小児医療施設でウィッシュリストを運用するための導入ステップ総論

企画立案

背景として、何故、小児医療には寄附あつめが求められるのか?という前提を共有する。そこで、何が自分たちの施設に求められているのかを考えるきっかけとする。

医療機関における小児医療は不採算部門であるという前提はいわずもがなの話ではあるものの(出典:成育医療の不採算に関する検討 - 日本医師会総合政策研究機構)、今一度そのために見過ごされている自施設の予算配分の現状を把握したい。

何故、いま寄付なのか?のビジョン共有

小児医療にはたとえば、成人医療にはない医療保育士やCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)・HPS(ホスピタル・プレイ・スペシャリスト)のような仕事もある。

これらの人員の仕事については、報酬単価すら設定されていない。保育士は人員配置について施設全体に報酬があたるものの、CLS・HPSには医学的根拠の説明に至るアウトカムの証明が間に合っていない。しかし、手術や処置への恐怖を払拭し、こどもの人権を守る医療を叶えるには必要不可欠な仕事のひとつひとつだ。

だからこそ、小児医療施設は保育・療育のための玩具やツールを定期的に購入するし、人件費持ち出しでCLSらを雇用するところは少なくない。直接的な医療には関わらないものの、より良いFamily-Centered Careの実践と次世代の成長・発達に資する仕組みが求められているといえよう。

趣旨説明

仕組みは至ってシンプル。リストをamazonで公開し、寄付者は購入したものの贈り先を医療施設にしていただくだけ。こうすることで、下記のように小児医療施設でのうけ入れに懸念の残るものを避けることができる。

○使い古しで衛生面に不安の残る物品(粘土なども含む)
○アレルギー要因となる物品(ゴム風船など)
○誤飲の恐れのある細かい玩具(ビーズ類、小さいブロック類、プラモデル類など)
○アレルギー要因となる素材(ゴム風船など)
○鋭利なもの(はさみ、ヒーロー物で戦う武器、剣など)
○感染対策の観点からアルコール消毒の難しい素材(木製、布製のぬいぐるみなど)

ウィッシュリストでは、こうしたところをクリアしつつ、現場のニーズに即した物品を希望・それを送り届ける――ということが、実現できる。

なお、設定でamazonだけでなく、楽天など他サイトの希望物品についても掲載することが可能(Amazon.co.jp ヘルプ: 他サイトの商品をほしい物リストに追加する)。

贈る際には、メッセージやギフトラッピングもできる。クリスマスシーズンに合わせることで、“誰かが誰かの サンタクロース”になれる企画だと思う。誰でも、入院する子どもたちのサンタクロースになれる――そんな企画だとも言える。

ニーズ調査・分析/ウィッシュリスト組成の方針定義(α版)

何が求められているのか、そして「何故」「何のために」「どのように」使われるのか?を一般の方々向けに説明するため、Webアンケート(Googleフォーム)での調査を実施。

このとき、全職種に声を掛け、「何故」「何のために」「どのように」使われるのか?をフォーム回答という形式で公募すると良い。設問内容の例は下記のとおり。

■何が欲しいですか/何があるべきだと思われますか?
■それは何故ですか?
■どのように現場で使われますか?そして、どのような目標・成果が見込めますか?
■どのようなところで使われますか?(外来/入院病棟/退院支援・退院後のフォローなど…選択式設問)
■amazon(若しくは、その他通販サイト)のURLリンクを併せて御教示下さい

特に「どのような目標・成果が見込めますか?」という問いへの答えとしては、看護目標やリハ目標・保育目標・介入による効果など、専門職ならではのフレーズが入ってくると尚良い。

こうしてあつまったニーズを分析・このようなウィッシュリストの選定基準の枠組みから、ウィッシュリスト組成の方針を定義する。このケースでは、入院中に使用されるもので、かつ間接的な医療(癒し)・患者の療養環境の向上/きょうだい支援・家族支援につながるものを優先的に選定する方針を採った。

なお、初回はあくまでα版ということで、試験的な実施を踏まえて内外の意見・感想からさらなる企画につながるようにふりかえりをすることが前提となる。

これらの調査・分析、そして内部での検討を基に定まったウィッシュリスト組成の方針を踏まえて、実際のリスト作成となる。

情報公開・周知

できたリストを周知していく。ソーシャルメディアを使って、施設公式アカウント・個人のアカウント問わず、できる限りの方々に向けた情報接点をつくっていく。

途中経過としての報告も欠かさずに。様々な方々からのとどけものが来ること、同封されることのあるメッセージのことも併せて取り上げたい。

報告・ふりかえり・ウィッシュリスト組成の方針定義(β版)

寄贈された物品の紹介と御礼と共に、専門職の存在とその仕事内容、目指しているビジョンを併せて情報公開することが望ましい。医療施設は、そもそも地域のなかでも“何か起きなければ”おとずれることのない場所であり、それは小児科であれば尚のことである。「顔の見える」PRを通して、これからのつながりを醸成することが求められている。

じっさいに寄付された方からは「分かりやすい」「素敵です」「じゃあ自分も、って思えるぐらいの手軽さが良かった」という声を戴いてきた。事実、お金の寄付よりも実体が目に見えるモノであるため、より手ざわり感ある取り組みであると思う。

そして、α版のウィッシュリスト組成の方針の見直しをし、今後の公募条件やプロモーション手法、リスト掲載是非の基準などをより意義あるものとしたい。

「あれもこれも寄付で」という考えでなく、何故寄付でなければならないのか?という問いに答えられるような姿勢が望ましい。

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ビジョン

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