見出し画像

農業用トラクターは楽し。第4部 外国製大型トラクターがズラリ


農業を発展させた好例として、長野県川上村の藤原村長の手腕を挙げたい。
稲作ではないが、大型トラクターを導入し、山間の寒村だったその村を、レタス農家の平均年収2,500万円までに発展させた。


長野県の南東部にある川上村(赤い箇所)は、
日本一長い河川の千曲川の源流に位置する。
(千曲川は新潟県に入ると、名称が信濃川となる)

その川上村には、1台1,000万円のマッセイファーガソン社製のトラクターを始め、大型トラクターがあちらの農家にも、こちらの農家にもと、沢山ある。

富山の農家出身の私は、トラクターなどの農機具はほとんど使ったが、我が家のトラクターは、小型の方であった。
北海道へ行った時、見かけた大型トラクターの多くはフォードだった。
北海道は広大だから、「さもありなん」と思っていたが、長野県の川上村に行くと、マッセイファーガソン社製の大型トラクターをあちこちで見かけた。
えっ、何故だろうと関心が湧いた。


私はラリーコース設定で、この長野県川上村や、野辺山周辺には何十回と行っているから同地に馴染みがあった。
そこで調べてみると、そこに若き藤原忠彦氏(のちの村長)の存在があることが分かった。(一部敬称略)

少々うる覚えの部分もあるが、概要を記すとつぎのようになる。
1・長野県川上村は、日本一長い河川、千曲川の源流に位置し、昔は狩猟などで生計を立てる寒村であった。

2・その地で生まれた藤原は、小海線の沿線北部にある臼田高校へ進んだ。しかし彼が高校生のとき、父が亡くなった。

長兄は大学に進んだばかりだったので、帰ってこいともいえず、弟である藤原忠彦はやむを得ず高校を中退し、農業の後を継ぐことになった。だが何故俺だけが高校中退までして・・・と忸怩(じくじ)たる思いがあり、自暴自棄になることもあった。

3・しかし彼は機械好きなこともあり、大型特殊免除を取得した。

4・しばらくすると村長が訪ねて来た。「藤原君、今度わが村に、大型の農業用トラクターを導入することになった。ついては村の臨時職員になってもらい、君にそれを使って村人の畑を耕して欲しい」との依頼を受けた。村は国からの支援の一環として、その導入を図ったらしい。
しかし、村でその大型トラクターを運転出来る「大型特殊免許」を持つ人は、彼一人しかいなかった。

5・それを引き受けた若き藤原は、村人の農地を耕すうちに、何処に誰の農地があるか、そしてどの位の面積があるかを覚えた。

6・そうこうしているうちに、現村長の引退に伴い、周りから村長候補に推され、村長になった。

7・相前後して、彼は考えた。「川上村が貧しい寒村なのは、産業が無いからだ」と思い、熟慮の結果、レタス栽培に力を入れた。レタス栽培は天候に左右されるから、レタス栽培に必要な天候の情報をタイムリーに村の農家に流すための通信施設も導入した。

8・こうして川上村にはレタス御殿が幾つも建つようになり、村の農家の平均年収は2,500万円になった。


お勧めの一冊です

藤原忠彦氏は、村長を8期32年に亘り務め、全国町村会長を4期にわたり務めた。

発想の転換で、寒村は裕福な村に変わった。藤原氏のその発想の転換と、尽力に心からの敬意を表したい。

こうして外国製のマッセイファーガソン社の大型トラクターは増えた。その社の長野営業所が川上村のすぐ近くにある。それだけこの地が重要だからである。

最初、近くでこの大型トラクターを見た時には圧倒された。運転席に座るのに3段のステップを登る必要があるから、その大きさがお分かりいただけると思う。

いつかチャンスがあれば、この大型トラクターを操作してみたいと思う。私も「大型特殊免許あり」の一人だから。


#マッセイファーガソン #農業用トラクター #川上村

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?