[全文無料: 完全自由散文] ぼくはビーサンが好きなわけじゃなくて

[約1,200文字、400字詰め3枚ほど]

昔の職場の先輩に年中ビーサンを履いてる人がいました。

その先輩に「ビーサンが一番楽でしょ」と言われたんだけど、ちょっと違うんだよな。

今もインドの安宿で、部屋の中ではビーサン履いてます。床が大理石張りで冷えるから、裸足だとちょっと冷たくて。

でもあんまりいいビーサンてないんだよね。だから部屋履きにはビーサンで十分なんだけど、外では違うものを履くことも多い。

ていっても結局はぞうりなんだ。だって靴は窮屈すぎるからね。それで今はビニール張りの雪駄を履いてる。しばらく前に浅草のデパートで母に買ってもらったやつでね。お盆だったかお彼岸だったか、母方の祖父母の墓参りに行ったとき、そのついでに買ってもらったんだ。

親孝行なんてなんにもできてないけど、そうやって母の用事に付き合うのがせめてもの孝行のつもりでさ。

結婚式でも葬式でも、ほんとは素足にぞうり履きで済ませたい。ほんとにそれで済ませちゃってもいいんだけど、少しくらいは世間に合わせてもいいよなって思うようになったのは、三十過ぎてからかな。

そういうぼくは、とうに五十を過ぎたのに未だにヒッピーもどきの暮らしを続けてる。我ながらようやるわと思うんだけど、やろうと思ってやってるというよりは、これしかできないってことなんだよね。

多分このまま行くところまで行くんでしょう。

そうすると、がん箱に入るときも、ぞうり履きがいいかな。ていうか、普通は何を履いてるんだろ、何も履いてなくて棺桶に履物を入れるのか。じゃあ、そのとき用にガンジー・サンダルでも買っておくか。

木で作ってあってさ、足の親指と人差し指で挟むように鼻緒の代わりに棒が立ってるんだよ。履きこなす自信がないから買ったことないんだけど、最後の旅路用に一足持っといてもいいよね。

人間どうせいつかは死ぬんだから、そのときのことを考えといて悪いことはないでしょ。

ビーサン履いて雨の日にすってんころりんあの世行き、なんてことにならないように、せいぜい気をつけますよ。

それじゃーみなさん、ナマステジーっ。

[2018.10. 西インド・ラジャスタン州、プシュカルにて]

☆なお、この作品は、
Yutaka Kano さんの『実験的即興詩 「玄関」』
https://note.mu/yutaka_kano/n/n37be8171ab6a
に想を得て創作しました。

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今日も楽しくおすごしください。
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としべえ2.0β

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