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美瑛畑看板プロジェクトの目指すところ

■クラウドファンディングのメンバーは実は12人

美瑛の農家10名が結束し、立ち入り禁止と書かない看板を作ろうというプロジェクト。設置費用を集めるためクラウドファンディングを始めて、いよいよ今日が最終日となった。開始3日目で目標額を達成し、その後順調に推移。昨日とうとう300%を超えた。喜びと同時に責任の重さも感じているところだ。

実はこのクラウドファンディングには仕掛け人がいる。元美瑛町の職員で、今はWEB解析の仕事をしているK氏だ。僕はこのK氏から声をかけられ、よく知った農家の人が参加しているプロジェクトということもあり、全面的に協力することにした。
なので、実際にはこのチームは、農家10名とK氏と僕で12人ということになる。とは言っても、K氏も僕も、あくまで裏方という立場で10名の主役をサポートすることに徹している。
まあ、こうしてnoteを書いたりSNSで発信しているので、裏方じゃないよ、と言われてしまえばそれまでだけど、このプロジェクトの大切なところは、農家自らが立ちあがった、ということなのだから、僕もK氏もあくまでサポートメンバーということだ。例えるならば、サッカーチームのスタメンが10名の農家の方。僕とK氏はマネージャーといったところだろうか。

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■激論が続く

こうしてクラウドファンディングが大成功し、各メディアにも取り上げてもらったことで、美瑛の農家の苦悩が伝わったのではないだろうか。僕らチームも、今後の進むべき道を激論している。休みのない農作業の合間をみて、すでに会議は数回にも及び、デザインの進め方、設置手段、資材の調達方法、さらには今後のビジョンなども話し合っている。先日なんて、19時から始まった会議が終わらずに、そのまま居酒屋で二次会議をし、23時を過ぎてしまった。

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■実は看板を作ることだけが目標じゃない

激論を繰り返すうちに、目標が明確になってきた。それは、新しい看板を作ろうというだけでは終われないということ。
目指すところは、次のようなことだ。

・人に寄り添った観光
・風景を見にいくのではなく、その人に会いにいく観光
・人の気配を感じる旅
・魅せる農業
・農家のドキュメンタリーを見せる

これまでの美瑛観光を振り返ってみると、シンボリックな木や丘を巡る旅がメインだった。青い池も然りだ。しかし、僕はここ数年、その観光スタイルに違和感を感じていた。美瑛は観光地として整備された公園ではない。あくまで農家の営みによって生み出された、生活基盤としての風景なのだ。そこを利用して、観光に結びつけようとしていた時代はもう過ぎたんじゃないか。
その昔、まだ観光客が少ない頃はそれでもまだ許容範囲だったと言えるだろう。しかし、青い池をきっかけとした爆発的な観光客の増加は、やはり軋轢を生んでしまっている。
だからこそ、これからは美瑛の農家の生き様を発信していく時代になったのではないだろうか。農家はかっこよく、尊敬できる存在ということを実感すれば、だれもその農地を荒らそうとは思わないはずだ。

拒否するのではなく、自分たちの生き様を知ってもらおう。そういう発想が、今回の原点だと思うのだ。

■僕が写真家としてできること

先日、写真集FARMLANDSCAPEを上梓した。美しい風景を羅列するのではなく、農家を主役に据えた構成としたことで、いい意味で土臭い写真集に仕上がった。アマゾンなどでは、暗い写真が多くて晴れが少ない、なんていうレビューもあったけれど(笑)、実は、あえてそうしているので、そう感じてもらったならば狙い通りということになる。なぜなら、美瑛はいつも快晴ではなく、雨もあれば嵐もある。そんな中でも農家は淡々と暮らし、作物を作っているからだ。絶景ばかりを集めた最高の美瑛の風景写真集を作るつもりは、これっぽっちもなかったわけだ。

美瑛に生きて、農家さんと同じ集落に入り、この7年間写真家として暮らして来れたのは、紛れもなく美瑛の風景を作ってくれている農家の方々のおかげなのだ。だから、僕はこの写真集で恩返しをしようと思った。美瑛の農家の生き様を広く発表することで、美瑛の農家へのリスペクトが深まるはずだと考えたから。

今回のクラウドファンディングの目的に、ドンピシャでハマるというのをお分かりいただけるだろうか。哲学の木がなくなったあの日、唯一立ち会わせてもらった写真家として、僕ができること。それは、このプロジェクトを成功に導くことなのかもしれない。売名行為でもなんでもない、ということだけはご理解いただきたいと思う。

ということで、僕はこのプロジェクトのビジュアルイメージを全面的に担当していく。写真撮影はもちろん、動画コンテンツのプロデュースも進めていくつもりだ。彼らがカッコよく、憧れの存在になってもらうために、写真家としてできることをやっていく。写真って、そういう力があると思うから。

クラウドファンディングは本日までです。最後のご協力をいただけると嬉しく思います。
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