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【5分で読める】エンジニアが、英語力を気にする前に気にするとよいこととは

先に結論を申しあげます。「自分が考えている内容とともに、そう考えるにいたった経緯や根拠を適切な分量や区分や体裁で、日本語で的確に表現しているかどうか」を気にし、その表現力を伸ばすとかなりメリットが見込めると思います(あなただけでなく相手にも)。また、そういった表現力を伸ばしたいと考えているエンジニアの方を以下より募集しております。応募 → 即雇用の話というわけではなく、まずはお互いの需要がマッチするか相談する機会をもうける目的で、お気軽にお声がけください。

対象の読者

「実装技術にかかる公式ドキュメントとか調査に出てくるネット記事とか、多くが英語だから、やっぱ英語を勉強しないとなあ…」と考えている方や、日本語を母語としない相手とコミュニケーションするのに苦労されている方もしくはまだ苦労してないけど今後チャレンジしたい方を対象とします。あるいは「ふうん、タイトルや導入部からするに、ネタ的におもしろいかもしんないな」と期待してくださっている方にも配慮して書いてみます。
逆に「母語の表現力の伸長に課題があることくらいわかっているし、自分なりに努力して、なんとかコミュニケーション齟齬は回避できているいるわい」と自信たっぷりな方には、残念ながら白けた内容となりそうです。

課題提起

まず以下のツイートをご覧ください。

オオカミの吹き出しを読んでみると「おばあさんと会う前に手を洗おうね。」とあります。大事なので太字つきで繰りかえします。「おばあさんと会う前に手を洗おうね。」
いっぽうで、おおきな見出しが「お出かけの際には手洗いを。」とあり、英訳「Please wash your hands when you are going out.」が記載されます。

お出かけの際には手洗いを、と言われて「それおかしくない?」と返せる日本人はおそらく少数派なんじゃないかと事実確認なく勝手に推察します。だいたいざっくり通じるもんだと思うんです、日本人どうしの日本語って。日本人とは、高コンテキスト文化が根付く傾向の強い集団ですから、表現が多少あいまいだったりズレていたりしても、脳内で調整変換され、なんとなく納得できればそのまま素通りです。「出かけたら手を洗えってことでしょ」と。

その、なんとなく納得が、いつの間にか「ちゃんと認識すり合わせできている」といった勘違いにかわって死屍累々なのがソフトウェア開発の現場です(怖

考察経緯

最初、英訳を読んで「ん?」と感じました。「『when you are going out』って…、手を洗うのになんでそのタイミング?」と。直感的に「出かけようとするとき」と読めたんですね。たとえば「Don't forget to take your umbrella when you go out.」だとすると、スッと受けいれられます。傘はだいたい玄関にあるものでしょう。家を出るときに傘を忘れずに持っていかなくちゃだめよ、と。
いっぽうで当広告にあるのが「(どこかから)出ようとするときに手を洗え」だったので、うーむ。じゃあ原文見てみるか。「お出かけの際には手洗いを。」ああ…、出た出たあいまい語…。

想定ツッコミ

たしかにそういうふうに捉えることもできるけど、このwhenはwhile的な意味でもとれるし、その場合には近未来としてのingではなく継続的状態をあらわすものだから、あながち間違いとは言えないと思うよ?
こまかすぎ。そんなのに目くじら立てなくてよくない?だいたいわかるじゃん。
代案もなく外から批判だけして暇人乙。

提案たたみかけ

冷静に考えてみて。なんのために赤ずきんちゃんとオオカミのイラストを制作したんじゃい。オオカミが「おばあさんと会う前に手を洗おうね。」って言うてるやん。だったら「Wash your hands before you meet somebody.」でえんちゃうの?「誰かと会うならまず手洗いを。」を見出しにすればイラストとの整合性が保てるでしょ!!!!!!!

ごめんください悪ノリしました…。

なお、簡体字中国語で「出門時、先洗手(読めるよう日本の漢字に変換)」と書いてある時点で、中国語のわかる方に見せれば多分ツッコミあったんじゃないかな…、とは思います。以下、例としてGoogle翻訳の結果を。

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ね。生活習慣から考えると、ちょっとヘンでしょ。

解説

外国語の文法を誤ったのではなく、そもそも日本語の原文があいまいで、日本人が習慣的につかう言い回しが設定されたんですね。端的には、日本人による不適切な日本語と言っても過言ではありません。

たしかに、家を出る前に手を洗うのもいいですよね、それはそれで。しかし「誰かと会う前に」とか「鼻や目や口に触れる前に」とか「帰宅したら」とかのほうが、より場面設定がうまくいって、習慣的に納得しやすく、認識がずれにくくなると思いませんか。事実、風邪をひいた原因に「(菌やウイルスの付着した手で)鼻をほじった」が一定あると医学や統計で常識的にあるらしくて(笑)、いや笑いごとじゃなく、汚い手で粘膜さわっちゃだめなんですよホントに。興味のある方は内科医に相談してみてください。「鼻ほじったらダメなんですかー!!?ほじりたくてしかたないんです!」と。

殺菌ずみの手袋でも着けていくらでもほじるといいさ。ただし鼻血が出ない程度にね。

とか返されたら、その内科医はきっと村上春樹が好きです(笑)

閑話休題。
ここまでお読みくださりありがとうございます。うまく伝わっていると嬉しいです。英語など外国語をがんばるのもよいのですけど、その前にまず、自分が伝えたい内容が母語できちんと伝わるかどうか、きちんと伝えるためにどうするとよいかこそ大切です。認識を適切に表現することを最優先にし、並行して少しずつ外国語を勉強するくらいでちょうどよいと思いますよ。

TIPS

日本語テキスト(記事やドキュメントのコンテンツ)の推敲や自己改善努力の目的で、私がたまにやっている方法を紹介します。よかったら試してみてください。多少の英語力を必要とします。エキスパートでなくても全然いけます。

翻訳ツール、いろいろありますよね。GoogleもMicrosoftもDeepLもあります。まず日本語で書いてみて、英語に翻訳された文を読むと「あれ。そうかそうなっちゃうのか。それじゃちょっと違うな」と気づけます。そこで、加筆訂正ですね。選択した言葉を変えたり、つけたしたり、入れかえたり、余計な接続詞を消したり、さまざまおこなって再度翻訳してみると「お~そうそう。こういうことよ」と納得いきます。納得いくまでやるんです。反復練習です。

おわりに

実は、社内で「ブリッジSEってどうなの?」と議論したのをきっかけに、上記のような考えにいたりました。

ミーティングの際には聞き話しの能力が求められますし、ミーティングをまったく要しないソフトウェア開発ってありえないとは思います。ただ、ドキュメントがきちんと書けていれば、ミーティングのサポートくらい現体制でじゅうぶん可能です。なので、現時点で英語力に自信がなくとも、興味や努力さえあればOK!やろうぜ!と結論づけました。ご興味あったら、以下の記事もぜひご高覧くださると飛んで喜びます。どうもありがとうございます。



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