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映画『ジャイビーム!(仮)』 改めて、はじめましてのご挨拶(中編) Film 'Jai Bhim!'

映画『ジャイビーム!(仮)』撮影のヤス君よりご挨拶(中編)。怒涛のインドロケ10日間から夜遅く帰国。明くる朝7時に送りつけられてきた、興奮さめやらぬ文章です。

前編はこちら。

これより中編です!


佐々井秀嶺さんは、日本出身のインド国籍を取得したインド仏教のお坊さんです。「インド1億人仏教徒の頂点に立つ男」としての御上人の存在は、日本メディアで少しづつ取り上げられ、「破天」「求道者」「必生(ひっせい)」などの伝記本にもその半生が紹介されています。


不思議な縁は、いつもどこかで、誰かを想像もしないような世界へ連れてゆくもの。なぜ今、僕がビデオカメラを持ってインドの地にいるのかは、1年前には誰も想像できていなかったことでしょう。直感に引かれ辿る軌跡、ここにいる奇跡。今もなお、わからない。でもこの場所に立っている、それは紛れもない事実。


出逢いは、去年の12月。
前編」で書いた理由で、僕たち家族4人(4歳と1歳の娘含む)は2回目となる、3週間のインド旅に出かけました。旅の途中、遥かインドの地で日本人が先頭に立つという、その姿を一目見てみたいという思いで、インドの真ん中の都市・ナグプールの佐々井上人のお寺を訪問することにしました。


コトコト夜行列車に揺られること約20時間、デカン高原の真ん中・マハラーシュートラ州第二の都市ナグプール駅に辿り着きました。英語もろくに通用しない、地球の歩き方にも載っていない、日本では知られざる都市ナグプール。


とにかく広野に放り出されたように、現地の言葉も地理感覚も何もわからないので、駅に着くと、とりあえずポリスを捕まえ、妻と二人で、分かるなけなしの単語を並べ連呼してみました。

「ササイ!ブッダ!ビハール(お寺)!ササイ!ブッダ!ビハール!」

するとポリスは、「OK、OK」と言って何やら地図を調べ、よくわからない言葉を言ってきます。「OK、ディクシャブミ!」おそらく、そんなことを言っていたのだと思います。


ポリスはわかった風ですが、明らかに僕たちの目的とする場所とは違う名前を言っているような感じです。とりわけインド人は、負けを認めない人、「わからない」と言いたくない人が結構な割合でいるらしく、このポリスも自分のわかる範囲でゴリ押ししてきたのかもしれません。しかし、ここでひるんでは、たらい回しにされるだけで、目的地へ辿り着くことができません。


実は、インド旅に行く動機は僕の方にあると勘違いされることがあるのですが、元々、インドに行きたいと言い出したのは妻の方です。僕はむしろインドに行くことにビビりまくっており、強い抵抗があったくらいです。逆に妻の方は学生時代に一人で何度もインドに旅に出ている強者。腹が座っています。


僕がポキっと折れそうになっている心を尻目に、ヒートアップしてきました。

「シュウレイ!ササイ!ブッダ!ビハール!」

「シュウレイ・ササイ!シュウレイ・ササイ!」

「ササイ!ササイ!ササイ!…」

そうこうしていると、年配のおばちゃんが後ろから、「わたし知ってるわよ!」とばかりに割って入ってきました。

「シュウレイ・ササイね。私が連れて行ってあげるからこちらに来なさい」

ポリスさん残念どうやらお役御免です。おばちゃんは僕たちを先導し、道路の方へ歩いていきました。


そして、そのままおばちゃんはオートリキシャ(3輪タクシー)を捕まえ、ドライバーに行き方を説明し値段交渉までしてくれました。ピンチからの大逆転、早々目的地に辿り着く流れに乗ることとなり、無事佐々井上人がいると言われるビハールに着くことができました。


着いたものの、ツテもないし、本人がいるのかもわからなかったので、まずは旅の記念にお寺でお参りして様子を伺おうと思っていました。すると、お寺に前に立っていたインド人が「ジャパニーズ?」と聞いてきます。「イセッサー」などとやってると「ついてこい」とインド人特有の首の回し方でどこかへ連れてゆこうとします。


言われるがままにお寺の横の建物の階段を上がること3階に連れていかれ、「ここで待ってろ」と手で制し、1分ほどすると扉の向こうから
バーーーーーーン!!!と
佐々井秀嶺上人その人が不意に出てこられたのです。


うひゃぁーーーー、と僕たちがびっくりしていると、奥の部屋に招き入れられました。上人は、全く何事もなかったように、いきなり訪れた僕たち家族に対して普通に世間話をされた後、「好きなだけここにいていいよ。宿は、ここの坊さんたちが住んでいるゲストハウスを使いなさい」と言われ、呼びつけた胴体の大きい日本人離れしたタイ人風のお坊さんを紹介されました。


「おいリュウキ~あとは任せたぞ」リュウキさんは佐々井上人(通称バンテージ)のお弟子さんです。リュウキさんは流ちょうな日本語で「こんにちは~ゲストハウスに行きましょうか」と声をかけてくれました。僕たちがびっくりしていると「日本人です」と衝撃の一言。


リュウキさんは「竜亀さん」で本名は亀井さんでした。バンテージに縁のある方で、お弟子になられたり、活動に共感される方が希望して認められると、佐々井ファミリー「龍族」として、「龍」にちなんだ名前をバンテージから頂けることがあります。


後に、まさか僕たちも龍を頂き、人生に大きな変化が訪れるとは想像すらしていませんでしたが、そんな成りゆきでバンテージのお寺のゲストハウスで住み込み、家族4人ここナグプールで2週間過ごすこととなりました。


まだ長くなりそうなので、これを中編として後編に続く。



佐々井上人(左)、竜亀さん(右)



後編に続く!?


<終わり>



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