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【読んだ本】 数値で管理すべきは結果よりプロセスである/星野 佳路

この本を一言で言うと...

組織が最終的に目指している「ビジョン」に到達するための目標・プロセス管理の方法が学べる本

※「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げる星野リゾートが、それを実現するために実行している目標・プロセス管理方法が学べる本。

読むべき人は...

掲げている「ビジョン」と「目標・プロセスの管理方法」にギャップを抱えている経営層・マネジメント層

読んで学んだことは...

① 数値目標 (ノルマ) に囚われると進むべき方向 (ビジョン) を見失う

数値目標や予算を策定すると、それをいかに達成するかを考えてしまう。掲げているビジョンに近づくことが最終的な到達点であるはずが、目標や予算が出てきた途端に社員の判断がブレ始める。

② 数値目標 (ノルマ) を疑う判断力を養うべき

それでも会社として数値目標は必要だが、あくまで「目安」に留めるべき。
また、与えられた数値目標や計画が “当たり前である” と思考停止に陥らず、それが本当に妥当か・変更すべきでないかを社員全員が判断できるようになるべきである。

③ 数値で管理すべきは、ビジョン達成のための「ノウハウの蓄積度」や「顧客満足度」である

例えば、星野リゾートの場合「リゾート運営の達人になる」というビジョンを掲げているため、リゾート運営の達人とは何かを数値化して、それに近づいているか、そのための創意工夫をしているかを定期的に把握・管理している。

読んで思ったことは...

① 掲げる「ビジョン」の大きさと、現在の「実力」との乖離を埋めようとする、実直な姿勢が大事である

大きなビジョンを掲げることは、組織を運営する上でとても重要なことである。素晴らしいビジョンは人を惹きつけ、組織のブランディングや採用におけるアドバンテージを生み出せる。

ただし、大きなビジョンを掲げれば掲げるほど、現在の実力との乖離が生まれることも事実。この乖離をどのように埋め合わせていくのかの方針があるかないかが、長期的な組織運営の成功の秘訣なのだと思う。

一足飛びに乖離を埋めることはできない。
乖離によって顧客や社員の不満や不安が生じることは、ある時点では仕方のないことだったりする。でも、その時に実直にその乖離に向き合い、ビジョンに到達するための改善を怠らない姿勢が、顧客や社員の心を掴み、長期的に愛される組織に繋がるのだと思った。

②「数値目標 (ノルマ) に囚われると進むべき方向 (ビジョン) を見失う」はプロジェクトマネージメントにも同じことが言える

どんなプロジェクトにも決められたスケジュールがある。ステークホルダーの承認をもらう日やリリース予定日など、様々なマイルストーンをクリアしていかなければいけない。

プロジェクトのマネージメントをする立場の人は、当然この決められたスケジュールを遵守するためいかにスムーズに進行するかに苦心するわけだけど、これに固執しすぎるケースにたびたび遭遇する。

忘れてはいけないのは、プロジェクトの第一義的なゴールは「最終成果物のクオリティの最大化」であり、スケジュールの遵守やスムーズな進行ではない。スケジュールを守ることや進行のスムーズさの重要性は100も承知しているけど、最終成果物のクオリティを高めることに比べたら遥かに重要性は低い。

最終成果物が満足できるレベルにないのであれば、自らの責任でスケジュールを遅らせる。コミュニケーションや関係性がたとえ悪化したとしても、クオリティを向上するための非情な決断を行う。

その覚悟でクオリティに責任を持つ者が、本当のプロジェクトマネージャーであると思う。この優先順位を見誤ってはいけない、と切に思う。

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