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The rise of the 541/523

原文→ https://thetacticalanalyst.wordpress.com/2016/03/25/the-rise-of-the-5-2-35-4-1/amp/

訳→とーれす(Twitter @torres9_vega )

このnoteでは、541/523の守備システムが使われ始めた2016年の記事を和訳した。なぜこれらのシステムが使われるようになったのか、このシステムにポジショナルプレーを取るチームはどのように対抗したのかを紐解いていく。

ではスタート↓↓

2016年、ドイツではこれまで以上に5バックのシステムが使われた。このシステムが周知されたきっかけは2015年、ブレーメンが5-4-1でバイエルンのポジショナルプレーを無効化した時のこと。これまで541や523がバイエルンやドルトムントに対する最も有効な守備のシステムであることは誰もが思ってもみなかった。

その年のバイエルンは圧倒的な強さでリーグの前半戦を戦い抜いていて、偽SB、逆三角形などの攻撃的な戦術はどのチームも止められないものであった。しかし、近頃ブンデスリーガのチームやユベントスが対抗策を見つけたのだ。それが5-2-3、5-4-1だった。

バイエルンのシステムはウイングが常に幅を取り、サイドバックが偽SBとしてハーフスペースを占領する。この偽SBの目的はウイングの選手に1v1のシチュエーションを作らせること。攻撃時、彼らはボールを保持し続けるため2-3-5のシステムを取り、またカウンタープレスを可能にさせた。これは縦横にコンパクトでカウンターアタックを志向するブンデスリーガの多くのチームに対して有効な戦術だった。ドルトムントも同じようなもので、こちらはウイングがハーフスペースに入り、SBが幅を取った。どちらのチームもコンパクトな守備組織を広げ、ウイングもしくはSBが1v1の状況を作ることを目的としていたのだ。

さて541/523がそれに対し有効な策となるのだが、それは最終ラインに5枚いれば幅をカバーすることができ、その上マンマークをすることで縦に広がることもなくなるからだ。

このシステムの最大の利点は流動性にある。SBが高い位置までプレスをかけても後ろは4枚残り、ポジショナルプレーを難しくさせる。ユベントスはバイエルンのビルドアップに対し、偽SBをウイングがハーフスペースに入りマークし、そこに近づいてきたウイングのリベリーをSBのリヒトシュタイナーがマークした。これによりバイエルンに残された選択肢はロングボールを放り込むというものだけに。

こちら↑はバイエルンの縦を消すユーベの守備。サイドラインに逃げる選択肢のみが残された。

こちらはマインツの523。運ぶアラバに縦のコースはない。

このシステムではウイングがハーフスペースから外側に相手を追い込む。よって外側の2枚、敵のウイングとSBに対応することができる。流動性。

ドルトムントに対するアウクスブルクの523。ドルトムントCBは縦が消されてると見てSBへ。しかしそこにはウイング、CMがマンマークでつかれてるため、バックパスを選択せざるを得なくなった。

他のシチュエーション。運ぶCB。縦のコースのウイングはすでにマンマークで消されている。前3枚の距離感は近く、中央を固めている。

しかし541が絶対的な守備陣形であるわけではない。どんなシステムにも必ず欠点があり、時間があればその欠点を見つけることができるはずだ。バイエルンは10月半ばまでブレーメン、ユベントス、マインツのこのシステムに苦しめられた。しかしついに先週彼らはケルンのその策を乗り越えてみせた。

LWがCBから離れることでフリーに。そのCBはLWをマークしようと少し前に出たため、CFに裏のスペースを明け渡すことに。マンマークの落とし穴。

3-3-4。左サイドでのオーバーロード。

レーンの掟として同じレーンに3人以上立つことは、縦のパスコースを1つ消すことになるためよくないとされる。しかしこのシーンでは縦に3枚が立ち、最前線の1枚がCBをピン止めし、ライン間を広げている。また、SBも大外の選手を見る必要があるため、ライン間にいる選手に寄せることができない。

縦のオーバーロードの他の例。ピン止めすることの重要性。

ここのシーンでも最前線のCFが右のCBをピン止めしている。よってCMがライン間でフリーで受けることが可能に。

ブレーメンに対する同じような策。

541に対抗する策としての1-3-6。右SBがあの位置を取ることで、5バックのSBとCBの間を広げる。自らの最終ラインが1v1になるのは非常にリスキーであるが。

CFがライン間に入ることで、その裏のスペースが空く。

そしてなんとペップはこのシステム、541もディフェンス時に用いている。DMがCB間に降りることで、CBがハーフスペースをカバーすることができる。
541システムからプレスをかけるとき、例えばCMが相手のCBにプレスに行ったとすれば、そのスペースをDMがカバーし、442のようなシステムを作る。

要するに541もしくは523のシステムは単なる流行ではないのだ。流動性が幅を取り、縦のパスコースを作ろうとする攻撃に対抗することができる。それこそが541/523なのだ。

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