デザインスキルについて研究してみた

この記事は MoneyForward Advent Calendar 2018🎄 の22日目の投稿です。

こんにちは。マネーフォワードでUXリサーチや共創のためのデザインプロセスを設計したりしているSasaki(@toshiyassk)です。
最近たんたんと研究しているデザインスキルについて書いてみようと思います。

目次
・なぜデザインスキルの研究をしているのか
・どうやって研究していくのか
・デザインの概念はどうなっているのか
・デザインスキルの定義
・デザインスキルにはどんなものがあるのか
・人事評価のためのツールに落とし込んでみる
・どうやって使うのか
・今後どうしていくのか


なぜデザインスキルの研究をしているのか

近年、データやAI(人工知能)を活用したビジネスが社会に浸透しつつあり、この時代の変化にともなってデザインの役割が多様化してきています。そうなるとプロジェクトに求められるデザインスキルも変わっていくので、デザインスキルを整理して、組織におけるデザイナーの人事評価(今回は個人のデザインスキルの習熟度の評価にフォーカスしています)、教育プログラム、キャリア形成のための指標などに活かせると良いなと思い研究をはじめました。

どうやって研究していくのか

まず、「デザインスキル」とは何なのかがあいまいなので、この研究における「デザインスキル」を定義するために、デザインの概念がどう変わってきているのかを整理します。
次に、整理したデザインの概念をもとにデザインスキルについて調査していきます。ある程度調査したらいったん人事評価やキャリア形成のためのツールに落とし込んでみて、その後プロトタイピングを繰り返しブラッシュアップしていきます。

デザインの概念はどうなっているのか

デザインの定義、デザインの種類、デザインのプロセスの観点からデザインの概念を整理してみました。

経済産業省・特許庁から出された『「デザイン経営」宣言』では、デザイン経営はブランドとイノベーションを通じて、企業の産業競争力に寄与するとしてデザインの効果について書かれています。
ジョン・マエダさんが発表した『Design in Tech Report 2018』では、デザインには「クラシカルデザイン」「デザイン思考」「コンピュテーショナルデザイン」の3つの種類があり、コンピュテーショナルデザイナーは3つのデザインすべてを使用すると述べられています。
D.A.ノーマンさんは『誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論』で、「ダブルダイヤモンドモデル」と「HCD(Human Centered Design:人間中心デザイン)」がデザイン思考の道具であると述べています。ダブルダイヤモンドモデルは、問題発見と問題解決のフェーズで発散と収束を行うプロセスをモデル化したものです。

この研究では、スタイリングやビジュアルを表現するためのデザインを狭義のデザイン、ブランドとイノベーションを通じて企業の産業競争力に寄与する経営のデザインを広義のデザインと定義します。

デザインスキルの定義

デザインの概念の整理に基づいて、今回の研究ではデザインスキルを「企業の産業競争力を向上させるためにデザインを活用する能力」と定義します。

デザインスキルにはどんなものがあるのか

文献などでデザインスキルを調査していくと、以下のようなものが考えられそうです。要素がけっこう細かくなっているかもしれません。

構想力
構想力は構想を実践するまでの試行錯誤をやり抜いていく力で、人間の根源的な能力です。

コアとなるデザインスキル
主にブランディング、コンピュテーショナルデザイン、人間中心デザインのために必要なスキルです。

その他のスキル
その他にテクニカルコミュニケーション、デザイン思考などの導入推進、プロジェクトマネジメントのスキルがあります。

人事評価のためのツールに落とし込んでみる

スキルの数が多いと人事評価のためのツールに落とし込むのが難しいので、スキルを集約していきます。スキルの分類の仕方は一つではないし、組織の中で全員が同じスキルを持つ必要もないので、いったんいくつかのデザイナーのパターンごとに必要なスキルを定義してみます。

デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド』を参考にしながら、今回は6段階のキャリアレベルの中で「(デジタル)プロダクトデザイナー」「コミュニケーションデザイナー」「UXリサーチャー」「デザイン(プログラム)マネージャー」「コンピュテーショナルデザイナー」という分類で、デザイナーのパターンごとに各キャリアレベルでのスキルの習熟度を3段階(1:サポートがあればできる・2:一人でできる・3:教えられる)で視覚化してみます。

例えば、キャリアレベル2でプロダクトの外観から情報構造までを重視する(デジタル)プロダクトデザイナーのスキルを視覚化するとこんなイメージになります。デザインの階層のどの範囲を志向するかによってデザインスキルも変わってきます。

人事評価のためのツールとしては、デザイナーのパターンごとのキャリアレベルに対するスキルの習熟度を視覚化した「デザイナーパターンシート各スキルについての説明を記載した「デザインスキルシートというものをつくっています。これらのツールは企業によってアレンジする前提で活用することを想定しています。

どうやって使うのか

企業によって評価の仕方は違いますが、例えば以下のようなステップで使います。

1. 必要なスキルを設定する
評価される人が「デザイナーパターンシート」から自分に一番近いと思うパターンを選び、「デザインスキルシート」で各スキルがどんなスキルなのかを確認しながら、必要に応じてスキルを追加、変更して、評価する人とすり合わせます。

2. 現状のスキルを診断する
評価される人が「デザインスキルシート」で現状の自分のスキルの習熟度を自己診断した後に、評価する人とすり合わせます。

3. 目標を設定する
評価される人が「デザインスキルシート」で目標とするキャリアレベルにおけるスキルの習熟度を設定した後に、評価する人とすり合わせることで、どのスキルの習熟度を上げればキャリアレベルが上がるのかがわかりやすくなります。

今後どうしていくのか

今後は「デザイナーパターンシート」や「デザインスキルシート」をいろいろな方に使っていただきながらブラッシュアップしていきたいなと思っているので、よろしければご活用ください。
評価する人にとっても評価される人にとっても、何か参考になれば幸いです。

ご意見やフィードバックをいただけるとうれしいです。
ありがとうございました。


参考文献

「デザイン経営」宣言
Design in Tech Report 2018
・『誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
・『デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド
・『構想力の方法論
・『デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール
HCD専門資格コンピタンスマップ(2018年度版)
・『続・発想法 KJ法の展開と応用

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Toshiya Sasaki

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