気狂いピエロ
作:ウダタクオ 2006年09月20日
気狂いピエロ
不思議な男だった。
私はパイプ椅子に座ると空を見上げた。
秋の空は雲を浮かべるのが上手だ。あの雲を持って帰りたい。
私は目を閉じると今まであった幸せな出来事を思い出そうとした。
ここではないどこかへ消えて無くなりそうになる。
私のすぐ横に一人の男が立っていた。
彼は私にしゃべりかけてきた。ごく自然な感じだった。
1万メートル上まで上がったことある?
空が青いんだよ
オレ吐いちゃってさぁ
自衛隊じゃないから
見えないでしょ
税金?そう税金で、お兄さんも払ってるやつね
お兄さん頭つかったことある?
彼は自分の頭を人差し指で2回軽く叩くと私にそう言った。
ないなぁ、と私は思った。
彼は夏の思い出の中に消えていった。季節は秋なのだ。
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以下、あとがきです。
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