自己肯定感とナルシシズムは違う。

自己肯定感について書かれている文章とか読んでいると、あれ?これ勘違いしてない?とおもうことがあります。

それは、自己肯定感とナルシシズムを混同していること。

実際には、自己肯定感とナルシシズムって真逆というか、

カレン・ホーナイが「他者からの拒絶の傷に対する防衛として自己愛が生じる」というように、
健全な自己肯定感が持てないと、ナルシシズムの傾向がでてくるように思います。

ナルシシズムの特徴としては、
・人より優れていると信じている
・自分の業績や能力を誇張する
・常に称賛を期待する
・自分は特別であると信じている
・人を利用する
・他人を嫉妬し、また、他人に嫉妬されていると思い込む
・非現実的な目標を定める
・容易に傷つき、拒否されたと感じる

僕の視点では、社会的に有名になったり、ネットで話題になる人は、
自己肯定感が高い人というより、むしろ自己愛の強い人だなという感じがします。

水面に映った自分に恋をしたナルキッソス

ナルシシズムの語源は、ギリシャ神話に出てくるナルキッソスという人物に由来します。ナルキッソスは水面に映った自分の姿に恋をします。

この由来のように、ナルシシズムをもつ人は、本当の自分ではなく、心に映っている自分の姿=セルフイメージに恋をしています

本当の自分のことは否定していて(自己肯定感が低い)、それを補完するかのようにセルフイメージを膨らませているのです。

自信があるようにみえても、実際にはそのようなイメージを保つための振る舞いでしかないわけです。そして、そのイメージを崩すようなことは認めないため、他人の感情などを無視します。

ネガティブなナルシシスト?

ナルシシズムというと、他人より優位に立ちたい人という印象があるかもしれませんが、一見自信がなく、他人の言動に傷つきやすく、すぐに嫌われたのではないかという思う人も、ナルシシストだったりします。

「他人はいつも自分を嫌う」と思っていたり、
他人が自分の期待通りに振る舞わない時に、自分が何かしたから嫌われたのだと思うのも、ナルシシズムの現れ方の1つ。

「常に称賛を期待する」のとは逆に、常に嫌われることを期待(予測)しています。

「嫌われる自分」というセルフイメージに恋しているので、そのイメージを壊すようなことは認められません。

他人が信頼や好意をよせてくれても、「そんなのウソ」「いつかは裏切る」と言って、他人を認めようとしないのです。

他人の態度に対して、常に「嫌われるようなことしたのかな」と考えるのも、本人の感情(や、その人の判断)を確認することもなく、他人は自分の考える通りに振る舞うものだと思っているからで、自分の言動のみが他人の行動に影響を与えているという優越感がそこにはあります。

結局、自己肯定感て?

じゃあ、自己肯定感て何?ということになると思いますが、僕の視点でいうと、

・自分のことを好きか、嫌いかあまり気にしていない。
・自分に自信がある/なしは、自己肯定感とは関係がない。
・自分をそのまま見れる。

自分のことを好きか、嫌いか、自信があるか、ないか、というのは、常にセルフイメージの話であって、本当の自分とは無関係なんですよね。

もちろん、自分のことを好きで、自信があったほうが気分はいいのかもしれませんが、それが人生にうまく機能するかどうかは別です。

パイロットの試験には落ちたけど、操縦する自信だけはある人の飛行機には乗りたくありませんし(過去にこういう事件あったような……)。

自分をそのまま見れる。というのは、セルフイメージだったり、他人からの投影に左右されずに自分を見れるということです。

「ありのままの自分」なんて言葉もありますが、「ありのままの自分」といったときに思い浮かべる自分は、大抵自分そのままではなく、「私ってこうだよな」というセルフイメージです。

何かに失敗しても、「ダメな自分」というセルフイメージに逃げるのではなく、「ああ、失敗したな」と見て、「次はどうする?」と考えられることです。

究極の自己肯定感て、セルフイメージが消えることではないかと思います。
それって、いわゆる「悟り」ですけど。

まあ、そこまでいかなくても、「今、自分を見ている?それともセルフイメージを見ている?」と気にかけたいですね。

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