どったの、センセー?

ここ数日ルーニー・チューンズを見返してるのだけど、ロードランナーシリーズ以外も今見ても面白い。選集だからそりゃ粒ぞろいだろうというのもあるけど、でも60、70年も前のアニメを「今見て」楽しめるっていうんだからすごい(てかロードランナーシリーズが入ってないんだけど、ツタヤ借りた二枚には)。

チャック・ジョーンズもフリッツ・フリーリングも「最初から大人向けに作っていた」という趣旨のことを言っているけど、やはりそれは大きいんだろう。

激烈なテンポ、思い切った省略、演技(「作画と演出」だけど、アニメキャラたちの「演技」と言いたい)、絶妙の間合い、タイミング。めちゃくちゃ勉強になる。とはいえ、完成度が高すぎるので、そして何よりもやはりアニメなので(アニメの特質を活かしたものなので)、実写でこういう漫画映画的スラップスティックをやろうとしてなかなかうまくいかないのも分かる気がする。

興味はありつつも公開当時スルーしてしまった「ロジャー・ラビット」(86)、「スペース・ジャム」(96)「ルーニー・チューンズ・バック・イン・アクション」(03)も見てみないと。ボグダノビッチの「おかしなおかしな大追跡」(72)は、これもまたソフト見かけたことなかったので見れてないけど、原題を「what's up Doc?」というらしく、これはバッグスバニーの口癖。内容も漫画映画からの影響が濃いとのこと。

と同時に、漫画映画より前の時代ということになる、サイレント期のスラップスティック喜劇ももっと見たいのだけど。ワーナーの名脚本家マイク・マルティーズ(チャック・ジョーンズとコンビを組んでたとのこと)は、セネット喜劇的なギャグが得意だったそうだ。

サイレント期の喜劇が、いかにして実写でスラップスティックをうまくやっていたかをもっとよく掴みたい。「コメディ感覚」とか「ユーモアのセンス」という言葉はあるしよく使われるけど、「スラップスティック感覚」という言葉が、それらとは重なる部分はありつつも別のものとして、あると思うんですよ(小説においてこそ最もわかられにくい感覚だけど……という例によって例の愚痴はともかく)。

DVDには当時のスタジオの製作状況を伝えるドキュメンタリーも入ってて興味深い。また、セリフ抜きでサウンドトラックだけ流すバージョンもあったりして、喜劇にとって音楽がいかに大切か、ワーナーのカール・スターリングやトムとジェリーを担当したスコット・ブラッドリーの仕事がいかに素晴らしいものかがよく分かる。

ところで、バッグス・バニーって日本であまり人気でないのはわかる気がするけど、コメディアンでいうとビリー・クリスタルのスタイルに近いか。ちょっと意地が悪くて、弁が立って、要領よさげなところとか。

それにしてもワーナー漫画はよくしゃべる。こんなに饒舌だとは記憶になかった。キャラクターはいっぱいいるけど、メル・ブランクという声優さんがほとんど一人で当ててるんだという。昔テレビ放映してたときはもちろん吹き替えだったから、それも今回初めて知った。あの「ウサギ猟、解禁」とか「荒地」とか、一言状況設定をいう吹き替えナレーションは、けっこう好きだったけど。(テレビ放映時はスタッフクレジットはカットしてたのかもしらんですね)。

3行で済ますつもりが長くなってしまった。

いただいたサポートは子供の療育費に充てさせていただきます。あとチェス盤も欲しいので、余裕ができたらそれも買いたいです。