街灯と雪だるま_sRGB_

金正日が死んだ日の夜に

TOSHIMASA IWAI
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<(歌の前段階としての) Poetry reading ※>

ASIA おお ASIA
同じような顔してんのに
ASIA おお ASIA
今日も啀み合ってら
いつになれば分かるのか
国境なんてただの “先入観”


<音声による時子軌道上の Collage ※>

 臨時ニュースを申し上げます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、十二月八日、午前六時発表。帝国陸海軍は、本八日未明、西太平洋において、アメリカ、イギリス軍と、戦闘状態に入れり
 一丸となって優勝を目指します/ 日本!日本!あーーーーー!/ アジアで一番強い!/ 日本のフォーメーションは/ シュート/ 返した/ ゴーーーあーナイスシュー/ あーナイスシュー/ あーナイ……/ 前半終了のホイッスルです!
 全国の聴取者の皆様、御起立願います/ ポツダム宣言を受諾/ 全国民に対し/ 天皇陛下/ 共同宣言ヲ受諾スル/ 残虐ナル爆彈ヲ/ 我カ民族ノ滅亡──
 日本ボールで後半が始まります/ 戦後/ 両チーム交代はありません/ 日本!日本!/ Let’s go!/ あー危ない!入ってない!入ってない!/ 入ってない!/ 入ってない!/ バブル崩壊/ バブル崩壊記念!/ (笑) / 失業/ デフレ/ ホイッスルはありません/ 不景気の時/ 日経平均株価は/ オーバードーズ/ 失業/ 鬱/ 鬱/ 閉塞感に包まれている/ 安定剤/ 鬱症状/ 12年連続/ 自殺者三万人/ 自殺者/ 三万人/ 抗鬱剤/ SSRI/ セロトニン/ セロトニン/ ノルアドレナリン/ セロトニン/ いじめ/ 20代/ 若年層の/ 生活苦/ 失敗/ 就職の失敗/ 自殺/ 自殺/ 死にたく──/ 若くして人生を終わらせる/ ──なる/ と自殺/ 飛び降り自殺/ 小中学/ 自殺/ 高校/ と自殺/ 自殺した原因が/ 怒られた/ と自殺/ 進路問題/ と自殺/ 飛び降り自殺/ 原因がわかっ……/ いじめ/ いじめ/ さぁ勝負です!/ 耐ヘ難キヲ堪え忍ヒ難キヲ忍ヒ/ アジアカップ/ 元慰安婦の/ 南北関係/ PKかー!?/ 万世ノ為ニ太平ヲ開カム/ 高さで勝負してきます!/ あー危ない!/ 人工衛星と称するミサイルの発射/ アメリカ/ イエローカード/ 朴大統領のことを名指しで非難/ 北朝鮮の核実験場/ 我が国、領土内への落下物確認されておりません/ 侵略、植民地……/ えー我が国は──/ 侵略と、植民地支配/ ──かつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大な損害と苦痛を与えました


金正日が死んだ日の夜に


 はい、安部内閣総理大臣/ えーこの南京事件/ ジェノサイド/ ジェノサイド/ 虐殺事件だ/ 証拠/ 論争/ 事実/ 弁護/ 修正/ 証言/ 解明/ 検証/ 射殺し/ 民族を滅ぼすジェノサイド/ 拉致/ 拉致問題/ 13歳の少女が拉致をされた/ 小泉訪朝/ ミサイル/ 平壌宣言/ サイバー攻撃/ 尖閣諸島/ 領土問題/ 竹島/ 日本の領土だ/ 韓国のドクト/ 戦争なんかもう古いよ!古い!

アッカンべーもできないまだ生まれたばかりの子供が
10階建てのマンションの8階から投げ落とされた
最終列車が吠える
2番ホームの雪を巻きあげて
銀河鉄道の線路に前足からませる
正常の定員から漏れた中学二年生が
モンスターペアレントの頭をかち割った(アッカンベー)
3番星が点灯して魂が空へのぼる
街頭の下の雪だるまが震えてる

平成よ
我が愛しの日本よ
四方八方の水風船が僕らを狙ってる
そして、ドラゴンボールはこの世にはない

「寒太郎!殺しておくんな……」
津軽海峡立待岬に女が立つ
今年も北風小僧がやってきた
コンコンコン!!

ヒュー!ヒュー!ヒュー!
金正日が死んだ日の夜に日本列島を北風が吹き荒れる
寒太郎、殺しておくんな
僕もついでに


<単語によるPouring ※>

歴史 宗教 政治 過去 プライド 性別 差別 損得 経済 発展 思想 暴力 戦争 教育 科学 人種 領海 領空 国際結婚 領土 ボーダーライン 赤道 地球 宇宙 芸術 医療 命 情報 人間 大地 右脳 左脳 人生 農業 欲望 仲間 輪 文学 環境 温暖化 草花 生活 種 進化 動物 道徳 背徳 言葉 希望 闇 光 

かくれんぼが終わってすでに45分も経ったのに
まだ ── 人のお友達が帰ってこない
「カムパネルラによろしく」
そう言って彼女を見おくり
ジョバンニは偽物の骨を海へばらまく
真珠湾のカラオケ屋で
SUKIYAKIをうたう内閣総理大臣のマイクはロシアの ── 製
── は ──
── は ──
── が大使館前に投げキッスをする

平成よ
我が愛しの日本よ
キャプテンアメリカの盾は僕らを守らない
そして、どこでもドアはこの世にはない

「寒太郎!殺しておくんな……」
福島県の酪農家がポツンとつぶやいた
今年も北風小僧がやってきた
コンコンコン!!

ヒュー!ヒュー!ヒュー!
金正日が死んだ日の夜に日本列島を北風が吹き荒れる
寒太郎に殺してもらいな
君もついでに


<演劇的要素の加味 I ※>

(ヒュー ヒュー ヒュー ヒュー)

銀河鉄道車内アナウンス: 本日も、音速列車 “MUISHIKI” をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。この列車は、無限地獄を抜けまして、第2ノンレム睡眠、メモリーシアター、終点銀河ステーションの順に、停車いたします。途中、ストリートランプ駅と、ムーンラビット駅には停車いたしませんので、ご注意ください。なお、ヘヴンにお越しの方は、終点銀河ステーションにて、天の川線へのお乗り換えをお願いしております。それでは今日も、快適な “無” への旅をお楽しみください。次は、第2ノンレム睡眠、第2ノンレム睡眠


世界は おお 世界は
同じような顔してんのに
おお 人間は ああ 人間は
今日も争い合ってら
いつになれば分かるのか
国境なんてただの “先入観”
おお!
地震や病気や寿命で
地震や病気や寿命で
地震や病気や寿命でほっときゃ誰もが死ぬのに
なぜ僕ら(ぼくら)なぜ僕ら(ぼくら)なぜ僕ら傷つけあうのか?
ヒュールルルルー(ヒュールルルルー)
ヒュールルルルー(ヒュールルルルー)
ヒュールルルルー
凍えそうだ!!
寒太郎!(寒太郎!)寒太郎ー!(寒太郎ー!)
寒太郎!!寒太郎!!寒太郎ーーーーーー!!!




 あなたの聴覚イメージを左右に分割し、右耳と左耳に別々のメロディーを再生します。
 この2つのメロディーに優劣はなく、ただ存在すべくして存在した、平等なメロディー達です。だから今、その壁を崩壊させます。


<演劇的要素の加味 II ※>

僕: ところであなたは、どこから来たのですか?
河童: 私は見ての通り、河童の国から来たのさ。君は?
僕: 僕は──日本というところから。
河童: 聴いたことがないな。旅行かい?それとも移住かい?
僕: 旅行──だと思います。あの、自分でもよくわからないんです。
河童: なんだ君、そんなこともわからないでこの列車に乗っているのかね?簡単に説明するとだな────金縛り、つまり幽体離脱をして乗車したのか、死んでしまったのかの違いじゃないか。まぁ、臨死体験って可能性もあるがね。
僕: なるほど……。あの、死んではいないと思います。あなたは?
河童: 私は移住さ。
僕: あぁ、それは、お気の毒に。
河童: いや、私は別に落ち込んじゃいないよ。 “自分で自分を殺した” んだから。
僕: ……。
河童: いやね、私は生きているあいだ──と言ってもついさっきまでの話しだが(え?ん?あれ?)──小説家やっていた。私はくる日もくる日も、物語を書くという行為に明け暮れた。それはある意味では瞑想行為と同じなんだ。一点を見つめているという点で言えばね。(誰かここから出してくれ!)そしてある瞬間、わかってしまったんだ。
僕: 何をですか?
河童: それが説明できないんだ。小説家だっていうのに。それはもう、言葉のような “有” の媒体じゃ説明がつかないんだ。ただ “わかっている” としか言えないのさ。
僕: それでなぜ、 “自分で自分を殺す" 必要があったのですか?
河童: 自分が生き延びるために、何も殺したくなくなったのさ。真実に気づいた人間のなかには、折り合いをつけて生きていく人間もいるだろうが、私にはそれができなかった。まぁ、いささか早とちりではあったと思うがね。
僕: わかったような。わからないような。
河童: 君にもいつかわかるときがくるさ。しかし憶えておかなければならないのは、私がだした答えも、君がこれからだす答えも、“自分にとって” 正しいという点だ。所詮、点のうえの線でしかないかもしれない。
僕: はぁ……。それであなたはこれから、どこへ向かわれるのですか?
河童: “ヘヴン” さ。聞くところによれば、ヘヴンに入るには入国審査があるらしい。それを通ればもう、あの星にもどることは無いだろうね。あくまで “通れば” の話しだがね。自分殺しが吉とでるか、凶とでるか。
僕: 審査に通らなければ、どうなりますか?
カッパ: はっきりとしたことは言えないが、まぁ、やり直しだろうね。最初から。いや、もっとひどい状況になっているかもしれない。

ああああああ
寒太郎!寒太郎ー!寒太郎!!寒太郎!!!寒太郎ーーーーー!!!!!
嗚呼ーーー!!嗚呼ーーーーー!!嗚呼ーーーーーーーー

無限地獄をぬけて
列車は天の河をめざす
街頭のしたの雪だるまがまだ震えてる


ラジオ: 僕たちは戦争をしらない。でも、それが起きないように努力する必要はある。それが僕たちの世代が歌うべきテーマのひとつだ。


※ 
 私は、この楽曲にて、“Hearing Art” という概念を提唱したいと思います。
 <>の部分に、特殊な用語が使われていますが、Hearing Art の用語です。概念や、専門用語の説明は、また機会を改めたいと思います。

HP
https://www.toshimasaiwai.com/
作品ページ(ダウンロードはこちらまで)
https://www.toshimasaiwai.com/blank-1

よろしくお願いします。