Fast alone, Far Together.

「なんで組織を作るの?どう考えても個人でやったほうが早いタイプでしょ?」

今やっている活動を大学3年生で始めた頃、「なぜ組織を作るのか」ということをゼミで一緒だった友人に聞かれたことがある。

彼は非常に観察力のある男で、どこでそんな様子を見ていたのかと思うようなドキッとする質問を時折投げてくる奴であった。今でも会うと相変わらず鋭い。その後記者として文藝春秋だが文春だかに就職した後、結婚して地元に帰って家業を手伝っているはずだが元気にしているだろうか。

あれは彼のシェアハウスでゼミメンバーで飲んだ後に泊まることになり、何人かでその家のリビングで雑魚寝していた時に聞かれた言葉だ。

その鋭い彼は、僕に組織を作った理由を聞くわけだ。

なぜ組織を作るのか?どう考えても個人でやったほうが早いタイプだろ?あの協調性のない安部が組織を作る意味があるのか?と。

どうも友人たちから見れば僕は集団行動が得意そうには見えなかったのだろう。

実際にすでに個人として色々な企画をしていたし、もちろんその時その時で必要に応じて助けてくれる人たちもいたので、わざわざ組織として定義する必要もなかった。わりと、ひとりが好きだった。集団なんて面倒臭い、という考えもいくらか持っていた。

そして、僕が思っていたよりも随分とはるかに、組織を作るということは難しいことであった。いや本当に何度でも言うけれど組織を作るというのは大変。ほんと大変。血の涙を何度流したか、というレベル。

そんなわけでまちがいなく、人と一緒に何かをし続けることを甘く見積もっていたところがある。

それでもあれから7年。僕らの作ったリディラバという組織は学生や若手社会人のボランティア600人が関わる組織を経て、2年少し前に方針を変えて今はちゃんと雇用も作りながら社会に働きかけていく組織になった(ちょうどこの一年で8人くらい正職員として雇った)。

働く人、プロボノで手伝ってくれる人、会員としてサポートしてくれる人、ツアーに参加してくれる人、クライアントの企業の方、学校の先生、自治体の職員の方、ファシリテーターのボランティアの方。本当にいろいろな形でたくさんの人に関わってもらっている。

今改めて過去を振り返ると自分の見積もりの甘さを反省することは少なくない。それでもあのとき考えていたことはやはり正しかったように思う。

Fast alone, Far Together.

(早く行きたいなら一人で行け。遠くに行きたいならば、みんなで行け。)


僕は遠くまでいきたいのだ。

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