土佐山アカデミーの定点観測 改め 土佐山アカデミーと、言葉 vol.01「オモシロガリスト」

土佐山アカデミーが大切にしている「言葉」と「価値観」を一つづつ掘り下げ、一冊の本を作っていく新企画です。
東京在住のサポートメンバー髙木健太さんに、第三者視点でレポートしていただいています。

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人には、それぞれ辞書があります。

例えば「優しい人が好き」。好みのタイプは?なんて聞かれた時によく聞かれる答えですが、「優しい、ってどういうこと?」と踏み込んでみたら、その定義は人によって違うものです。「仕事とは?」「人生とは?」密着ドキュメンタリーではないですが、聞かれてパッと答えられますか?自分に置き換えてみるとパッといかない。曖昧な内容のまま、埃をかぶっている人も多いのではないでしょうか。

曖昧な言葉。
例えば「地域おこし」や「関係人口」。行政の作った定義はありますが、意味するところは、属性、特に住んでいる場所や環境によって大きく違うことでしょう。広く使ってもらうために、曖昧にせざるをえない言葉の持つ、気持ちの悪さ。口にするたび地味に溜まっていくそのストレスを解消したい。土佐山の価値観にピッタリくる表現を見つけたい。それが、この企画を始めたきっかけの大きな一つです。ちなみに「関係人口」、総務省のページには「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です」とあります。多様、がモワッと感を出していますね。

土佐山アカデミーの辞書の「か行」を開いてみるとこうあります。「土佐山に、役割を持つ人」。
以前、吉冨さんはこう話してくれました。
「『関わり』じゃなくて『役割』だと思う。2013年、地域に関わるぞ!っと肩肘張って土佐山に来て空回りしていた僕が本当の意味で地域の役に立てたのは、パソコンを教えるってことだった。でも、その役割が信用に繋がって、地域の方と話せるようになってきた。
さわっている、と、支えているの違いというか、やはり交流だけだと『さわっている』になる。でも、どんなに小さくても役割があれば『支えている』になる。これから地域に関わってくれる人には、『役割が持てるからこそ地域は楽しいよ』って言いたいし、これからも全国に役割を持つ人を増やしたい」
なるほど。言葉をしっかりと紡いでおけば、ブレることがない。

土佐山アカデミーが今年かかげた言葉に「オモシロガリスト」があります。
これは「どんな状況でも課題を資源へとポジティブに変換し、オモシロガリながらアイデアを考え、人を巻き込み、課題解決が行える人材」のことを指し、それを学べる場を目指す、という旗印でもあります。

どうでしょう?「『地域おこし』のための『関係人口』になりませんか?」と「次、何して学んでオモシロガリストを目指しましょうか!」どちらの方が魅力的、かどうかは人を選ぶかもしれませんが、どちらの方が印象に残るか?違いは明らかだと思います。どこの地域にも、自然はあって課題もある(地域、なんて一概には言えませんが。言葉に敏感になってきますね)。そしてその分、魅力もある。差別化が難しい中で、言葉のもつ面白さ、楽しさから入ってもらえたら。興味を持って、好きになってもらえたら。そんな想いを持って、土佐山アカデミーは言葉と向き合っています。

なので、違和感のある言葉に対して腕を組み、眉間にシワを寄せています。「都会の定義を何と変換したらいいのか」と。
コンサル、インターンシップ、アドバイザー、シンクタンク、研修…主に横文字。自分たちが便宜上、使わざるを得ない場面でストレスは溜まる。だからこそ、言葉としっかり向き合おう、と決めたんですね。そして、有言実行し、オモシロガッテいる。

「最近は何をオモシロガッテいますか?」月一の定例で聞いたらこんな答えが返ってきました。

広告代理店出身で、県の観光ポスターなども手がける吉冨さんには、大きな広告案件の相談が。それも広告案件と捉えず、「きた!」と速球のように捉え、真っ赤なスケジュール帳はジェットコースターのようだ、と。スタッフの下元さんは、頭で学ぶプログラムではなく、土佐山の自然をフィールドに体から学ぶプログラムのために、自身を使って「人体実験」している、とオモシロガッテいました。

共通して言えるのは、自分を俯瞰してみていること。メタ認知、と言われるものですね。高いところから、客観的にみている。
「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」。チャーリー・チャップリンの名言を思い出しました。世界的オモシロガリストの先駆者が行っているのだから間違いない。これが、オモシロガリの秘訣ですね。

言葉を紡ぎ、辞書を作る。そう決めてから言葉に敏感になってきた土佐山アカデミー。これからどんな言葉を新たに定義づけていくのか?オモシロガッテ取り組んでく様子をレポートしていければと思います。ぜひみなさんも秋の夜長、自分の辞書の埃をはらって、言葉と向き合ってみてはいかがでしょうか?

最後まで読んでいいただき、ありがとうございます! いただいたサポートは、中山間地域の課題を「たのしく」「おもしろく」解決するための活動に使わせていただきます! まずは土佐山から、そして高知県から全国、世界へと広げていきます。