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詩作集・天網恢恢

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この世界はみんなで見ている夢にすぎない。そこを出発点として。
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記事一覧

[ことのは]激流の果てが

[ことのは]激流の果てが

激流の果てが断崖絶壁の滝となっていることを予想できても、あえてその激流下りの興奮を選ぶ。
それも一つの人生だ。
人類の歴史がどのような道行きを辿るかは、誰にも分からぬことではあるが、その結末が滝壺に落下してほとんど全滅、ということになるにせよ、とにかく今を精一杯、いやそんな言葉はやめよう、つまり、とにかく今を味わいつくして、俺は生きることにするのだ。 #ふと思ったこと #ことのは

思うままに土を耕し種を蒔け

思うままに土を耕し種を蒔け

土遊びが好きです。

汚れるのはいやで、泥んこも苦手だけど、ほかほかすっくりした土と戯れていたい。

小さな移植ごてや、大きな鍬(くわ)で、さっくりざっくり、土を掘るのもいい。

よく研いだ鎌で、しゅぱっと草を刈るのも最高。

そんなわけでぼくは今日も、心の園を耕し、魂の種を蒔き続けるのです。
#茫洋亭日乗
#bug_bug_here

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曇天の成田から青空を抜けて福岡へ│写真詩

曇天の成田から青空を抜けて福岡へ│写真詩

曇天の成田から福岡へ向かう
飛行機が窓側の席で薄い雲を
抜けたら青空だったものでね

目をいたわってやりますかと
イヌイット式サングラスをば
紙切り抜いて試作したらばよ

.
.
.
.

余りにヤバくなっちったから
やっとの思いで笑いをこらえ
自撮後に笑い転げましたとさ
#茫洋流浪

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#9 祭りのあと、天竺に魂をしずめて

#9 祭りのあと、天竺に魂をしずめて

きみは魂を沈めるのか、鎮めるのか。それとも静めるのか。

心は硝子(ガラス)の器にあふれる濁り水のようなもので。

そっと静かに置いておけば、水を濁らせていた泥は器の底に沈んで、きみの落ち着かぬ心はやがて鎮められてゆき、少しずつ透き通り、いつの間にか澄み渡り、そして体の隅々までも良気が満ち渡る、そうだ、しみじみと高気が冴え拡がる。

扉の向こう、窓の向こうには、眩しいほどの曇天の下に駐車場として使

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[随想詩] 言の葉のさざ波立って風涼し

[随想詩] 言の葉のさざ波立って風涼し

そうです、これはある類型の、
絶対的に言葉には写しえない、
この身のうちにまさに今この瞬間やどっている、
不可思議奇妙な気分についての、

そもそも言葉というものは、
この世界で生じる現象の、
不完全な写像(マッピング)にしかすぎないのですから、
いくら地図をよく読み解いて、
そこに描かれているすべてを頭に入れて、
そのすべての相関関係にまで思いを至らしめたとしても、

所詮地図は地図でしかなく、

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[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

[随想詩] 自己充足と相互承認としての世界

数学の世界の初めに空集合があるように、宇宙の初めには無限小の一点があり、空集合がゼロから初めてイチ、ニ、サンと無限への階段を歩み続けるときに、宇宙は一挙に爆発して素粒子の踊りを始める。

渾沌の玄妙空無なる道(タオ)から生まれいでたぼくたちは、不可思議な個別性を背負って旅に出ることになった。

個体という容れ物の中に臓器と魂を収めて、やがて訪れる死という次の旅立ちのときまでを、浮き世でヤドカリのご

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[随想詩] リトミックどデカダンス

心の波打ちを止める意識の特異点を身につけよ。

心の蔵の脈打ちを止める秘法を身につけよ。

存在の生滅のちらつきが消え去る彼方からの視点で世界を見よ。

ええつまり、そういうことなんです。
いつもそういうことだったんです。
なのに気づいたときには巻き込まれてしまってるんですよね。
だからこれからもやっぱりそれしかないのかな。
それはそれでいいと覚悟を決めればいいのかな。

ポカホンタスにぽかりと本

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[208 湧出詩] 鵺の鳴くころ、秘密めいた泉で

それはぼくだって、幸せになりたいさ。結局はそれだけのことだろ。

遠い星から送られてくる思考の連鎖に、即興の形を与えてやることができれば、心は少しばかり落ち着いて、闇の中、静かに踊り始める。

それでぼくは、今日もこうして無為の時を過ごし、それが徒食であれ自然であれ、とにかくそいつを絶対的に肯定してしまうことで、目の端ににじむ涙を成仏させる、大海原へと向かうガンガーの流れへと合流させる。

放り出

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終わらない夏休みの唄

終わらない夏休みの唄

何かが生まれてこようとしています。

この世界の片隅で。
あなたの心の奥底で。
全宇宙のど真ん中で。

涸れることのない泉がそこにはいつもあるのです。

この世界が存在する限り。
あなたが生きている限り。
全宇宙の寿命が尽きるまで。

だからあなたは。

何もしなくていいのです。
何にもならなくていいのです。
何かのために生きるのではないのです。

あなたは生まれてきたのです。
あなたは育ってきた

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3.11+3.11i

3.11+3.11i

今日しか書けないことがある
だから今日書く

今ここで感じていることを
今ここで書く

生きる苦しみも喜びも
すぺて書く

あの日の絶望を忘れずに
あすへの希望を書く

今日は書けないことがある
だから今日は書かない

今ここで感じていることなど
言葉にできるわけがない

生きる苦しみも喜びも
味わうしかない

あの日の絶望を手放して
あすへの希望を忘れて

実在に虚在を足し合わせたとき
真実が現

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[投げ銭夢想詩]闇と光の語り歌

[投げ銭夢想詩]闇と光の語り歌

空はどこまでも蒼く澄みわたり
乾いた風が心地よく肌を
撫でていたのに今は

優しい霧が目の前にどこからか
気づく間もなく立ちこめて
頬にひんやりと口づけする

闇に包まれてもはや
左も右も分からぬどころか
上下の感覚すら失い果てて

途方に暮れる異邦にたたずむ
四方を見渡す絶望が溢れる
いつものゴールで目に水溜めて

流れた水は砂漠の片隅に
ささやかな溜まりを作り
旅人をもてなした

そしてきみは

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投げ銭短詩:確率と解釈としての世界

投げ銭短詩:確率と解釈としての世界

人に与えられる幸運と悪運の総量は

かなりの部分が確率的に決まる

前世でいいことをしたから良く生まれ

前世で悪いことをしたから悪く生まれる

そんなふうに素朴に感じられる感性の

持ち合わせはない

だからこそ悪運に見舞われる人生を

祝福するのだ

悪運を乗り越える力があればお前は

幸運だけの生ぬるい人生を送っている誰よりも

強くなれる

強くなって他の誰も知らない高みにまで達する

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天竺幻想

天竺幻想

ぼくの言葉はひらひら
風に乗ってどこまでも
空高く雲の高みにまで
成層圏を越えて真空の
息すらできない漆黒へ
荒々しい空虚の律動で
きみの名前を叫ぶのだ

優しさに溢れる響きは
決して誰にも聞えない
だから安心してられる
直に言葉は飛び去って
時空の果の特異点へと
飛び込みここへ戻る時
幻の巷に涙を注ぐのだ

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