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夏のリゾートに冬に行ったこと あるいは インドの思い出。

2011年の夏に日本を出て、奥さんと二人しばらくインドをうろうろしていた。
コルカタ、バラナシ、プシュカルと来て、マウント・アブーに行くことにした。
年が明けて2012年の正月のことだった。

インドの夏は暑い。
戸川純の歌に「隣の印度人」というのがあって「日本の夏は蒸すけど涼しい」と歌っている。日本の夏は蒸すから暑いんだけどな、と昔思ったが、インドで乾いた四十度を知ると、その意味が分かる。

そのように暑い国なので、インドでお金のある人は、暑い時期にはヒル・ステーションと呼ばれる避暑地に向かう。西のラジャスタン州で唯一のヒル・ステーションがマウント・アブーである。

高級リゾートというイメージがあったので、安宿を泊まり歩いている自分たちには向かないかとも思ったのだが、lonley planet で見ると年末年始を外せば、安く泊まれる宿もありそうだったので行ってみることにした。

砂漠の入り口であるプシュカルから行くと、マウント・アブーのひんやりとした山の空気は心地よかった。東京辺りに住んでいたぼくからすると、冬にスキーに行って、のどにやさしい冷気を味わうのに似た感じだった。

そこで泊まった宿の部屋がなかなかふるっていた。
三階建ての建物の屋上に、三面ガラス張りの部屋。絶景である。

ところが……、というか、ちょっと考えれば当たり前のことなのだが、その部屋は夜になると猛烈に寒い。
三面ガラス張りの上にプレハブの安普請で、隙間風が入り放題。一晩目は凍えて死ぬかと思った。……というのは大袈裟にしても本当に寒い。あるだけ服を着込んで寝るのだが、それでも毛布のなか体が暖まるまで時間がかかり、なかなか寝つけないのだ。

しかしながら、人間の慣れというのも相当なもので、昼間は日がよく当たって暖かいし、なにしろ眺めはいいし、山にキャンプにでも行っているつもりでいれば、実に素晴らしい環境なのだからと、結局その部屋でひと月ほど過ごした。

一日だけだが、夜のうちから雨が降り、朝起きると部屋の中に霧が立ち込めていたときがあって、そのときはかなりこたえた。なにしろ暖房のひとつもないんです。昼ごろようやく日が照ったときには、お天道さまのありがたさが見に染みましたよ。

madokajee の猿の写真 ( https://note.mu/madoka_jee/n/n4942d19e51ea ) を見てインドが懐かしくなり、ちょっと書いてみました。

[写真はその宿の屋上で朝、のびをするわたし]

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