人を動かすプロモーションは“旅する本”

石田 衣良さんの短編集『てのひらの迷路』の中に、「旅する本」という作品がある。白紙の本が公園のベンチに置かれていて、読む人が読むと、そこには文章が浮かび上がってその人の気持ちに寄り添うものがたりがはじまる。

その本は、読む人によって内容を変え、希望を与える。

たとえば、飼っていた犬を亡くしてしまった少年が読み出すと、その仔犬が我が家に来たときから、楽しくいっしょに遊んでいた時の思い出、そして亡くなってから天国でも駆け回るその犬の姿が描かれる。そうして、少年の悲しみは癒えの兆しを見て、彼なりの生活に戻っていく。

これは、(短期的な)何らかの態度変容・行動喚起を目指す情報発信としてのプロモーションも同様なのだろうな、と思った。

読む人が読まないと、その本はただの白紙の束。しかし、読む人が読むと、そこには自分の気持ちを代弁してくれたり、苦しみや哀しみを浄化してくれていたりするストーリーが詰まっている。

広告やコミュニケーションのあふれた世の中にあって、引っ掛かりを覚えて立ち止まることそれ自体、そうそうあるものではない。それでも、伝えたい、伝わって欲しい、できれば新しい考えや思いを持って欲しい、行動を起こして欲しい…そんな気持ちで、常に企画を考えている。

僕にとっての最近の“旅する本”は、不屈の男、慎泰俊。自分の運命は自分で決める│NewsPicks【保存版・チェックシート】慎泰俊、成長し続けるための自省リスト│NewsPicksだった。僕自身の転職のきっかけにもなった、人生の恩人である慎さんの書いた文章。自らの怠惰に失望を繰り返す毎日を律してくれる、そんな体験を、期待して。

あなたの最近の“旅する本”は、何でしたか?


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omoide

その時々に、思ったこと、考えたことを。
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