屋のちくわぶを食べ。
質屋のショーウィンドウをひやかし。
パチンコスポスポ前に着いたのは8時頃。


当時、パチンコはスロットマシンのドラムが中央に配されたフィーバー機全盛時代。

スタートチャッカーに玉を入れ、クルクルとドラムを回し、スリーセブンが揃えば大当たり。

パチンコ台の下部に配された、アタッカーと呼ばれる特大の入賞口が開いて、とんでもない量の玉が払い出されるのです。


店内に入ると結構な賑わい。


2人で横並びに座り、レクチャーしながら遊びたかったのですが、そうもまいりません。

フィーバー機の遊び方を簡単に指導し、パチンコ台6台くらいの間を置いた空席にそれぞれ座って戦闘開始。

100円玉を入れ、台の横にある玉貸し機から玉を借り、ハンドルを回して打ち進めます。

クマの様子はよく分かりませんが、フィーバー機の大当たり確率は240分の1、早々当たるものではございません。


そろそろ小生の百円玉が尽きようとした時、クマが席を立ち上がりコチラに歩いて参ります。

何故か、パチンコ屋の店内にとんでもない違和感を覚える小生。

クマの周りでパチンコを打っていたお客さん達が、オドロキの表情でクマを目で追っています。

パリコレのランウェイをフルチンでモデルウォークする、たこ八郎レベルの注目度。


そして、小生にひと言。


「スリーセブンそろったよ」


この男、冷静な口調で何言ってんの!


スリーセブンが揃いアタッカー入賞口が開いたら、30秒以内に玉を入賞させないと「パンク」と呼ばれる状態になり、大当たりの権利が失われてしまうのです。


そうか!


大当たりを引いたままにして席を立つ行動に周りのお客さんは驚き、ビビリまくっていたのだ。


「早く戻って打て!パンクする!」


パンクの意味はわからずとも、小生の気迫を感じ席に戻るクマ。


あとを追う小生。


クマが席に戻るも上皿に玉が無い。瞬間。察した隣のおいさんが自分の上皿から玉をつかんで放り込んでくれる。


「早く!早く!」


後ろの席のおばちゃん連も興奮して叫びまくる。


ハンドルを回し玉を飛翔させるクマ。


カシャン、カシャン、カシャン。


「強過ぎる、もっと弱く!」


叫ぶ小生。


玉が強い力で飛びだすと盤面の左はしから右側まで飛び、飛距離が大きく、落下への動きが遅くなる。

慌ててハンドルを調整する、クマ。


小生の脳内ニューロンにパルスが駆け巡り、100分の1秒の世界で物語は進行する。


「来た!」


アタッカー入賞口に落下する軌道で流れ落ちる、命玉が来た!

アタッカーに飛び込まんとする、命玉。

その瞬間。受け口のように開いていたアタッカーの扉が、スローモーションのコマ送りで閉じてゆく。


30秒が経過したのだ。


扉がしまれば、大当たりの権利が終了してしまう。


ガチ〜ン!


扉が閉まる寸前、くだんの命玉がアタッカー扉の左はしに挟まり、扉は半開き状態に、


終わった、、、


よしんば命玉が扉からこのまま滑り落ちたとしても、アタッカーの左はしに入賞するだけで、


Vゾーンには届かない。


説明が後手後手だが、たとえ入賞しても、アタッカーの中央部、Vゾーンに入賞しないと、大当たりの権利は失われるのだ。


いまさら、この事をどのツラさげてクマに説明できよう。


クマの初パチンコは悲しいトラウマとして彼の脳に刻印されてしまうだろう。



その時だった、



クマが最初に打ち出した、盤面右側に射出された数発の玉が、時間差でアタッカー入賞口の半開きの扉へと落下。


ドガッ!


複数の玉が同時にアタックし、扉をこじ開け、


バラ!バラ!バラ!バラ!


アタッカー内部に殺到した。



その玉の1つがVゾーンを直撃!



痙攣したように扉が開き、大当たりは継続されたのだ。


「おい!こんな事あんのかよ!」


玉をほうりこんでくれた、おいさん。



「きゃ〜!」


パチ、パチ、パチ、パチ、


後ろで見ているおばちゃん連も、悲鳴を上げて大拍手。

おばちゃんとはいえ、見ず知らずの女性達から黄色い歓声を浴び、拍手を頂戴するなんて、芸人にでもならなきゃ、できない体験だ。

あまりの展開に、立ち尽くす小生。

もちろんクマは何が起こったのか理解していない。


その後の数十分間。玉が狂ったように払い出され、打ち止めの1万発を達成。


もとを引いても3万9千円の儲けだ。

大勝利を飾るクマの初パチンコ。


自販機で5、6本の缶コーヒーを買い、先程クマに歓声を浴びせてくれたお客さん達に振舞う、クマと小生でございました。



最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。(*´∀`*)

(⌐■-■)🍵🍵🐹ひもじい♥ (⌐■-■)サポートでシウマイ弁当食おな♥ (⌐■-■)🍱🐹モグモグ♥