見出し画像

ニューオーダーのライブで、中国のバンドを見て感じたこと。 / New Order @ Forest National

先週ブリュッセルにヨーロッパツアー中のNew Orderのライブを見に行きました。ベルリンでのライブは早々にソールドアウトになってしまったため、まだ余っていたブリュッセルに行ったわけですが、その週末アムステルダムで開かれる"ade"に参加する予定だったので、そのままオランダまで北上することができ、結果的にいい旅のスタート地点になりました。adeの模様は次回アップする予定です。

さてライブは"Age Of Consent"から"Regret"へと明るい曲から始まり、後半の"Subculture"、"Bizarre Love Triangle"あたりで盛り上がりは最高潮に。最後は今年Joy Divition結成から40周年というアニバーサリーということで、アンコール2曲はJoy Divisionから。イアン・カーティスの写真をバックに"Love Will Tear Us Apart"でラストを締めくくったライブで、それはそれは素敵なセットリストでした。ちなみにこの日が"月曜"だったのは嬉しいおまけです。

ライブ前にJoy Divisionの曲をiTunesから引っ張りだして聞いたのは、いつ以来か忘れるくらい久しぶりのことでした。10年ほど前にCDを買った時はロックのクラシックを片っ端から聞いていた時で、Joy Divisionも半ば聞いてないとかっこつかないやつだと思い買ったCDの一枚でした。買った当初はこのダークで陰鬱な曲達が結構苦手で、少し聞いてからは、iTunesの中でほとんど再生されることもなくホコリがかぶった状態だったのですが、ライブで聞いた"Disorder"や"Love Will Tear Us Apart"は、ほんとに綺麗でカッコよくて、いやーこういった他にもあるホコリをかぶったままの曲達、改めて聞いていかなきゃダメだなと思いました。

さてNew Order登場の前に出て来た、前座バンドが今回の話しなんですけど、この中国から来たStolen(秘密行動)というバンドが中々印象的でした。意外にもしっかりとしたテクノロックが中心で、若干ステージノリは青臭かったですが、音は踊れて、耳なじみもいい曲が多かったです。ここまでは”おっいいバンド出て来た、当たりだなっ”と思うくらいのものでしたが、その後に彼らを検索して経歴を見てからは中々応援せずにはいられない感情が湧いて来ました。

Stolenは中国四川省の省都・成都を拠点に活動するインディーロックバンドです。台湾などのバンドはフジロックにも来ることがあるので、なじみが少々ありましたが中国本土のロックバンドは、はじめて見ました。

それもそのはずで中国ではロックバンド自体の数が少ないようです。というのもロックは退廃的だという理由から当局の統制が厳しく、公に西洋のロックミュージックを聞くことが難しい状況なのだそうです。メンバーも当時、ロックを聞くには海賊版などを漁っていたと言っています。

FacebookやTwitterなどが規制されている場所なんで、よく考えてみれば、西洋の反体制的なロックも当然対象になりますか。

Stolenはそんな少数人口のロックでもさらに少数派にあるエレクトロミュージック方面の、それこそNew OrderやKraftwerkなどを好んで聞いていたそうです。Kraftwerkに至っては借金してまで香港のツアーを見に行ったという本気度です。

メンバーは20代ですが、エレクトロミュージックシーンの新しいパイオニアとして、現在成都では彼らを中心にオルタナティブロックシーンが急成長しているようです。そんなStolenの最新作がベルリンでレコーディングされ今年2019年世界に向けてデビューアルバム「Fragment」をリリースされました。またベルリンという場所がいいですね。現在の中国の情勢と通ずるものがあり、物語が垣間見えて熱いです。こういった詳しいことはこの記事に書いてあるので、興味があればぜひ読んで見てください。インタビューを受けてるボーカルのリャン・イー、謙虚な姿勢が好感持てます。

難しい環境の中でも好きなものを続けていく心意気が、結果としてNew Orderのライブに帯同するまでになったことをメンバーはどう感じているのか、そんなことを考えるとなにかしらの感動が湧いて来ました。

きっとどこかのフェスでまた会うでしょう。このバンド、ぜひ一聴を。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?