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長編連載小説『サンキュー』第850話。

 俺も、夏の間は、朝倉市図書館で仕事をすることがあっても、基本的には、自宅のリビングにパソコンを置いていて、そこで、原稿を打っていた。確かに、疲れる。それに、前川家は、手入れしないと、荒れ放題になるのだ。俺には、その事実が、痛いほど分かっていた。映子は、さっき帰ってきて、自室で寝ているようだった。俺も、仕事が始まれば、遠慮なく、手を下す。ミステリーを書くのは、実際、難しい。縛りがあって、作品が成立するからだ。俺にも、十分分かっていた。俺には、作家一本で立つという、夢がある。そう先のこととも、思ってない。現実的に、俺の住む福岡県朝倉市にも、プロの作家はいた。単に、俺が、そういった連中と、個人的な付き合いがないというだけで……。(以下次号)

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