秋といったら何の秋が思い浮かびます？そう！ダンスの秋ですよね！笑

やはり寒い時期は身体を動かしにクラブに行くに限ります。まぁ冗談はさておき、今回は噂には聞いていた巨大ダンスフェスに行って来たのでそのリポートです。場所はアムステルダム。ここで開催された、Amsterdam Dance Event 通称 "ADE" が今回の世界のフェスに行ってみるです。

では概要から見ていきましょう。

このフェスについて

開催時期
2019年10月16日-10月20日（例年10月後半週末含む5日間）

フェスの歴史
アムステルダムダンスイベント / ADE (Amsterdam Dance Event)

オランダの首都、アムステルダムで毎年10月に5日間に渡って開催される、エレクトロニックミュージックとダンスイベントの祭典。ADEはヨーロッパで頻繁に行われる一般的なダンスフェスとは規模もラインナップも一線を画す巨大さです。

ADEは1995年にスタートした当初から、ダンスイベントと電子音楽のカンファレンスという二つの軸で開催されて来ました。その後アムステルダムがクラブシティとして大きく成長していくと共に、ADEもその規模を膨らませて行きました。その結果、現在では世界中から電子音楽の専門家が集まり、カンファレンスの登壇者は600人以上に上ります。他にも毎年話題になるDJ Mag Top 100の一位を決める授賞式もADE期間中のアムステルダムで行われます。

ダンスイベントの出演者に関しては、規模の拡大とともに世界のトップDJのほとんどがこのADEに参加するようになりました。それは盆か正月かくらいの出席率で、まさに世界トップDJの全員集合です。

僕は木曜日からの4日間参加しましたが、あまりのイベント数に圧倒されました。ADEの概要さえ把握できたかどうか怪しい所です。

音楽ジャンル
名前の通りDJによる、ダンスパーティがイベントのメインになります。各パーティーは普段アムステルダムのクラブで行われているパーティや他の地域で行われているパーティがADEバージョンとして行われます。例えばベルリンからは"Watergate"や"Trasor"クラブなどのプレゼンツでラインナップが組まれ、パーティーが開かれるという感じです。その他、バンドなどによるライブパフォーマンスも行われます。

また、前述のようにエレクトロニックミュージック、DJ分野の、カンファレンスやワークショップも行われるため、業界の人も沢山訪れます。

チケット購入
ADEは2,500を超えるアーティストが200を越えるロケーションに散らばって開催されるため、チケットはイベントごとに購入する人がほとんどです。ただ全てを楽しみたい人には"ADE Pass"なるものがあります。通常料金475€とお高いですが、5日間全てのイベントに参加できるので、毎日会場をはしごして元が取れそうな方にはお得だと思います。他の利点として、人気イベントがソールドアウトになってしまった場合でもADE Passならば入場可能なようです。（詳しくはオフィシャルページをご覧ください）

オフィシャルチケットセールページ

僕は各イベントごとにチケットを購入しました。価格はそれぞれ異なりますが、1つのイベントが大体、30€~60€くらいです。ADEサイトからイベントを検索して、写真右下の"Buy Tickets"で購入することもできますし、クラバー御用達のクラブイベントサイト RA でも購入できるものがあります。どちらも入場する場合の差はありません。

※ADEのイベントページで購入ボタンがたまにないものがあります、そういったものはイベントの主催元ページで購入するか、抽選申し込みをするといった場合があるようです。例えば”AUDIO OBSCURA”のLoftでのイベントはリンクのサイトから購入することができたようです。残念ながらこれ見つけた時にはすでにソールドアウトでした。。

また、イベントチケットの他、"ADE Card"というものも購入しました。これは決められたいくつかのADEの会場とイベントに参加できるのと、Dayイベントカテゴリ(Festival by day)に限りフリーパスになるものです。その他にもオフィシャルグッズのディスカウントが受けられ、映像作品は全て入場できます。これで17€とお手頃価格だったので買ってみました。（ADE Cardの受けられる特典、オフィシャル説明）

※ややこしいですが日中に行われるイベントでもNightカテゴリのものが多々あるのでADE Cardでも日中だからといって全てのイベントに入れるわけではないようです。というかメイン系イベントは大体Nightカテゴリでした笑。

開催場所

ちょっと見にくいですが、こちらはアムステルダム都市部の地図で、黄色いマークが各イベント会場になっています。

アムステルダムは世界有数のクラブシティなのでこの中にも多くの有名クラブが軒を連ねています。もちろんADE期間中は十中八九ADEイベントが行われるので、行って見たいクラブに目星をつけてイベントに参加するのもアリかと思います。

現地到着から会場周辺まで

日本からアムステルダムへは直行便が飛んでいます。到着するスキポール空港から市内へは、電車が便利です。アムステルダム中央駅まではおよそ20分、５€程でいけます。参考サイト

フェス情報の必需品

巨大イベントにも関わらず専用アプリはありませんでした。”Woov”というアプリ内にADEのイベントを追加できましたが使い勝手はあまりよろしくなかったです。

RA Guide app
その代わりに重宝したのが RA Guide。人気のイベントを検索したり、チケットを購入したりと、かなり役にたってくれました。

リストバンド交換

イベントチケットのみ購入した方はリストバンドを交換する必要はありません。ADE PassやADE Cardを購入した方は、E-TicketをADEのチケットセンターで交換する必要があります。チケットセンターは3箇所あり、僕が行ったのは Flemish Cultural Center de Brakke Grond という所でした。

ここではリストバンド交換の他に、DJやDTM系の新製品が展示されていたり、カンファレンス会場も併設されていました。

Pioneerのブースでは実際にデモンストレーションも行われていました。

参加したイベント、会場の様子

G-Star RAW RAVE
最初に行ったのは、地元アムステルダムのファッションブランド"G-Star RAW"主催のイベント。ここは歩いていたら偶然見つけたのですが、会場はアムステルダム国立美術館内を南北に突っ切る、通路です。この美術館はレンブラントの“夜警”などがある、超有名観光名所ですが、こんな所でも爆音でクラブパーティできるなんて、さすがアムステルダム。文化的に寛容で自由な気質な街ですね。

ご覧のように、普段は通り抜けられる通路が、会場になっています。ここはチケットを持っていなかったので柵の向こう側から見ていたのですが、途中で幸運にもいらないチケットを譲ってくれた親切な方がいて中に入ることができました。

ここでは、Boys NoizeとオランダのオルタナロックバンドDe Staatが出演していました。De Staatは流石地元って感じで、かなり盛り上がってました。

DGTL  | Ben Klock b2b Marcel Dettmann, Jeff Mills and more
木曜日のメインパーティーに選んだのは、Ben Klock と Marcel Dettmann のb2b。この二人に加えて、Jeff Mills も出演し、おまけにHelena Hauff や DJNobuまで出るというかなり豪華なライナップです。

会場はアムステルダム北側のアイ湾を挟んだ、対岸にあるNDSMという造船所跡地にできた複合カルチャーエリアです。

向かうには中央駅の北側にあるフェリー乗り場からNDSM行きに乗ります。ここからのフェリーは無料です。このフェリー終船時間があるので朝までいない人は時刻表をチェックしておいてほうがいいです。

会場内部、こういったインダストリアルなスペースはベルリンでもありますが、ここはかなり大きなスペースでした。工場跡地な感じがそのまま残ってますね。

Het Weekend 18.10 – 21.10
金曜日は二つのイベントをはしごしました。まず行ったのはDe Schoolで行われた。"Het weekend"。このイベントは金曜日夜から月曜日の朝までぶっ通しで行われるパーティで、チケットは各曜日の昼の部、夜の部に分かれており、それぞれの時間帯ごとに購入する必要があります。

De Schoolは名前の通り、学校跡を利用し、クラブ営業時以外は、レストランやアートスペースなどがオープンするなど、アムステルダムのクラブの中でも独自の立ち位置にいます。今ではアムステルダムに踊りに来たら外せないクラブの一つですね。クラブとしても由緒正しき厳正なチェックがフロントであり、僕はすでにチケットを持っていたので即入場できましたが、チケットを持たない人はかなり長い質問を受けていました。もちろん内部は撮影禁止で入り口でしっかりとレンズにシールを貼られました。

この時の事前チケットはどの部もほぼソールドアウトの人気ぶり。入り口のチケットボックスは僕が次の所に向かう頃には長蛇の列が出来てました。

Awakenings | Ricardo Villalobos x FRRC x VBX
次に向かったのが、Ricardo Villalobosがメインのイベント。このAwakeningsというのは毎年6月にオランダで行われるエレクトロフェスで、今回のは、そこの主催パーティです。Awakenings は Ricardo Villalobos以外にも沢山イベントを開催しており、特にガス施設跡地のGASHOUDERで行われたイベントは、どれもソールドアウトになる程の人気でしたね。

今回の場所はそこではなくアムステルダムの北側にある、Warehouse Elementenstraat 。ここは結構な大箱だったのでチケットも割りかし最後まで余ってました。

すごく良かったんですが、イベントの移動に時間がかかり流石に体力的にきつかったです。。笑

Audio Obscura | X at Muziekgebouw aan ’t IJ
土曜日はスイスのエレクトロデュオAdriatiqueがメインのイベントに行きました。会場はアイ湾に浮かぶコンサートホールMuziekgebouw aan 't IJ。

湾に突き出た変わった形をしています。

中はダンスフロアが4つくらいあり、いろんなスペースに移動できます。

メインフロアではAdriatiqueが朝までぶっ通しで回していました。

僕のお目当はMax Cooperだったんですが、これめちゃ良かったです！今回の中でも一番でしたね。

ADE Hangover
最終日はチケットを買っていなかったので無料イベントに行きました。このHangoverは初日に行ったNDSMの屋外エリアが会場だったのですが中々面白かったです。無料なのでいろんな人が来てましたね。

ここただ単に遊びに行くだけでも面白いです。Discogsのレコードブースはかなり大規模で、好きな人はレコード漁りで1日過ぎちゃうでしょう。

Anything Goes
最後に行ったのはこちらも無料イベント。5つ星ホテル、Wアムステルダムのバースペースで行われたハウスパーティ。Kenny Dope と Todd Terryが回すのをタダで見れるなんて、なんて太っ腹なイベントですか！？

Kenny Dopeが回してるの間近で見れました。最っ高！！

その他のイベントで、ADE公式FacebookがMovieをUPしているイベントがいくつかあるので、興味がある方はぜひこちらを。

開催期間中のアムステルダム

期間中は町中でADEの、のぼりがいたるところに立っており、この期間はほんとにADE一色ですね。

ADE Card で入れる、Compagnietheaterでライブパフォーマンスをやっていました。地元の Synthaclaus というエレクトロデュオみたいです。

こちらもADE Card で入れるWaalse Kerk教会は、昼間はヨガをやったり、ライティングパフォーマンスを行ったりしているようです。

普段はマットが敷いてあって、寝っ転がれるようになってます。休憩ポイントですね。

人気スポットの一つVolkshotel ではレコードフェアをやっていました。若い人結構多いです。

こちらはアムステルダムでも有名なレコ屋の一つ Rush Hour Records 。Tシャツかっこよかったんでお土産にしました。

主にライブパフォーマンス会場のMelkweg では映画も上映しています。ADE Cardなら映像系は全て見放題です。ここでMax Cooperの作品を見て来ました。

会場の多いライツェ広場あたりは、特に賑わっていました。

周辺環境について

気候について
10月後半のアムステルダムは結構寒いです。夜の移動には防寒をしっかりしましょう。

お金について
オランダの通貨はユーロです。街中では、ほとんどの店でクレジットカードが使えました。Visa、Masterはまず大丈夫です。

食事について
オランダ名物は丸いコロッケやフライドポテトであるフリットなんかがストリートフードとしては有名ですね。

あとはオランダのスーパーチェーン"Albert Heijn"（アルバートハイン）はアムステルダムで何件も見かけます。朝はここでパンとか買って食べてました。普通に美味しいです。

もう一件スーパーで申し訳ないすが、こちらは少し高級な”Marqt”というスーパー。レンブラント広場の近くにあります。ここのパンはさらに美味しかったので追加しておきます。ちなみにここ、支払いで現金は取り扱っておらず、クレジットカードのみでした。

インターネット
会場によってはWifiが飛んでいるところがありましたが、それほど多くはありません。特に通常のナイトクラブはなかったですね。アムステルダム市内ではところどころフリーWifiが飛んでいるところがありますが、あまり頼りにならないかなと思います。

泊まるところ
アムステルダムは普段でもヨーロッパ有数の観光地なので、宿泊料金は高い印象です。ADE期間中はさらに人が増えるので、値段もそうですが、そもそも宿が一杯になってしまうので、早めに押さえておいたほうがいいです。ちなみに滞在エリアはできるならば、中央駅周辺から、運河の途切れるミュージアム広場あたりまでに取ったほうがいいと思います。それより郊外に取ると夜間の移動手段がバスだけなので大変です。

困ったこと

一番はイベントを検索することです。これは中々しんどかったです。超巨大イベント故に、出演アーティストやイベントは果てしない数に上ります。前述の通り、専用アプリもないですしADEのウェブサイトで検索しても、ただただリストがダーっと羅列されるだけなので、一個一個見ていくのはかなり非効率です。おまけにアムステルダムのクラブにも詳しくないので余計苦労しました。なので僕が頼ったのは、RAガイドでした。RAでその日、参加予定人数の多いイベントを上から順に見ていって行きたいイベントを見つけていました。

もう一つ、夜間の移動手段がバスのみだったのが意外でした。国際的なクラブシティではありますが、トラムや地下鉄には終電があります。週末くらいは動いているのかなと思いましたがそんなこともありませんでした。

 バスの路線は沢山あるのでどこにでも移動できるのですが、基本的に中央駅を起点に放射状に巡っています。なので、乗り換えが必要な場合だいたいは中央駅を経由して移動することになります。そんなことからも中央駅周辺に宿を取っておいたほうが効率が良いいと思います。

もう一つ困ったことというか、注意した方がいいこと。オランダは自転車大国でアムステルダムもその例に漏れずなんですが、なんというか、ヒエラルキー的に自転車が歩行者よりも高いと思います。なので横断する時は十分注意してください。自転車専用道路なんて絶対踏み入れてはいけません。ちんたらしてたら問答無用で引きにきます笑

最後に

一回参加したくらいでは到底把握できないほどの巨大イベントでした。エレクトロフェスというとTomorrowlandなんかが有名ですが、行ったことないので比較はできないですが、街全体で楽しむ分こちらの方が規模が大きいのではないかな？と思います。

オランダでありながら流行りのEDM系は少ない、硬派なダンスイベントです。ベルリンにはこういったフェスとしてのクラブイベントはないので羨ましいですね。エレクトロニックミュージック好きには、この時期のアムステルダムは格好の目的地になると思います。