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アーティスト・イン・レジデンスのイベントに行ってきました。

2月7日、元明倫小学校・京都芸術センターで行われたRes Artis Meeting 2019に行ってきました。

今年のテーマは『アーティストインレジデンスの再想像』。想像すらついていなかった私にとっては何周も回っているテーマです。
英語は読めるが聴き取れない&話せないという典型的ジャパニーズの私は、今秋よりKAGANHOTELが始まるということに危機感と高揚感を持ちながらの参加となりました。全英語!日本人参加者の方が少なくて事務所と同じ学区内にこのような場所が存在することが本当に夢のようで、脳内鳥瞰図ではマンション広告の光の柱のようなものが会場に差し込んでいました。
一言一句逃すことしかできない中、スライド&メモをとらせてもらいながら存在することだけで精一杯だったのですが、1ヶ月経ち、せっかくの機会をもらっての参加だったので、記録を残しておこうと思います。
自分用のメモとして撮らせてもらった写真のため鮮明ではないこと、また、メモ内容が全く役立たないことをご了承いただける方のみご覧ください。
間違いを発見された方、追加情報をお持ちの方は是非ご指導ください!


2日目最初のセッションはRes Artis運営委員Jean-Baptiste Joly氏による『AIR の新類型』についてのビデオプレゼンテーションです。

現在、1525のレジデンスがあり、56%がヨーロッパ、24%が北アメリカ、11%がアジア、4.5%が中南米、2.5%がアフリカ、2%がオセアニアです。
2016年以降、Res Artisに登録したレジデンスは560あり中南米、オセアニアがその9%を占めるようになってきました。

アーティストインレジデンスの始まりは1666年のローマから、と言われています。アーティストのコロニーとしては1889年のWorpswede、1907年のMc Dowell Colony、1911年のHellerauなどが挙げられます。
the recurrent presence of visual arts …?!(視覚芸術再発の現れということでしょうか。教えてくださいえらい人)
レジデンスとは、アーティストに建物・土地・村・都市に紐付いた場所と時間を提供するものをさします。

Res Artisに登録されたものでいうと、都市型が33%、田舎型が44%、郊外型が6%で、アーティストラン型(アーティストが運営する形態)が40%、インディペンデント型(独立採算型?アーティストランも一部含まれていますね)が51%です。

60年代、70年代から学ぶこと。自分がスライドを訳しているだけだということに気が付いたので今後目次的なもののみに注力していこうと思います。

90年代の流行について。

Res Artisも90年代前半から。

ダイバーシティ化で、いくつかの対立軸を見いだすことができます。

他にもこんなものが。

交換の観点で考える。

レジデンスのニュージェネレーションは、美術館・ギャラリー・シアター・ホテル・大学などの既存の文化プログラムを支援または補完するもので、登録されているレジデンスのうち19%がそれに当たり、そのうち80%が2000年以降に登場したものです。
KAGANHOTELはアーティストインレジデンスをより意義深いものにするためにホテル機能をつけた企画なので、支援・補完の関係が逆だけれども、統計的に捉えるとこの世代に当てはまるということですな。
(あまりにブレブレだったので補完しました。コンセプトがじゃなくて写真がね!!)

産業やニューテクノロジーとリンクしたかなり新しいレジデンスも誕生しています。

アーティストはそのような提携から何を得るか。

マイクロレジデンスについて。これは他のプログラムでも今回大きく取り上げられていたテーマです。

アーティストインレジデンスのこれから。
過去・今・これからという時間軸を持って話を進めてくださったので、レジデンスの「レ」も知らないがこれからを共にしようとする私たちにとってとても意義深いセッションでした。

次はペチャクチャプレゼンテーションです。世界中のレジデンスから「我こそは!」な発表をしてくださいます。
「ペチャクチャ」は「ペチャクチャナイト」からの引用だとは知っていたのですが、今やプレゼンテーションの形式の一つとまで定義されているようでびっくりしました。

様々な形式のレジデンスがあるとは聞いていたものの、なんとしょっぱなから船上のアーティストインレジデンスのプレゼン。イマジネーションと船酔いが入り乱れそうで良い!!

日本からは松戸のPARADISE AIR。パチンコ屋の上の元ラブホテルを改装したレジデンスで、まちづくり界隈でも有名な場所です。ずっと行きたいと思っていたところだったので話を聞けて良かった!素敵なプレゼンだったのに登壇者&スライド写せていないので、お話聞く機会があれば是非直接!

その後も多様なプレゼンテーションが繰り広げられる…

建物そのものだけでなく、どうエリアに存在し、世界に存在するのかが表現されているプレゼンテーションが心にキました。

個人的にはこういう組織図あるとわかりやすいしワクワクする。

その後お昼ご飯会場に分かれるのですが、なんと参加費にランチチケットもついており、各お店に行くと世界中の同志たちがランチトークできるという仕組みです。


実は私は京都芸術センターの学区の町内会に入っていて、徒歩5分のところに事務所があります。今回は行きつけの『ととや』がランチ会場でした。
私の前の席に座っていたタイのキュレーターが日本語も話せ、隣の台湾のアーティスト&キュレーターを紹介してくれました。私の隣には山口県のレジデンス運営の方が座られて、私の日常の中に非日常が混ぜ込まれ、とても不思議な体験でした…!

ランチが終わると3グループに分かれ、ワークショップが開始します。私は『新進 AIR のためのレザルティスワークショップ』に参加しました。
全く英語がわからない中でしたが、お隣に座っていらっしゃったスタッフさんに助けてもらいながら参加することができました。
レザルティスコーディネーターで、イランでレジデンスを運営するMaryam Bagheri氏と、運営委員でシンガポールのアーティストのVincent Liew氏が講師です。
レジデンスを始めるにあたって必要なフレームワークを中心に話してもらい、その後実際に架空のレジデンスを皆で想定するというワークをしました。

フレームワークの話がとてもためになったので、これは本当に運営者全員で受けたかった…!
①目的や未来どうありたいか明確にしてミッション・ビジョン・バリューを混合せずステートメント化すること、②どのような組織形態を選択するのかということ、③条例・④ビジネスプラン・⑤プログラムづくりのこと、⑥起こりうる試練(challenge)についてとその克服方法 が中心のお話だったかと思います。
めっちゃ役立ちそうなResidency Handbookの存在についても教えてもらいました。来てなかったら絶対私見つけられなかったよ…。

その後場所が代わり、突然のTea Ceremonyへ。
気軽に立ち飲みスタイルで話す形式の会かと気を抜いていたら、全然心の準備をしていないまま突然アートの世界に飛び込むことになります。

アコースティックギターを弾く柴田聡子氏の歌をマイクを通して聴くところから始まり、その場で解かれたアナログテープがその場でデジタル化されていく行程を耳にしながら、目の前では宇宙服のような、放射線を回避するような服を着た人たちが、石灰の入った茶碗を石油でできたプラスチックにゆっくりと時間をかけて飲ませていきます。(※全て私が勝手に感じたことです。アートに関する記事を初めて書くとので悩みましたが、発言しないと黒歴史も何も始まらないので残すことにしました。)

その横にゴジラの第2形態のような動きでプロジェクターを背中にのせ這い蹲るメンバーを率いた(どっちが主語か難しい) contact Gonzoが、会場全体をスクリーンにして動き回ります。次元を行き来するのが忙しい。


その横ではバレンタイン前&お茶席前にふさわしそうな甘ったるいチョコレートで再構築された絵画が巨大なプリンターから提供されていました。

もう5ー10年近く会っていなかった知人が何人か演者として存在していて、当時どのような活動をしているのか、言葉でしかわかっていなかったことを目の当たりどころか体当たりすることになり、衝撃的な時間となりました。
1時間弱実験芸術の中に入った後、今度もまた心の準備をしないまま移動してしまいました。

72畳の間が突然現れ、英語ぺらぺらのおばあちゃまたちがお茶を出してくれます。


よくよく見ると真ん中に、先ほどの部屋で制作されていた作品と思われるものが真ん中にどーんと。…!!金氏徹平さんの作品でした…。勉強不足情けないでござる…。

お茶を出されている時には緊張していた海外の方々も、茶碗回収後には茶道や茶道具に興味津々。

茶会の後、フィンランドのTaru Elving氏、Irmeli Kokko氏から編著『現代のアーティスト・イン・レジデンス-時間と場所を取り戻す-』についてのプレゼンテーション。
アーティストとアートエコシステムの関係における AIR の役割を考えた本とのこと。


本当に素敵な会で、何より世界中にわざわざ日本に来てイベント参加するほどアーティストインレジデンスのことを本気で考えている人たちがいる、ということがわかり、繋がり、参加して本当に良かったです。
中村政人さん、そもそもRes Artisを知らなかった私にイベントのことを教えてくださり、更には英語ができないからと渋っていた私の背中を押してくださって本当にありがとうございました。
『自分が大人になった頃にはほんやくコンニャクができるはずだから大丈夫!』と謎の自信を持って大人になったことを後悔した一日でした。
KAGANHOTELオープンに向けて英語も諸々の勉強・準備も頑張るぞー!!

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