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相談を受けたときに気を付けていること

カウンセリングというかコーチングみたいなことをやっているのですが、ここで僕が人の相談を受けたときに気を付けていることを書いていきます。

アドバイスしない

一つ目は、「アドバイスしない」です。絶対にアドバイスしないというわけではないのですが、話を聞いている時に、すぐに思いつくようなアドバイスは、相談者は既に試していて効果がなかったか、その状況では使えないことが多いからです。

そしてなにより、「こういうアドバイスしよう」という思考が頭を占めている時、すでに相手の話を聞けなくなっているからです。

「アドバイスしよう」と思う時、相談者に対して劣等感を無意識に抱いている可能性があります。え? 相談する方ではなく、相談される側が劣等感を持つの?と思うかもしれませんが、これがあるんですよね。

その劣等感を埋め合わせるために、アドバイスすることで自分のほうが優位に立っていると証明しようとするのです。

人は短所によってではなく、長所によってこそ悩む。

先ほどのと関連してきますが、悩む人というのは、弱いから劣っているから悩むのではなく、優れているところがあるからこそ悩むものです。

人は短所によってではなく、長所によってこそ悩む。
(その長所を無意識に感じ取っているからこそ、相談される側が劣等感を持ったり嫉妬したりするのです。)

この話をするときには炭鉱のカナリヤの例え話をよくします。

今は違うのかもしれませんが、昔は炭鉱や鉱山で穴を掘り進めるときに、小鳥のカナリヤを鳥かごに入れて、一緒に入っていきました。

どうしてかというと、洞窟内で空気が薄くなったり、有毒なガスが出てきた場合にそのカナリヤがまず反応して、倒れたりします。それを見て、人間もこのままだとマズい!となって避難をはじめます。

空気の変化に一番初めに反応するのがカナリヤなんですね。カナリヤが先に倒れるのは弱いという見方ができるのかもしれませんが、人間よりも何倍も繊細に空気の変化を察知できるわけです。
人間は鈍感なのです。

悩んでいる人は、悩んでいない人が感じていないことを感じられたり、考えられないことを考えることができたりするから悩むのです。

人間関係を大事にしている人だからこそ、人間関係に悩みます。
人をはじめから大切に思っていない人は、人間関係で悩んだりしません。

「この人は、私に見えていないことが見えているからこそ悩んでいるのだ」という姿勢で相談者の話を聞くとき、いままでとは違うものが見えてきます。

先入観に気づく

HSPだからなのか、単にたくさん人を見たからなのかはわかりませんが、その人の所作でなんとなくの人となりだったり、悩みのポイントがわかります。

例えば、カフェで待ち合わせだとして、先に席に着いて待っていて、相手の人がお店に入ってきて店員さんとどう接しているか、入り口から席までの歩き方だったり、座るまでの一連の動作がその人をよく表しています。

こうやって感じ取ったことを「そうだ」と決めつけるのではなく、先入観としてこう思ったけど実際どうなのかな?と問いかけながら話を聞ききます。

変な占い師や霊能者みたいに、「あなたはこうなのよ!」とは言いません。

同意しない。共感しない。

「同意」「共感」は人によって定義が違うので、それぞれがどういうことなのかの説明しませんが、相談者の話に対して「私もそう思う」とか「わかる。わかる。」と言うことだったり、相談者と一体になって嘆いたり、憤ったりすることを言います。

なぜそういうことをしないのか。一つは、相談者と一体になってしまうと、異なる視点を失うことになってしまうので、その悩みから抜け出すヒントがわからなくなってしまうというのがあります。それに「共感」と思っていても、実際には相談者に対して過去の自分を投影しているだけだったりします。

安易な同意や共感は、相手をステレオタイプなものとして見ている時におこりやすいので、相談者は自分のことをちゃんと聞いてもらえてないと思い、それ以上のことを話そうとは思えなくなります。

もう一つの理由は、悩むことの苦しみというのは「自分だけが苦しんでいる」という「孤独感」が大きいのですが、同意や共感してもらうことで一時的なつながり感を得ることができ、孤独感を忘れることができます。

その時は良いのですが、その一時的な「つながり感」がもたらす高揚感を得るために、繰り返し悩みを持ち続け、人からの同意・共感を求め続けてしまうおそれがあります。

これは自助グループなどでも陥る可能性があり、悩みや問題を話している自分を他者に受け入れてもらえると、それが心地よく、悩みを話している自分こそが本当の自分で、悩みの無い自分は嘘の自分のように感じるようになってしまい、変化することが難しくなってしまうのです。

理解するよう努める

では、同意もせず、共感しないとしたらどうするのか?というと、理解するように努めます。

相談者が、どのようなきっかけで悩むようになったのか、その心の推移や、そう考えるに至った過程を聞き、理解するように努めます。

極端にいうと、「私はあなたとは違う考えを持っているし、そう感じたりはしないけど、あなたがその考えや気持に至ったのは理解できる」という所を目指すということです。

最後の手段

これは、上記のすべてに関わってくるポイントなのですが、
「相談者は、ありとあらゆることを試してもダメで、本当に本当の最後の手段として私のところに相談に来た」という仮定で話を聞くということ。

ありとあらゆることを試してその後に来たと思っていれば、安易なアドバイスをしようとはしませんし、安易な共感や同意もしようとは思わないでしょう。

こまごまとした小手指のテクニックではなくて、根本の姿勢を意識するだけで見えてくるものがあります。





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