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現役ボーカルミキサーが思う、いい歌い手に必要なこと

いろいろな歌い手さんのミックスをしていくなかで、「この人良いな」と感じる部分には共通点があることに気づいたのでシェアします。

歌い手としてチヤホヤされたいと思って漠然と活動をはじめたものの、早々に行き詰まってしまった方の参考になればと思います。

今回は3つのポイントにまとめてます。最低限この3つを押さえていることがいい歌い手になるためのスタートです。

また、それぞれのポイントができていない方のために、簡単な改善方法も載せましたので、最後までお付き合いいただければと思います。

ポイント1:自分の声をコントロールできている

まずは当然のことながらしっかりと「歌声」をつかって歌うことが大事です。鼻腔共鳴や、咽頭共鳴など、しっかりと音を響かせられることが大切です。まったく逆の「地声」で歌ってしまうと、どれだけ音程がしっかりしていようと歌が下手にきこえてしまいます。ここでいう地声とは「無意識にしゃべる時の声」です。

普段からしっかり声をだす習慣のない人のしゃべり声は基本的に口先だけ動かして発生していると思います。なのでしゃべり続けて喉が疲れることはあっても、体が疲れることはないはずです。

逆に歌声は喉よりも体が疲れます。しっかり発声するためにまずしっかりと息を送れるようにしなければなりません。これには腹圧が必要なのでいわゆるインナーマッスルを使うことになります。さらに舌根をさげ口の中を広く使ったり、口角をあげたりと日常ではあまり使わない筋肉をたくさん動かす必要もあります。

こういった動きを、出したい声にあわせてコントロールできるようにすることがいわゆる発声練習と呼ばれるものなのです。

あまり発声練習をしたことがない人にはまずはリップロールをおすすめします。唇をプルプル振るわせるやつです。最初は一定の音程、音量で長くならせることを目指します。

長く続けるためにはしっかりと息をコントロールしなければ難しいです。

これによって発声に必要な息のだし方が身につきます。

長くできるようになったら今度は音程を変えていきます。一番低いところから一番高いところへいったり、行き来したりしてください。

最初は高くなればなるほど力が入ってしまうと思いますが、低い方こそしっかりと息で支えてあげましょう。そして、どの音域でも一定の音量にできるようにします。

これだけでも、声の存在感は増してきます。

次に必要なのが声を響かせることです。オペラのマネごとはみなさんできますよね?
なんとなく、喉の奥の方で広がるようにする人が多いと思います。

これが声を響かせるということです。

体のどこかしらに共鳴させて、たくさん響いた音が口からでてくる。これが歌声です。たくさん響かせるためには、口のなかを広くしないといけないですし、声の通り道も広くなっている方がいいです。

そしてどこに響かせるかによって、それぞれの曲のジャンルにあった歌声になっていきます。

一番いいのは、ボイストレーナーについて自分の発声をしっかりと見てもらいながら改善することですが、1人でもここに書かせていただいたことは明日から実践できると思います。

ポイント2:曲に合わせた発声ができている

いろんな歌い手さんの作品を聴いていると、これができていないことが多いように感じます。

たとえば、曲自体はアップテンポで軽快にもかかわらず、喉の奥の方で響かせたような発声にすると、曲のもつノリを殺してしまいます。

カバーをする場合だと、リスナーはもとのオリジナルの印象がつよくあるため、似たような発声に寄せないと違和感に繋がってしまうこともあるでしょう。

僕の経験と肌感ですが、曲にあわせて発声できない人は、その楽曲に対する理解が乏しいことが原因であることがほとんどです。

特に歌い手さんの発信などみていると、自分の解釈が優先されてしまっていることがあるように思います。

まずは100%コピーすることが大事です。ブレスのタイミング、しゃくりのタイミングや速さ。これらを毎回同じにできるくらい歌い込むことで、自分の表現力も高まっていきます。

でも、ボカロ曲を歌う場合はオリジナルが機械のため、難しく感じる方が多いですよね。

そんな時には、すでに誰かがカバーした歌ってみたを参考にするのがおすすめです。

ポイント3:自分の強みを理解している

あなたは自分の声の強みを理解していますか?

これは客観的に、自分の声のどの部分は聞き手にとってポジティブな印象をあたえているのか知る必要があります。案外、自分でウリと思っていることが相手にはそこまで魅力的に写っていないことなんて多々あります。

例えば、タイプの違う楽曲を並べてみてどちらの方が好まれるのがリサーチしてみたり、同じ曲を違う歌い方で歌ってみたりしてはどうでしょうか。

歌が安定している歌い手さんは、何度も自分がすすむべき方向に悩んだことがあると思います。そうでない人を「センスの塊」というのだと思っています。

自分を見失わないためにも、絶対に裏切らないデータに頼ることはとても大事なことです。

もしあなたが自分の歌声に対する強みを知らないとしたらやって欲しいことがあります。

それは、たくさん歌って投稿することです。一つ気をつけて欲しいのは反応を増やすための仮説を毎回たてることです。

特に今欲しいのは、自分の歌声に対するリアクションです。

・癒されました!
・カッコいい声ですね!
・痺れました!

などなど、声にたいするリアクションをもらえることは多いです。
そのリアクションが、狙ってもらえたものなかどうかが大事になってきます。

自分でイケボと思って出したのに、かわいくてキュン死しましたなんてリアクションをうけたらそれは自分の強みを全然理解していないのと同じです。

なので、毎回しっかりと仮説をたてながら結果を見ることが大事になります。
そして、傾向を探るためには膨大な量が必要でもあるので、ちょっとやって結果がでないからと急に活動ペースを落としてしまうのは大変もったいないことなのです。

まとめ

みなさんはこれらのポイントを押さえて歌い手活動をできていましたか?

今はできていないことがあったとしても、心配はいりません。なぜならこれらのポイントは誰でもやればできることだからです。そこには特別な才能は入りません。

発声はトレーニングすれば誰でも改善されます。
曲にあわせた発声が難しければ、自分の声にあう曲を選べばいいのです。
強みを知るには、とにかく継続することです。

もし客観的に自分をみることが難しかったら、僕が力になれます。いきなり相談するのはハードルが高いと思いますが、自分でどうすることもできなくて苦しくなってしまったら、一声かけてみてください。

力になれるならなりたいです。

いい音楽で満ち溢れた素敵な社会になっていくことを願います。

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