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【読んだ本】 UX戦略/Jaime Levy

この本を一言で言うと...

ビジネス戦略とUXデザインを結びつける思考法である「UX戦略」について学べる本

読むべき人は...

① ビジネス上の成功確率を高めるサービスを作りたい経営者やマネージャー

② ビジネス戦略に立脚したUXデザインをしていきたいUXデザイナー

読んで学んだことは...

① UX戦略とは「ビジネスの目標を達成するための戦略」である。

・UXデザインは、ビジュアルデザイン、UIデザインなど無数の細部を含むが、UX戦略は更に大きな構図を示す。

・UX戦略は、一つのデジタル製品やオンライン体験に留まらず、複数のサービス・タッチポイントを横串で貫くもの。

② UX戦略は、以下の4つの基本要素から構成される。

・ビジネス戦略…競合に対して競争優位を保ち、市場で成長するための戦略。
・価値の革新…差別化とコスト優位性を実現し、顧客に新しい価値を提供すること。
・検証のためのユーザー調査…特定の顧客層が製品に価値を見出すかを検討する調査。
・革新的UXデザイン…価値の革新を前進させる、素晴らしいサービス体験を提供。

③ UX戦略は、以下の7つのステップを実行する。

・バリュープロポジションの検証…顧客に提供する価値を検証する。検証のステップは「主な顧客層の選定>顧客層の最大の課題の発見>暫定ペルソナの作成>顧客発見プロセスの実施>バリュープロポジションの再評価」。
・競合調査…直接的競合と間接的競合について調査し、競合一覧を作成する。
・競合分析…価値ある機能や機会を選び出すため競合を分析し、競合分析結果レポートを作成する。
・バリューイノベーションのストーリーボードへの展開…競争優位を持つ、価値ある革新的な機能や体験を発見し、ストーリーボードへ展開する。
・実験用プロトタイプの作成…小規模で構造化された、無駄のない実験を行うためのプロトタイプを作成する。
・ゲリラユーザー調査の実施…小規模なスピーディーな実験を行い、バリューイノベーションなどの仮説を検証する。
・顧客獲得のためのデザイン…顧客を獲得するために、UXデザインを最適化する。

読んで思ったことは...

① UX戦略は、UXデザインの上位概念に位置している思考法であると理解した。具体的には「ビジネス上の成功」をゴールとして、サービスの提供価値を策定し、具体的なUXデザインへの落とし込んでいくための、調査・分析・実験・検証の思考プロセスである。

通常、UXデザインは、これよりも下位のユーザー体験やユーザビリティの向上を目的とした行動を指すが、UX戦略はビジネス上の成功まで視点を高め、ビジネス戦略とUXデザインを結びつけるサービスづくりを志向している。

また、ユーザーに近い場所で実験や検証を繰り返すことで、MBAなどで学ぶ専門的な知識を必要とすることなく、ビジネス上の成功確率を高めることができることに価値がある思考法であると解釈した。

② 特に、事業会社で新しいサービスを作る上では、フィットしやすい思考法だと感じる。というのも、すでにこれに近い形でサービスづくりを行なっているケースが多いと思われるから。

現状のやり方に加えて、特にこの本で紹介されている。提供価値を発見していくプロセスや、ユーザーへの実験と検証を行っていくプロセスの具体的な戦術(フレームワーク)を取り入れるだけで、よりビジネス上の成功可能性を高められる可能性が高いと感じた。

③ ユーザーの声や競合情報を基にしたサービスのつくり方のため、全く新しく革新的でイノベーティブな提供価値を生み出せる思考法かといったらそうではない。「デザインの次に来るもの」という本で記載されていた「漸進的イノベーション」を行い、かつそれを実際のユーザー体験やユーザビリティに落とし込んでいきたい際に、役に立つ思考法だと感じる。




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