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台湾上陸かなわず

昨日のこと、とても長い空の上での一日だった…。ちょうど一ヶ月前くらいくらいにイトケンさんと録音とアレンジの打ち合わせで会ったときに僕もイトケンさんも連日の過密スケジュールでげっそりくたびれてしまっていて「ちょっとオフがあると寝落ちてしまうんですよ」「これ、なんかパーッっと休んで思い切り遊んだりしないとだめっすよね」と話をして、その夜にはイトケンさんが光の速さで計画を立ててスケジュールの隙間を縫って5月の最終週に遊びにいこう(仕事持っていくの禁止)ということになった。行き先は台湾。

で、先乗りしていたイトケン組を追うように昨日僕も初めての台湾へ足を踏み入れることになっていたのだけど、信じられないことがあるものだ。ポール・マッカートニーのチケットを持っていた人もこんな気分だったのか?(否、比較対象にしたら怒られるかもしれないが)。モナレコードのライブが終わって寝ないで成田へ。乗り込んだ飛行機から富士山を見下ろし僕は眠りの海へ。ハッと起きて時計を見ると4時間が過ぎていたが着陸する気配はない。機長のアナウンス「台北上空が非常に天候が悪く降りられない。燃料がなくなってきたので沖縄の宮古島空港に着陸します」とのこと。僕はこの時点では“燃料がなくなってきた”のほうにピントがフォーカスしてしまって「なに?燃料切れで不時着するの?」みたいなドキドキを味わいつつ、しかし見下ろした沖縄の海のサンゴ礁の青さとか、宮古島の緑とかにぼんやり見とれてしまった。

僕らの乗った飛行機は一旦成田で出国手続きをしてしまっているわけで宮古島に降りても空港ロビーにすら入れず仮設のテントが設けられた滑走路で給油作業を眺めていたのだけど肌に感じる風と日差しは夏そのもので、ああこのまま宮古島で遊ばせてくれよと思いました。結局宮古島に常備してあった燃料では足りないということで那覇空港でまた着陸、その後また2時間かけて成田に戻ってくるという行程。その日のうちに台湾へのフライトが不可能ということになったので今回は一日でも予定が狂うとボタンがかけちがうような短い旅だったこともあり旅行自体をキャンセルしました。イトケンさんとは連絡を取り合っていて向こうのひどい雨の模様もわかっていたのだけどなんとか頑張って飛行機が飛んでくれたらよかったなあ。台湾上空まで行って、宮古島、那覇と一日でいろんなところに移動する奇跡の一日でした。

終始航空会社からの情報を待ち続けるフライトだったが、誰も腹を立てたり大声をあげたり添乗員さんやスタッフに言いがかりをつける人がいなくてよかった(みんな一様に悲しみと疲労の表情だったけど)。ポール来日公演中止のときのみんなの心の動きと同じだろうか。忍耐強いのが日本人の美徳とよく言われるが、僕が乗った飛行機は半分くらいアジアの人たちだったからナショナリティは関係ないのかもしれないな。帰ってきて機上の窓から見た成田の夕陽のきれいなこと。帰り道のディズニーリゾート、お台場の光の葡萄の粒の鮮やかな美しさよ。留守番を免れたポチが一番嬉しそうでした。またライブのMCででもいろいろお話しします。  

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