2019/1/7(月)日記

赤ん坊を見ると泣いてしまう。

そのことに気付かされたのは、大学2年のときだったと思う。

その頃わたしは大学で事務のバイトをしていて、ある日産休中の職員さんが生まれたばかりの赤ん坊を見せにきてくれた。

わたしは、子供は苦手だった。身近に小さい子がおらず、かつ自身も妹や弟がいなかったので、小さい子という存在にすこぶる免疫がなかったのである。

だから正直他人の子供なんか見ても可愛くねーだろ、と思っていたが、職員さんもバイト仲間も、皆が笑顔で赤ちゃんを囲むので、空気を読んでわたしもその輪の中にいた。

赤ん坊ははじめ眠っていた。そのふくふくした姿を見ても、わたしはやはり特別な感慨を憶えなかったので、正直はやく輪から抜けて今日やる分の仕事をさっさと片付けたいな、と考えていた。

しばらくニコニコしながら、かわいいねぇかわいいねぇ、お母さん似だねぇと和んでいる声を聴いて、そろそろいいかなと思った頃合で、ちょうど赤ん坊が目を覚ました。

赤ん坊ははじめは知らない人に囲まれて、きょとんとしていたが、やがてへらっとわらった。赤ん坊がわらった瞬間、皆もわらった。皆がわらった瞬間、わたしは泣いた。

今だってその理由はうまく言語化できない。けれど、ただ悲しいとか愛しいとかそんなんじゃなくて、赤ん坊の持つ、圧倒的なプラスのエネルギーが、後光のように振りまかれて、周りの人すべてに影響を与えるのだ。そのエネルギーがあまりに膨大だから、わたしの体の中のプラスエネルギー受容量を超えてしまい、結果、超えた分が涙エネルギーに変換される。例えるなら、そのイメージが一番近い。ただ、やはりそれは単純なエネルギーというわけではなく、畏敬とか浄化とか、神が持つような神聖さも確かに含まれているように思う。多分、天皇陛下とかに会ったら同じような感じになるんだろうなって思う。

そんなことをふと思い出した。

おしまい。




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