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20歳の私がメットライフドームに人生を拓いてもらった日




※この記事は筆者が2017年9月9日に初めてメットライフドーム(当時)を訪れた際の記録であり、特段大きな出来事は起こりません。何なら野球の話もほとんどしていません
※写真多め、サイズ不揃いのため見づらくなっていますがご容赦ください




・メットライフドームを目指すまで



・東海地方に生まれ、ドアラが好きな母親とたまに野球中継を観ている父親の元で育った私。2014年頃から野球好きの友人の影響を受け、まんまと野球の世界に没入。2015年のプロ野球があまりに面白く、中日ドラゴンズだけでなく他球団やパ・リーグにも興味を持つように。その中でも特に気になった球団が埼玉西武ライオンズでした。



・ライオンズに関しての最初の知識は『俺達』。正直強いチームの印象はなく、なんかちょっとむさ苦しくて打撃のいい選手が多い?くらいのイメージでした。ただその印象こそがドラゴンズとはギャップがあるように感じて、興味をひかれたのかもしれません。



・そして2017年。20歳になり地元で就職をした私は、すっかり所沢に憧れを抱くようになっていました。翌年には山賊打線と呼ばれることになるパワーのある打線、そのむさ苦しさを引き立たせるように暑いと噂の球場、そして何より好きな選手たちがホームとしてそこに『いる』らしい……!!行ってみたい、給料もある、行ける……!?



・しかし、恥ずかしながらこの時の私は1人で遠出をするという経験がなく、東京へは友人とともに何度か旅行した程度。名古屋まで行くことは度々あったものの、自分の中でそのスケールの違いに戸惑い、躊躇い……。しかし、この東海地区で埼玉西武ライオンズという存在はあまりに薄く、同行してくれる知り合いがいるはずもなく……
これはもう、やっちゃおう!!
ということで、1人で初めての東京、いや埼玉への旅を決意したのでした。






・1人で新幹線に乗る



今になってみれば普通のことなのですが、初めて1人で新幹線に乗るのって結構特別な経験じゃないですか?

早朝の名古屋駅広小路口のベルマートで軽い朝食と飲み物を買い、券売機で切符を購入。改札に入ると、『あ、もう行くんだ』という実感がムクムクと湧いてきます。
新幹線ホームの一番端(自由席1~3号車のエリア)まで歩きながら、人混みの中に立ち食いきしめん屋を見て『いつか食べたいけど今じゃないな』と思ったり。(これは現在も同じですが)

名古屋という地を後にする寂しさと、ワクワク感。自由席空いてるかなあというソワソワ感。新幹線が到着して、飛び乗るような感覚。初めての旅立ちってやっぱり輝いて見えるものです。
(余談ですが、私はこの経験からアニメ『宇宙よりも遠い場所』第1話終盤でめちゃめちゃ泣いてしまいました)



そして席に着いて一息。新幹線が動き出すと流れる東海道線のアナウンス。次の停車駅は、新横浜。さらば名古屋!


池袋まで行くための乗車券と特急券の2枚の切符
(未だに都内行きの切符の仕組みがよく分かっていません)


新幹線は順調に進み、長い静岡を抜け、気付けば新横浜に。私はいつも『そういや富士山見なかったな』と思っています。意欲が足りない。


そうして初めて降り立った地、品川
デカいのは予想していましたが、とにかく人が多い!
田舎者からすると名古屋でもじゅうぶんなのですが、品川駅はどの通路を歩いていてもずっと人が多い。外国人もめっちゃいる。
看板の案内を見ながら人とぶつからないよう気を張りつつ、山手線ホームまでただ無心で歩く。何故だかちょっと早歩きになっちゃいながら歩く。

そして数分間隔で来るわりに満員率が高くて怖い山手線に乗り込み、池袋で下車。
池袋のやたらモワモワする構内を抜け、西武池袋線へ。

きれいな改札に入り緩やかな坂を少し登ると、すぐにホームへ出るのですが……


栗山巧選手


もういる!!!!


東京都なのにもういるんだ……!?

西武グループ、西武鉄道のことはもちろん知っていましたが、まだ埼玉にも入ってないのにいいの……!?ここから電車でまだ40分とかあるのに……!?という気持ちに。ありがたや、ありがたやと写真を撮り電車に乗り込むと、車内アナウンスもしっかりライオンズでした。

そうしてしばらく電車に揺られた後、西所沢で一度乗り換え。普段名城線でナゴヤドームに行く民からするとかなりわかりやすい乗り換えにほっとひと安心。時間を問わなければ池袋から乗り換えなしでも行けて、非常にありがたい。親会社さまさまですね。
(西所沢駅、ライオンズフェスティバル時期等はホームに選手パネルが沢山出ていて素敵です)

気付けばこの辺りから一気に景色が田舎っぽく、山っぽく変化。車内には陽も射し、池袋から出発したとは思えないような落ち着きに。これは個人的な感覚かもしれませんが、知らない土地の田舎を電車で走ると妙に『異世界に来た』感があってドキドキします。楽しい。



そして待つこと数分、西武球場前駅に到着!!

気持ちが逸るあまりこの時は駅の写真を撮り損ねました。



自宅から4時間ちょっと、ようやく旅の目的地に到着です。



・荷物を預けたい



初めての一人旅に感慨もひとしおですが、入場を急ぎます。事前に調べて知ったのですが、メットライフドームにはコインロッカーがありません。荷物預かりサービスもありません。(どうやら現在もそうらしい)
多分多くの人は池袋等の大きめな駅から来て帰るので、その駅のコインロッカーを使うのだと思われます。
しかしドーム近くに全くないというわけではなく、西武球場前駅改札内に少しはあります。つまり、荷物を預けて駅を出たら回収のためには改札内に入場する必要があるんですね。私はこの日改札内に戻る予定はなかったのですが、色々な手間を考えた結果ここを利用しました。そこそこレトロな感じのロッカーですが、かなり埋まるイメージがあります。


無事コインロッカーに荷物を預け、改札を出て……


2017年9月9日当時の駅前広場



メットライフドームだ〜〜!!


突如現れた銀色のでっかい物体に興奮を隠しきれず、というか改札を出ると隔てるものなくドームがボン!とあるので、急に誕生日ケーキを出されたみたいなリアクションになってしまいます。

近すぎる。人間のパワーを感じられてとてもいい。
(現在はゲートがリニューアルしていて、より近くシュッとした感じになっています)




ついに来ちゃったな〜〜と浮き足立ちながら駅前広場をウロウロしていると、大きな選手パネルが!!撮影スポットだ〜〜と興奮しつつ、自分がソロであることを思い出し大人しくパネルのみ撮影。単独行動の切なさを感じ、そそくさと退散。ソロで他人に撮影依頼はハードルが高すぎる……


お気付きとは思いますがこの記事は現在触れにくい選手が多数登場します


当時はグッズショップがドームの奥側にあり(獅子ビル)、浮かれた私は全く気付かず……ドーム前に小さいグッズ売り場がいくつかあったのでそこで満足しちゃった。

そしてそのグッズ売り場の手前に、目的のひとつである『球弁』のコーナーがありました。ライオンズの球弁は選手プロデュースのお弁当が多種多様に揃っており、クオリティーもしっかりしているので安定感が凄いです。推し選手の弁当が微妙……という悲しい思いをすることはまずありません。
入場時間にソワソワしながら、無事推し選手のお弁当をゲットすることができました。


お気付きとは思いますが



・いよいよドーム入場!


2017年当時は入場列が一塁側と三塁側の二手に分かれていました。普段ナゴヤドームに通っている身からすると、そのシンプルさにびっくり……!(現在はゲート1つになりました。すごすぎる)ドーム初心者は特にゲートや通路といった概念が苦手なので、これは本当にありがたかった。
人の流れに沿って進み、手荷物検査を受けて場内へ。


一塁側外野後方


野球場に来たぞ〜〜


これはどこの球場でもそうなのですが、球場に入って視界がばっと開いた瞬間って本当にドキドキしますよね。
メットライフドームは壁がないので、向こう側の屋外に生えている樹木まで見通すことができます。球場の大きさがよりリアルに感じられる気がして、個人的にはとても好き。でっかいな〜〜今からみんなここで野球観るんだなあ。


柱で屋根を支える、壁のない設計


壁がなくて、木が近い。外に見えるは山……奥のホームベース側に向かってコンコースが傾斜になっていて、登山をしているような自然と人工物のライブ感……!プロ野球のスタジアムとして不思議すぎる……
(改修前は座席から桜が見れたりもしました。今でこそ間近の樹木は減りましたが、自然共生感はしっかり健在です)


山の中腹程度まで登り、階段を下り、やっとこさ購入した座席に到着です。長旅と登山の疲れを癒すため、とりあえずビール。ひとりで乾杯!

一塁側内野席(外野寄り)を選びました

球場で飲むビール、あらゆるものからの解放を感じられるとともに、毎日車を運転する自分からすると『覚悟を決める』感じがしてとても沁みます。

今日はこの地に泊まるぞ、1人で!



・今回の目的たち


さて、西武ファンの方からすると「西武の応援に来たのに一塁(ビジター)側、それも外野寄りの席を選んだの?」と不思議に思われそうですが、これには完全に個人的な都合がありました。
私は西武ライオンズを贔屓にしていますが、他球団にも好きな選手がいるめちゃめちゃミーハーなオタクだったのです。
今回は日本ハムファイターズの投手が見れたらラッキーだな、という気持ちから一塁側のブルペン近くを選びました。(結果外野の投手村も見ることができました)せっかくの初遠征、できるだけ多くを持ち帰りたい……!


そんな私がこの日の試合を選んだ理由がもうひとつ。それが『ダイヤのAコラボデー』です。今でこそプロ野球球団とアニメのコラボ企画は多数ありますが、当時はまだ『パ・リーグは柔軟に色々やってるな〜』みたいな印象だったように思います。セ・リーグに比べるとお硬さがない、それもパ・リーグに興味を唆られたきっかけだったかもしれません。


試合開始も近くなってきたところで、コラボ企画がスタート。バックスクリーンに見慣れたキャラクターのイラストや声優さん達が映り、それなりにアニメや漫画に触れてきた私にとっては『見知ったものがある安心感』のような感情が。まさか埼玉に来て、森久保さん(声優)の始球式を見ることになるとは……という謎の感慨も。中学生の頃の自分に教えたらびっくりするだろうなあ。



投手名の右にPって書いてあるとアイマスみたいだな
等どうでもいいことも考えていました




・試合開始


そしてついに試合がスタート。この日の先発多和田投手の登場曲であるスピッツの渚が流れ、そのライブ感に胸が高鳴ります。
テレビやスマホで見ていた選手たちがそこに『居て』、『眼の前の空間で野球をしている』事実が、本当に凄い。外野寄りだったのでホームは遠かったですが、応援歌を生で聴ける喜びも相まって気分は最高潮に。ああ、やっぱり来てよかった〜!


試合自体は正直両チームめちゃめちゃ貧打でまったりとした進行だったため、応援歌をひとしきり聴いた後はお弁当を食べ、ビールを飲み一息。長旅の疲れもありぼんやりと試合を見ていました。ぼんやり見れるのも野球の良いところなので……



・メットライフドームといえば


ぼんやりと試合を見ていた私ですが、ここでふと我に返ります。

暑いな……と。

やっと地に足がつき冷静になったところで、メットライフドームの洗礼を体感。9月でも暑いのは重々知っていましたが、思っていた以上に湿度が高い。私はお酒を飲んでいたので、より体感的に蒸し暑く、身体の怠さを感じるように……。


これはいかん、とコンコースへ繰り出すことにしました。メットライフドームはすり鉢状になっているので、階段を登ると少し風を感じられ空気がリフレッシュできます。

お腹はさほど空いていないけど、何かガソリンになるものを入れよう!



光成のダブルチョコバナナ(髙橋光成投手プロデュースメニュー)
ライオンズヘルメットソフト(抹茶)



興味のあった選手メニューと、この時期収集していた球場グルメ用ヘルメットのソフトクリームを選択。甘くて冷たいもので身体を癒やしました。

今でこそ #獅子まんま で有名な球場ですが、このタグが使われだしたのはどうやら翌年のことのようです。それでも球場グルメの美味しさは名高かったので色々食べたい気持ちがありつつ、お弁当を食べたことや体調も相まって今回はここまでに。
(私は翌年から熱中症対策に武蔵野うどんを食べまくるようになったのですが、その話はまたいつか……)



ソフトクリームを食べながら少しグラウンドに寄って目をやると、躍動する選手や応援するファンの姿が眼下に広がります。さらに、反対側のコンコースの売店に行列ができてるなとか、陽が傾いてきたな、なんてことも分かります。



選手と売店が同時に見れるって、不思議すぎる。
なんかこの景色、すっっごい良い……!!



多くの球場はコンコースに出てしまうとグラウンドと別空間になるため、個人的に少しさみしく感じたり、焦ったりしていました。そのためメットライフドームのこの『地続きな感覚』は本当に新鮮で、私のツボに見事にハマったのです。
(※長時間の立ち見はNGです)




そうしてまったりと観戦しているうちに試合が終了。
結果は日ハムレアードのホームラン1点のみというまさしく貧打の日でしたが、4番山川のマルチ安打や大谷のDH出場などワクワクできる場面もあり楽しい観戦になりました。個人的にはメヒアの応援歌を聴けただけで大満足だったので、何ら不満はありません。


試合時間2時間40分の投手戦でした


ライオンズが負けてしまったため大きな演出もなくふんわりと閉幕。寂しさを感じながら球場を後にする準備をしていると……



芝生の上で思い思いに過ごすファンたち


グラウンドに降りれました



そんな気軽にいいの……!?


グラウンド開放自体は多くの球場で時折開催されているのですが、メットライフドームは予告もなくなんか普通のことみたいにやってました
ほとんどの日程で、チケットの種類を問わず観客全員が参加できるそうです。現在もフィールドウォークはしょっちゅうやっているので、初めて行くという方は是非参加してみてください。芝生に触れたりゆっくり写真を撮ったりすることができ、早々に追い出されることはありません。

というのも、西武球場前駅は試合終了後めちゃめちゃ混雑するので、そのピークを避けるためにもまったりしていくファンが多いみたいです。試合終了後のイベント企画が多いのはこの影響が少なからずあるのかもしれませんね。



球場を出たのに座席が見えるという不思議


そして、フィールドウォーク後はバックスクリーンの下が通路として開放されるのでコンコースに戻ることなくそのまま球場の外に出ることができます。合理的かつ他球場にはない仕組みで面白すぎる。



日頃プロ野球観戦をする方はご存知かと思いますが、試合終了後は売店等が早々に店じまいしていきます。
メットライフドームはフィールドウォーク後本当に何もない田舎になるので、帰るしかやることがありません。


私も後ろ髪を引かれつつドームを後にして、駅で荷物を回収し宿に向かいます。さらば、メットライフドーム!



銀色の物体がやけに愛おしく見える瞬間



私は今回徒歩で行ける最寄りの某ビジネスホテルに宿泊しましたが、メットライフドーム近辺にはここしか宿がありません。飲食店もごくわずかであるものは山と湖と寺と住宅街だけなので、ほとんどの人が電車に乗って帰っていきます。
そしてその某宿もかなり競争率が高く、清潔感はありますが防音の面が少し気になりました。(1人だったら全然良いとは思いますが)
電車に乗る気力があれば、所沢や池袋に宿をとる方が気楽かもしれません。飲食にも不自由しないし……。


近辺唯一のコンビニ(ファミリーマート)で軽い夕食、おやつ、朝食を購入し、ホテルにチェックイン。初めての遠方ソロ宿泊でしたが、ホテルスタッフは朗らかな方で周囲の宿泊客も皆ライオンズファンだったので、なんとなく安心して過ごすことができました。そして今回のお部屋は……



ドームビュー!



しっかりと眼の前にドームが!

これを肴にお酒を飲んで過ごしました。
スポーツニュースの野球コーナーを観て、ここにいたぞ!と思いながら過ごす夜は本当に格別……!
デーゲームで試合終了も早かったので、かなりゆっくりできたと思います。



ひとりの寂しさはありつつも、それを上回る楽しさと満足感、幸せな思い出でいっぱいの夜になりました。




……そして朝は、近所の寺の鐘の音で起床。健康的!




・さいごに


ここまでお読み頂きありがとうございました。
今回の記事はなんてことない野球場体験記なのですが、私にとっては本当に思い出深い人生の1ページです。

まだ半分子どものようだった私が『自分は1人でもこんなに楽しく、ミスなく遠くへ旅行できるんだ!』という自己効力感を得ることができたのは、間違いなくメットライフドームの、埼玉西武ライオンズのおかげです。きっかけをくれてありがとう。
私の人生を拓いてくれて、本当にありがとう。
また何度でもそこへ行きます!


またね!






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