映画にまつわるXについて(著:西川 美和)

随筆文、エッセイというものが好きだ。何故なら、それは人の価値観だったり生き様だったりが露骨に出る文章であると同時に、「まあ、誰が読んでもいいや」という諦めから来る独白のような 自由なリズムが内包されているからだ。

自分が就職活動だとか転職活動だとかをしていたり、ちょっと人生に迷い込んだ先で読むのは、いつもこうした随筆文だった。たぶん、これからも。こうした文章には、筆者の何気ない日常におけるその人自身の考え方やクセと向き合う姿が垣間見えるため、読者である僕自身も同様、自分自身の価値観や生き様への想いと気軽に向き合うきっかけになる。なので、寝る前や週末の午後、何も考えたくない時なぞには、ふと手に取って読んだりしている。

この本に書かれているのは、映画を作るということ、脚本を書くということ、映画撮影の裏話などなど。映画監督をなさっている方ならではの切り取り方で、世の中を描いてくれる。文章そのものも、とても語彙が丁寧で読みやすく、すごく面白い。

面白かったのは、『ゆれる』で出資者・関係者の意見を反映させざるを得ず、幾度の改稿を経た脚本を読んだ香川照之が「どんどん良くなくなっている」と直接直談判したシーン。あの映画自体、すごく胸に残る作品だったからこそ、そうした裏話を読めたのはとても貴重なことだと思う。

一番気に入った章立ては、「x=裸」の章。筆者の思い入れのある映画の裸のシーンが数作品挙げられ、それぞれに講評とメッセージが述べられるのだが、それらがひたすら“男前”である。とある作品でのケイト・ウィンスレットの裸について「『タイタニック』の数倍良かったよ、ケイト」と呼び掛ける彼女の価値観は、職人気質のおやじっぽさすら感じさせる。

という訳で、とても面白かったので、よかったら皆さんもぜひ。

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読んでくださって有り難う御座います。

omoide

その時々に、思ったこと、考えたことを。
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