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営業と開発の仲が悪い根本原因

概要

ふたつのコミュニケーションスキルの違いについての考察

背景

暗示と明示に感じる価値が、営業と開発で違いすぎるのでは?という疑念が生じた

コミュニケーションとは

あらためて、発信者と受信者間でおこなわれる「コミュニケーション」について考えてみます。言葉や表情など、人どうしの直接的なやりとりだけでなく、道路標識や工業デザインなど間接的なやりとりもコミュニケーションの範疇に含めるとするなら、コミュニケーションには以下の役割が期待されます。

1.発信者と受信者の認識すり合わせ
2.発信者の期待どおりに受信者が反応(行動)する

「期待どおりに」と聞くと、なにか悪意によって操られてしまうかのような印象を受ける人もいるかもしれませんが、たとえば質問するということは、回答してもらうのを期待(してタスク化)する行為であり、発信者が悪意を込めるかどうかや、受信者が悪意を感じるかどうかは別次元の話です。

1.すり合わせ

まず、意味が通じないならコミュニケーションは成立しません。
以下の道路標識をご覧ください。

"転回禁止" を意味します。

2.受信者の行動

日本が「転回してはいけない」と発信し、自動車の運転手が「転回してはいけないのだそうだ」と受信し、かつ「だから転回しない」と認識し、実際に転回しなかったときにはじめてこの道路標識が期待どおりの役割を果たすことになります。

しかし、自動車の運転手は以下のように考えるかもしれません。

ここは転回禁止の場所だが、警察に見つかった場合の罰金や加点はとくに気にならないから転回してしまおう

これで "うまくコミュニケーションできている" と考える人は少ないのではないでしょうか。認識をすり合わせた上で、発信者の期待どおりに受信者が行動するかどうかが問われるコミュニケーションは、発信者が期待したとおりになるよう発信しなければ成立しないのです。すなわち、以下のように事前準備をしたほうが、成立する確率は上がると見込めます。

0.発信者が自分の期待する結果をできるだけこまかく認識する
1.発信者と受信者の認識すり合わせ
2.発信者の期待どおりに受信者が反応(行動)する

導きスキル

期待結果が得られるよう発信し、受信者をうながすコミュニケーションスキルを仮に "導きスキル" と名づけます。

企業の営業担当は顧客に自社のサービスを購入してもらうよううながしますし、カスタマーサポート担当は、モンスタークレーマーに冷静になってもらうよう話します。「買って」と伝えるだけで買ってくれる人は少ないでしょうし、逆ギレして怒鳴れば黙ってくれるモンスターも少ないでしょう。

人をうながすためには、言うべきことと言うべきでないことがあります。その線引きや取捨選択が上手にできる人こそ "導きスキルが高い" のではないでしょうか。導きスキルが高い人は暗示がうまいんですよね…。言った言わないの問題を回避しながら、明示にばかり頼ろうとしません。私はどちらかといえば、(昔は逆だった気がするが)暗示より明示を優先するほうですから、暗示されたことを明示的に確認したりしていますw

暗示にせよ明示にせよ、人をうながすのはそう簡単にはいかないうえ、業務効率の観点から、できるだけ短い時間で期待結果を手にする言動が求められます。経験をつみ百戦錬磨となった人はやがてチームリーダーとなって、対外的な活動だけでなく対内的な仕事すなわち引率や指導もおこなうようになるかもしれません。つまり、導く相手が増えます。

どうはたらきかければ仲間のパフォーマンスが上がるか、誰になにをまかせれば自分のパフォーマンスが上がるか、毎日毎日、期待結果が得られるようチーム全体に配慮しつづけるのはたいへんです。

導きスキルが非常に高く百戦百勝の人だって、ミスはするものですし、計画に抜け漏れが生じることもあります。期待結果が相手とすり合わせできていない状況はじゅうぶんありえます。そこで必要なのが「これはこういう意味でとらえています。合っていますか?」「この範囲をやります。じゅうぶんですか?」と確認するコミュニケーションです。

次の記事では、"確かめスキル" について考えてみます

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