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「とさレモンの背景」の背景(後半)

前半で記したように、新しい作物へのチャレンジや有機認証取得に関しては、農家さんの負担とリスクがとても高く、よほどの信念か余裕、マンパワーがないとなかなかできることではありません。ここでは、前半記事の「第3」の動機について少し詳しく書きたいと思います。

[栽培方法のこと]
有機認証を取得するためにはお金もかかります。更新時も然り。長年有機JASを維持している農家さんはコストも(書類作成など申請手続きにかかる)手間もかけなければなりません。 
それなのに、日本における有機、オーガニックに関する私たち生活者の認識はとても曖昧で、誰かが「無農薬」と言えばそれはイコール=オーガニック、と捉える人がほとんどです。でも、どんなに志高く手間をかけてつくられた農産物でも、本来は認証をとっていなければオーガニックと呼ぶことはできず、日本ではなかなか広まっていないのが現実です。

一方で、有機認証そのものに異論を唱える人もいます。有機認証=無農薬ではありません。認証された農薬や肥料とその使用量が定められており、その範囲内であれば使用することができます。ですので、いわゆる完全無農薬・無肥料栽培をされている農家さんには、有機認証の基準や在り方について批判的な方もいらっしゃいます。農業で使用される有機物(肥料に含まれる窒素など)が過多になって引き起こされる地下水などの水質汚染も日本各地で発覚している例もあり、農薬以上に有機・化成にかかわらず肥料そのものを問題視する見方もあります。

もし、人間にも環境にも「都合の良い」ベストな栽培方法がもしあれば、誰もが実践していることと思いますが、残念ながらそれはありません。畑の条件はみなそれぞれ異なり、これが良いとされる栽培方法も場所が変われば不適応なことも。

とさレモンの会が目指すのは、生産者にとっても環境にとっても「持続可能な栽培方法」でレモンを育てること。そしてそこに共感する生産者さん、栽培する人が少しずつ増えていくことです。
農薬や肥料の使用量を少なくすることは、コストの削減にもなります。年に数回、除草作業をみんなで手伝うことができれば、除草剤を使わずに済みます。

それでレモンが必要分の実をつけることが実証され、それを支持する人が増えれば、自ずと栽培方法を変えてみようと思う農家さんも増えるのではないかと考えています。さらには、レモンをきっかけに、その他の作物も環境負荷の少ない栽培方法に転換する農家さんが増えるかもしれません。志の高い農家さん同士が、それぞれのノウハウや疑問点などもシェアできる場が作れれば、とも考えています。

レモンはきっかけ。人が繋がり良い輪が広がって、高知に足を運ぶきっかけです。

※写真は2021年春に、とさレモンの生産者メンバーと訪れた、広島のレモン畑。全量自然農法で栽培されている畑を見学させていただきました。

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