書店の在庫管理が変わると出版社の営業の在り方も変わるかも知れない。けれど、その前に、とりあえず書店の店頭在庫を確認したい。できればネットで簡単に。

 近刊検索デルタの姉妹サイトとして『重版出来ですYO!』というのを動かしています。最初は版元ドットコムの中で動かしてたんだけど、いつ作ったのかな、すっかり忘れてしまった。自分で借りたサーバーでやり直したのは2016年の3月からです。

 その『重版出来ですYO!』の個別書誌情報ページに、全国書店案内・旭屋書店・有隣堂・TSUTAYA・未来屋書店・三省堂書店・ジュンク堂書店・丸善・文教堂書店・啓文堂書店(6/11追加)・喜久屋書店(6/12追加)・大垣書店(6/13)・コーチャンフォー(6/13)・勝木書店(6/14)の店頭在庫確認ページへのリンクを追加しました。「リンク先の情報を取得して串刺しで在庫状況を表示する」という具合にはなっていません。単なるリンクです。ショボくてすみません。もっと前からやっててもおかしくなかったんですが、なんでやってなかったんだろう。

 たまたま先日Twitterで「全国書店案内」(東京都書店商業組合青年部が運営している全国の書店店頭在庫検索サイト、残念ながらスマホに最適化されていません)を紹介したところ、ぼちぼち反応がありました。そうか、思った以上に知られていないんだな、というのが感想です。

 もっと何度も紹介しようかとも思ったんですが、どうせなら『重版出来ですYO!』にリンクを貼ってしまえばいいということに気づきました。ついでに、店頭在庫を検索できる書店サイトは幾つかあるので、それらについても、改めて調べた上で、簡単にリンクできるところだけリンクしました。とはいえ、先程も書きましたが、単なるリンク集なので、使い勝手が良いかどうかは疑問もあります。

 さて、せっかくリンクを貼ったのですが、考えてみると『重版出来ですYO!』に載せたアイテムの在庫だけしか確認できないのももったいない話です。店頭在庫は出版社の人間にとってはけっこうな関心事なんですが、日販のオープンネットワークWINとか紀伊國屋書店のPubLineとかその他個別の書店のPOSデータ開示システムなどと契約していないとさっぱりわからないんですよね。

 ということで、ISBNコードを入れるとオンライン書店・リアル書店の在庫検索画面へのリンクが表示されるというページを用意しました。出版社向けなので非常にあっさりとした画面になっています。
https://honno.info/ttzk/

 売行調査は出版社の営業のかなり大事な仕事でした。が、とにかく手間がかかる。ところが、POSデータの登場で、すっかり置き換えられてしまいました。業務としてはガラッと様変わりしてしまった。売行調査のために店頭に出向くとか電話やFAXを使うとか、そういう仕事は消滅したと言っていいと思います。

 店頭の在庫(欠品)チェックは、今のところ足で稼ぐタイプの出版社の営業の重要な仕事のひとつです。棚の欠品チェックは店舗の人員では手が回らない業務のひとつでもあるので、そこを出版社が代わりに行うことで注文をもらう流れです。ですが、ひょっとすると、正確な在庫データが公開され手軽に利用できるようになったら、店頭での在庫(欠品)チェックはやらなくて良くなるのかも知れません。

 店舗の在庫チェックを簡単にするための切り札は「ICタグ」です。過去の実証実験では「毎日棚卸しできる」という話になっていました。実際、デモの動画を見ましたが、本当に簡単に棚卸しできます。毎日棚卸しということは、つまり、POSでの計算上の店頭在庫ではなく実在庫が毎日更新されるということになります。そうなると出版社の営業が欠品チェックする意味はなくなります。

 ICタグによる単品管理も在庫情報の公開も、現状ではまだ夢物語です。ですが、そこに技術が惜しみなく使われるようになると、在庫管理だけでなく、出版社の営業の在り方までも変わってしまう可能性がありそうです。売行調査がPOSに置き換わったよりもさらに大きな変化と言えますが、はたして、そんな日は来るのでしょうか。

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