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折々の歌詞

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2019年7月の記事一覧

折々の歌詞(119)

折々の歌詞(119)

夜は長いネオン街

 仲街よみ

「ネオン街」(2014)俳句的に圧縮されており
「長い」が「夜」と「ネオン街」
どちらにもかかることは不可能ながら
どちらにもかかっているかのよう。
論理的に考えると意味は分からないが
それでも、よく分かる。

折々の歌詞(118)

折々の歌詞(118)

枝切られる 枝切られる/都会では両手を伸ばせない

 吉井和哉

「Call Me」(2005)アノミーanomie(デュルケーム『自殺論』)の本質を鮮烈なイメージで描破した。
「オレでよけりゃ必要としてくれ」は現代を生きるすべての人々の魂のさけび。

折々の歌詞(117)

折々の歌詞(117)

何も知らない僕はいつか眠りつづけるから/誰も届かない夢の中で溺れて 君の側へ沈んで

 Plastic Tree

「Sink」(1999)「何も」「いつか」「誰も」が響きあって
あいまいな、なまあたたかい「夜」「夢」「水」の空間を現出させる。
たしかなものは「僕」と「君」をむすぶ思いのベクトルだけ。

折々の歌詞(116)

折々の歌詞(116)

愛に気づいて下さい 僕が抱きしめてあげる

 PENICILLIN

「ロマンス」(1998)マゾヒズム、サディズムが矛盾なく同居している。冒頭のこの詞章によって、凡百の恋愛抒情詩とは一線を画している。「ロマンス」とは語り手の幻想、ファンタジーでしかないのか。