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世界中にいる、あたしとあなた

大人になったものだなと思ったこと
私にとってそれは


詩集を買ったことです。



「あたしとあなた」谷川俊太郎

いうまでもなく、「あたし」と「あなた」についての詩集です。

私は今まで小説や漫画本なんかしか買ったことがなく、
せいぜい詩集は図書館で読むくらいでした。
すぐに読み終わってしまうのに、ちょっと手の出しづらいお値段・・・

そう考えていた矢先、この聖書みたいな装丁に目を奪われ、
思わず手にとってしまいました。


表紙をひらいて、驚きました。



ページが青色なのです。

とても繊細な紙質で
一枚一枚めくっていくのだけで素敵な気分になれます。


この「あたしとあなた」
谷川俊太郎さんの、いつもの、言葉遊びのような軽やかさも
なのに、日常の何気ないものにはっときづかせてくれるさりげなさも、
そのうちに秘めながら、


なんだか愛しあう二人の一つの物語みたいなのです。


短い言葉で紡がれた、「あたし」と「あなた」は
一編いっぺん別々の二人かもしれません。
でもきっとそれなりに長い期間一緒にいて
ある時は他人みたいにふるまいながら
またあるときは見つめあって微笑んだりします

そして、「あたし」と「あなた」の間には
避けられないもののように「死」が横たわっていて

「あたし」と「あなた」は
それを諦めたように、静かな目で見ている

「あたし」のそばにはいつも「あなた」がいて
甘くて美しくて、なぜか寂しい気持ちになる

そういう感じのする詩集です。


谷川俊太郎さんのこんな詩を読んだことがなかった私は面食らって
ガランとした青い余白に、色々なことを感じてしまったりします。


一編の詩に関して何か思うことはあっても
装丁も含めて、詩集全体を通して何とも言いようがない気持ちになったのは、この本に出会って、生まれて初めてでした。


私が一番好きなのは「朝」という詩です。

よかったら読んでみてください。

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