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『ファントムテイル』 編集後記②

昨日書いた編集後記がありがたいことに好評で、もっと技術的な話も聞きたいという声もいただきました。

ということで、お言葉に甘えてテクニカル編を綴りたいと思います。


【撮影】

今回はガイアクルーの大塚さんにもカメラマンとして入っていただき、2名体制で望みました。

カメラは4台。記憶の範疇で書くので正確じゃないかもしれません。

〈A cam〉
operator:大塚さん(上手側から)
camera:LUMIX DC-GH5
lens:LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 Ⅱ

〈B cam〉
operator:登坂(下手側から)
camera:LUMIX DMC-GX7MK2
lens:LUMIX G VARIO 12-60mm F3.5-5.6 

〈C cam〉
センター客席後方固定。
camera:LUMIX DC-GH5
lens:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

〈D cam〉
センター舞台面側固定。
camera:GoPro7

A〜Cカメは4K収録しています。
確かf5.6 iso 1000 シャッタースピード 1/100秒 とかだったと思います。

シャッタースピードは結構悩みました。理由はファントムです。ファントムを綺麗に写すためには1/20秒くらいまで下げないといけなかったんですけど、それでは人の動きがカクついてしまいます。結果としてはゲネプロで1/20秒で撮っておいた素材を部分的に使いました。

絞りは俺が使ってたレンズが望遠側に行くに従ってF値が大きくなってしまうのでそこに合わせて決めましたが、結局撮ってる間に暗いシーンとかでは開けてました笑

やはりマイクロフォーサーズは大好きなんですけど暗所性能が厳しいので、どう付き合っていくかは課題ですかね。

さて、機材はざっくり以上で、撮り方の話。

機材見て貰えばわかりますが、この装備では僕と大塚さんはお互いが何を撮っているかわかりません。素材はバラエティ豊富なことが望ましいですが、推し被りしてしまうかもしれません笑

ですので、基本的にクロスで(大塚さんが下手、登坂が上手を)狙うという約束事にしました。これで多くの場合は役者の顔が撮りやすくなります。多分一般的な。撮り方だと思います。ただ、小劇場で35-100mm(フルサイズ換算70-200mm)は結構攻めてるので、大塚さんが撮りにくそうなグループショットは積極的に撮りに行きました。逆にマリコさんや鬼丸さんが立っている張り出し部分は、僕からは狙えないので大塚さんにお願いしました。

あと僕は全編にわたって手持ちで撮ってます笑
下手したら怒られそうですけど、ちょっとファジーなカメラワークとか、地響きの表現とか昨日お話しした強めの味付けの一環です。

前作『Colors2』をやってなかったら(手持ちを)やってなかったかも。やっぱり演劇のイメージと離れ過ぎてしまう懸念がありますので。
とにかく面白い画の枚数を増やすことを意識しました。


【編集】

1920×1080 29.97fpsで仕上げたはず。

4K収録はオーバーサンプリングで綺麗に、という目的よりも、クロップしたりして編集の自由度を上げるためでした。C camの素材は客席を映さないように基本的にクロップして使用しています。

演出的に結果として多くなったのが八雲と佐伯の二分割面ですかね。
やっぱり物語を動かしていく二人ですし、セリフを回していくことも多かったので。こういったシーンで4K素材が利便性を発揮するわけです。

舞踊は難しかったですね。ミュージカルも何本もやってきましたけど、それとも違うし。素材をいくつもオーバーラップさせて幻想的にしてみました。足元からのパンアップとかは完全に登坂の趣味です。こういう演出は普段なら多様しませんかね。今回はOPを編集してる時にキャッチーにしたくてオーバーラップしまくったら頭がラリっていろんなところで使っちゃいました。

アクションシーンはいつも通りと言いますか、編集点にこだわりがあるんですけど、興味がある方は登坂製のDVDを見返していただけると面白いかもしれません。今回は手持ちでの撮影素材で、より臨場感を演出できたのではないでしょうか(やり方が学生の時から変わってねぇんだよな…)

最後にエンディングはカーテンコールをカットという指示が入ったので演出の足立さんの助言もあってクレジットロールを入れています。不要論もありますが、映画みたいでいいよね!って個人的に思っています。あとこの曲かっけぇ。


さて!語り尽くしたかな!

個人的にも発見の多かった配信版『ファントムテイル』

リバイバル配信や商品化されることがあったらこの編集後記も思い出してもらえたら嬉しいです。

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