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[詩][全文無料]ぼくのわびさびタイム

もうすぐ夜が明けます
バスのクラクションがときどき聞こえます
インドはラジャスタン州
梵天さんの聖地プシュカルにいます

レノンとディランのわびさびが
ぼくの心を打ったのです
それでぼくはこうして
あふれ出てくる言葉を綴るのです

ねえあなたは愛とか平和とか
世間の人たちが笑いものにする言葉を
笑ったりしないでしょ

手紙でそう訊かれたことがあります
はたちの頃の話です
その女の子のことが少しばかり
好きだったのです

愛とか平和とかいう言葉を
笑いものにはしないという自信の
持ち合わせはありませんでした

世間を斜めに見て傷つきやすい自我を
守ることに汲々としていたぼくには
彼女の素直さはまぶしすぎたのです

すなおに平和を歌うジョン・レノンは
そんなに好きではありませんでした
ポールと一緒に実験をしている頃のジョンが
若い頃のぼくには沁みていたのです

今日ぼくはレノンに
わびさびを教わりました
ディランからもたくさんの間を
教わりたいと思います

ちっぽけな地球の上で
人は今日もいがみ合い
殺し合いを続けています

殺しのライセンスなど
どこにもありはしないのに
仮想のバッジをつけたぼくたちは

自分で自分の胸に輝く銀の弾丸を
いつ打ち込んでやろうかと
虎視眈々狙っているのです

願わくばその白金の矢が
ぼくらのエゴを貫いて
新しい地平が開けますように

愛とか平和とか侘びとか寂びとかが
ぼくらの世界を満たしてくれますように

そしていつも自分の愚かさを
忘れずにいられますように

遠くにディーゼル車の
エンジンのうなりを聞きながらぼくは
冷たい指先でひとり祈りを綴るのです

[初出: はてなブログ (こうのすけさんの記事にきっかけをもらって)]

[写真は西インド・ラジャスタン州・アジュメルのアダイ・ディン・カ・ジョンプラ]

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