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機材遍歴(ギターで使ってたマルチ編)


前回に引き続き誰得機材遍歴です。
ここからは実質剛健、ロマンのないマルチエフェクター編です。

TC ELECTRONIC
NOVA SYSTEM


21歳ごろに営業バンドでギターを弾くことになり、
いよいよマルチを購入することにした僕。
オールドな音作りが求められそうだが、
手持ちのコンパクトでカバーしきるのは無理そうだった。
それまでマルチエフェクターは操作が難しそう、という理由で敬遠しており弾いたことはあってもメインで使ったことはなかった。
マルチとやらは音もペラいとか、デジタル臭いとか色々言われてるじゃないか。
不安が募る中、今後のことも踏まえた機材投資を思案した。
今だったらコンパクトでもマルチでも地に足がついた機材コーディネートができると思う。
当時はとにかく分からないなりに自分で調べてやってみるしかなかった。
ネットで色々調べて、
レビューやらなにやら自分なりに信頼できそうに思えるところを参考に購入に至ったのがコレでした。

ざっくり前評判としては、
・デジタル臭くない
・空間系に定評がある
・歪みセクションはアナログ

良さそう。同メーカーのコンプをベースで使ってたからバイパス音も何となく知ってた。
今思うと悪手でしかないが、割と高額なのに
前評判だけで試奏もせずネットで購入した。

結論から言うと、
僕には全然合いませんでした…。

まずこれはマルチなんですが、
近年のマルチとしては音色は少ないです。
むしろそれが売りみたいなところがあって、
「使うか使わないか分からない音色たくさんあるより、厳選された音色がいくつかある方がいいよね!」
ってコンセプトみたいでした。

これは僕も非常に同意です。
使い方がわからないもの、また使う予定があるか無いか分からないものならば、
ない方が気が楽で良いです。

とはいえ、

歪みの音色2種類のみ

は攻め過ぎてると思う。

デフォルトの設定だと、
まず地を揺るがすほど爆音。
そして籠っていて低音回りまくりです。
どのジャンルでも聞いたことのない音色がお見舞いされます。

これが、アナログ回路と息巻いてた音か…
しかし、歪みはもう一種類あります。
さっきのやつのゲインちょっと高めのやつがもう一種あります。

以上です。


それなりの価格帯のマルチエフェクターを買って、歪みがこの二つだったら絶望しませんか。
歪みはコンパクトを別に用意する前提だよ、って人ももちろんいますが、
全部一括でマルチで事足りるようにしたいよーって人だって多いはず。
だってせっかくマルチ使うならそれだけで済ませたいじゃないですか。
機材設置と撤去の作業が簡略化されて、
配線トラブルから解放されたいじゃないですか。

初マルチにトラウマを植え付けられ、
心の傷も癒えぬまま何とか使える音色にして現場投入。
ライブは普通の音だったと思う。
でも普通の音にするためにめっちゃ変な設定にしてた。
このエフェクターを使って養われたのは現場力だと思う。
人生は配られたカードで勝負するしかない、
というある意味大事なことを教わったと思う。

空間系は正直あんまり覚えてないです。
使用頻度が低かったのもありますが、
おお!って印象はなかったです。
あと大きな懸念点としてはエフェクターの順番を変えれないのです。
これは結構大きいと思う。
どっちが先だったか忘れましたが、
コンプのセクションと、歪みのセクションの接続順が固定って僕は不便に感じます。
コンプが後段だったら歪みの値によってコンプへの入力が変わってしまうという…
ルーティングの変更がワンタッチなのはマルチの大きなアドバンテージですよね。
同年代のコンパクトな低価格マルチでもそれは出来てたから技術的に無理だったわけじゃなくて敢えて実装しなかったんだと思う。

ハードの部分で言うと…
形が結構クセがあります。
高さがあってエフェクターボードに収まらないんですよね。だからと言ってそこまで踏みやすくもないという。
ありとあらゆる部分が謎だ…。
仕様が非常にトンチンカンで、

僕にとってはかゆいところだけ手が届かない

という悲しい一品となってしまいました。
こんだけ言っておいてなんですが、
今になって思えば割と玄人向けだったと感じる。
一台で全て賄いたい人が買う初マルチとしてはハードルが高く、当時の僕には使いこなせませんでした。

とりあえず買っとけ!的なマルチエフェクターとして使うには妙に機能が絞られてるので、

歪みはコンパクトエフェクターやアンプの音作りで完結してるが、空間系やモジュレーション系は1つのペダルで一元化したい

って人には良いかもしれない。

コンパクトエフェクターとの併用が吉かも。
一個めからかなり長くなってしまったので、
次に参ります。

ZOOM G3


これはめっちゃ使った。


これぞマルチ!って見た目。
ペダル付きの機種もあります。
僕は画像のスイッチのみの方でした。
今だったらペダル付き買います。

印象としては、
前述のnovaの真逆で、
痒いところのみ手が届く。

操作もめっちゃシンプルで分かりやすく、
奇を衒った構造もありません。
普通にエフェクターの並びも変えられます。
歪みはあーこれね、って分かりやすいやつの羅列。
ん?ってやつも散見するが、
許容範囲内。
おまけ程度にルーパーも付いてます。
バランスアウトもあるからそのまま卓にも送れるのは個人的にとても便利。
エレアコ使う人ならDI兼EQ的な使い方でもいいと思う。
アコギもエレキも両方使う現場でもサイズ感からして丁度いい。
ちょっと脱線しますが、
DIアウトってギター向け機材でももっと付いてていいと思う。
やってた営業バンドは、
全体の音量感が一般的なバンドと比べると小さかったため、当時の僕には必要なアウトプットでした。
アンプで上げるより、卓で一元化して全体のバランスを整えよう、という音作りだったからですね。
この辺の全体のバランス感はめっちゃ勉強になりました。

zoomってこの辺の割り切りめっちゃ優秀です。
無理にハイエンド機に追随せず、
シンプルである強みをとことん活かす。
一番すごいな、と思ったのは操作しててストレスがないんですよね。
とりあえず、一旦こうなってくれ!ってところにすぐ辿り着く。
エフェクトに関してはおおよそ一通り入ってます。飛び道具も分かりやすくガッツリかかります。
これ意外と重宝します。
必要だけど、汎用性低いエフェクトってそのためだけに買いたくないですよね。
それだけでもマルチってありがたい存在です。
とにかく、使いやすいし迷わない。
安いのに、本当に便利です。
レッスンでどれ買ったら良いですかね?って聞かれたらとりあえずこの価格帯のzoom勧めると思う。

ZOOM MS-100BT


コンパクトサイズのマルチ。
オンオフできるのは1種類だけど、
1つのパッチで最大6つまでエフェクターつなげます。
入出力がステレオ対応なのも地味に良い。
リバーブがないミキサーのセンドリターンに繋いで空間系として使ってる人もいました。
内部のエフェクターは前述G3と多分同じ。
コンパクトエフェクターで組まれたボードに一台仕込んでおけば欲しい音色が急に増えた場合も対応できる。
サイズ感も相まって非常に便利。
これのベースバージョンも持ってますが、
EQとかコンプとかザッと入れておいて、
ライブはこれ一台、とかで全然使えました。これはBluetooth対応バージョンでアプリ経由でエディットできた…はず。
ハードでしか操作しなかったのでその機能は
使いませんでした。

LINE6 POD HD500X


1台で全部済ませようと思ったらこれはとても便利だった。

ペダルボードモードとプリセットモードを切り替えられて、個別にエフェクターのon offをするか、決まったルーティングを呼び出すか、ってので切り替えられます。

エディットは毎回思い出しながらやってた。
直感的にやってたら若干つまづいた印象。
PCに繋いだ方が細かく設定できたけど、
PCのドライバとの相性なのか、
プリセットが保存できてなかったり、
リネーム出来なかったり、全部消えちゃったり、なかなか苦心しました。
MacのOSを古いバージョンのまま使ってたのもあると思いますが、そのへんの苦手意識は
最後まで拭えず。
アンシミュはなかなか優秀で、
スピーカーのマイクの距離とかも選べたような。宅録の時はプラグインで音作ってたのであんまり使ってませんでしたが、
今でも全然普通に使えると思う。

これはもう使わないかな、って思って手放してしまったんですが、
直後ぐらいにあれば良かった、って仕事が色々あり普通に手放したのを後悔してます。
音も良かった。
最初に買うマルチがこれだったら多分想定通りの使い方ができていたと思う。
今は後述のHX Stompを使用しているので
余計思うんですが、やっぱデカかろうとスイッチが多いのは便利です。
僕はそんなに音色を使い分ける方ではないですが、
それでも場面によっては一つの設定でゴリ押しだとキツイな〜って場面もありました。

ただ、
LINE6の純正アダプタが何故か壊れまくるんですよね…周りで同機種使ってる人からそこまで同じ話聞かないんでハズレ引いてるのかなんなのか。
割と大事に扱う方なので使い方で壊れてるとは思いたくないものの。

強いて言うならそれぐらい。
メインで使わなくなっても手元に置いておいていいやつだと思う。

LINE6 hx stomp

割ともう古いのに謎に値上がりしてるマルチ。
これに限らず最近は機材値上がり傾向にあるけど、なんかこれは特に感じる。

スイッチが増えて6つぐらいエフェクトにアサインできるXLというモデルも後続で出てます。

1台で完結させるならそっちでいいと思うけど、
値段的になかなかお高いので、
頑張ってHELIX買う方がいい気もする。
10万ぐらい違いますが…

ただ、hx stompも今85,000円ぐらいなので、
痛し痒しですね…。
小さいから安い、というわけでもないので使用環境に応じて買うのが良いと思う。
ボードに組み込むマルチとしてはとても良いサイズ感。
MIDIでコントロールできるので、
スイッチャーがあれば離れた位置に敷設しても問題なし。

肝心の音ですが、歪みとかはかなり解像度が良くなったと思う。
フラッグシップモデルのHELIXにも同じ音が入ってます。
エディットできる項目が増えており、
歪みの質感に対して細かくパラメータが振られてますが、違いが分かりにくいので、
デッカい音で比較しないと意味ないかも。

ちなみにベースでもこのペダルを使用してます。
センドリターンもついており、内部でルーティングが組めるので、外部プリアンプを繋いでオンオフしたりもできます。
サンズアンプはエディット項目にMiddle付いてるのがありがたい。
僕はMiddleがない世代のやつ使ってました。
入力も2系統あるのでシンセベースや、ウッドベースも繋いで出力を一元化してます。
入力それぞれに対してルーティングできるので、
音量や質感を揃えて出力できます。
入口と出口が豊富な機材はそれだけでめっちゃ助かりますね。拡張性があるとPA送りまで想定してセッティングできるので…

大きな特徴でいうと、
snapshotという機能です。
ざっくり言うと、
ペダルの値を記憶しておいて、
ワンアクションで音切れなくその設定に変更できるいう機能です。

プリセットモードとどう違うのか、
と言うと、
単純なペダルのオンオフだけじゃなくて
「同じペダルだけど、違う設定」というのをアサインできるんですね。
なので、歪み1個に対してクランチの設定とリードの設定を同じパッチ内で使い分けられる。
全部のペダルの「今の状態」を記憶して呼び出す機能です。
なので歪みだけじゃなく全部のペダルでこれが使えるという。

これはディレイとか特に良いですよね。
ショートディレイとロングディレイを使い分けたい、って場面とかめっちゃ簡単だと思う。

エディットも簡単で、HDよりも雰囲気でいけます。
ただ、エディットできる項目が意味がぱっと見で分からないやつが多い。
アンプセクションの「Hum」と「Ripple」は何回マニュアル読んでも意味が分からない。

『ヒーターハムとACリプルとトーンとが相互に作用する量をコントロールします。設定が高いと、不気味な雰囲気になります。』


これ、誰か教えて下さい…

ギターで使う場合、hx stompのみだと高確率でスイッチが足りません。
最大で三つですが、
その設定にするとチューナーモードにならないのでストンプモードで使ってる時の実質同時稼働は2つ。
これだけで成立させるより、
他のペダルと併用が使いやすいと思う。
オールインワンで使うなら先述のモデルが良いかもです。

以上です。
いかがだったでしょうか。
後半ほど思い出がやはり薄いですね。
思い出なのか不平不満なのか微妙ですが…

僕はそれなりに機材好きではあるものの、いじれるところが多過ぎてもなかなか活用し切れないので、多機能!ってだけではない自分にフィットしたものを常に探してます。
この辺の塩梅が難しいですよね。

金をかけりゃ良いってもんじゃない、って言いますが、
機材に関して言えば金をかければ得られる効果は確かです。
とは言え、結局いい演奏をする方がずっと大事なわけで…その為のツールでしかないと言ってしまえばそれまでなんですが、
やっぱりあーでもないこーでもないと考えあぐねて自分の音を作っていくのも楽しい訳です。

ベースになると、
もはや1周して何も繋がないのが一番良いんじゃねえか…って時期も定期的にきます。
それはそれで正解だと思ってます。

多分、今後もその辺はアップデートし続けていくんだと思いますが、最新はこんな感じです。

また色々気になってる機材もあるので、
そのうちまた書くかもです。

駄文長文失礼しました。🙇

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