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検索にAIが組み込まれる時代に中小零細出版社が取り組むべきWebの課題について

ちょっと前にこんなnoteを書きました。

ChatGPT、面白いなあ。試験の傾向やレベルに対応した練習問題を作ってもらったり◯✕式の問題を作ったり色々試しています。ChatGPTではありませんが、音声認識とTTS(音声合成)やイラスト生成も一気に進化しているので、そちらもちょこちょこと試しています。なにかこう「破壊的なイノベーション」の予感に期待したり怯えたりしつつも「何かが変わる」という手応えはしっかり感じております。

Microsoftは既にブラウザの検索にAIを組み込んできました。私は長いことChromeメインで使っているうえに年末に自宅用PCをChromebookに変えたばかりということもあってBingの使用は少し様子見です(と言いつつ、MicrosoftのVSCodeは以前よりも使っていますが)。思っている以上に変化は速そうです。まったくついていけません。

「AIを何にどうやって使うか」は皆さん頭を悩ませているのではと思いますが、「検索に組み込まれたAIにどう対応するか」についても考えなければならなくなってきました。面倒くさい、いえ、大変やりがいのある世の中になってきつつあるのではないかと思います。

結論から先に書くと「AI検索の時代はソース(情報元)の信頼性が重要になる可能性が高いので公式サイトの情報を充実させたほうがよい」ということになります。以前から何度か書いていますが、出版社の公式サイトは書籍の詳細情報をもっと増やすべきです。全然足りないと思います(弊社もです)。

そのうえで、単にもっと情報増やしましょうではなく、もうひとつ、提案というか反省というか自社での取り組みというか、そういうことがあります。それは「情報の鮮度」です。御社の公式サイトの情報は古くないですか。弊社は古いです(反省)。多くの出版社は自社サイトの書誌情報、よほどのことがないと書き換えないですよね(弊社もです)。ですが、検索に対応するためには鮮度も重要です。古い情報は鮮度が下がります。単純な話です。

情報の鮮度を保つために何をできるかというと、これも単純な話で、情報の追加やリライト(書き換え)です。弊社では「情報の追加」については、特にここ数年の間、かなり熱心に進めてきました。ですが、メインとなる内容紹介の書き直しなどはそれほど手を付けていませんでした。もちろん、追加する情報があれば都度書き足したりはしていましたが、根本的に書き直したりということは滅多に行っていません。

もちろん、情報をどんどん追加することで鮮度を保ち続けるという考えはあると思います。弊社もどちらかというとそういう考えでした。しかし、検索エンジンのAIは紹介ページの内容を読み始めているわけです。そうなると、商品の特徴や性格、他商品との違いなどをしっかりと要約した文章としての「内容紹介」の重要性が増してくることは間違いありません。

「ためし読み」と内容紹介は性格が明らかに異なります。宣伝のためのキャッチコピーとも違います。出版社の内容紹介は「内容の紹介」ではなく「宣伝文句」になっていることも多く、それはそれで時期が変わってくると意味を持たなかったりすることもままあります。

「新刊ではなくもっと既刊を売ろう」という話題はこの業界ではよく出る話題です。既刊を売るための手段は様々ですが、公式サイトを既刊の発信拠点にするのは、手間もお金もそこまでかかりません。「手間もお金もかからないけどリターンも期待できないんじゃないの」というご意見はあるかと思います。確かに直接働きかけるのに比べると回りくどいですし受注や購入もすぐには期待できません。それはその通り。ですが、読者への働きかけは途切れることなく繰り返し続けないといけません。一時的な頑張りはそれはそれで重要ですが、公式サイトでのこうした工夫は日常的な営業活動と並行してできるものです。というか、これだけで効果をどうこうというものではないように思います。

読者への働きかけは出版社にとっては永遠の課題です。SNSもWebも、うまく使っているところもあればそうでもないところもあります。どちらにせよ、なにかアクションを起こした時に誘導するべき先となる場は必要です。それを自社の公式サイトにしてもよいのでは、ということです。リアルでのタッチポイントの減少が叫ばれる中、自社サイトを見に来る読者が増えて困ることはなにもないです。

ということを最近は考えています。

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