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#52 フォトジェ忍者アスカ

フォトジェニック!!

「フォトジェニック」とは一般的に写真うつりの良いもののことを言います。また「インスタ映え」とも言い、若者を中心に人気のある「Instagram」の流行に伴い広く浸透した言葉です。新語・流行語大賞で、「インスタ映え」が年間大賞を受賞したのは2017年。すでに2年ほど前の話ですが、流行が廃れるどころか今や当たり前のように飛び交う言葉となっています。

その流れから「写真映えする」ものが好まれることで生じている「フォトジェニック消費」を狙った商品やサービスも多く登場しています。「フォトジェニック」なものはそれだけ訴求力、拡散力が強いです。SNSの写真が世の中の商品の売上を左右しています。

これは今に限ったことではなく、今後も「買う(仕入れる)」ための情報源として利用が広がることが予想されます。「フォトジェニック消費」が引き起こる要素には「ネタ性」や「リア充感」も挙げられますが、なにより「写真映え」することが商品を知るきっかけ、消費するのきっかけとなっています。

食品の写真に必要なシズル感

「買いたい」と思ってもらうきっかけとして写真はとても重要な役割を持っています。しかし、一般の人たちがこれらをスタイリングやライティングのみで高レベルに表現するには限界があります。とくに食べ物。撮影だけでなく、見栄えを考えた調理までしなければなりません。

食品を美味しく見せる写真のポイントは3つあります。明るさ、色調、温度感です。これらをより高める方法として「フォトレタッチ」があります。フォトレタッチとは撮影した写真の画像の調整・修正をすることです。例えば明るさや彩度を調整したり、いらない部分を修正したり足したいものを合成したり…。

特に温度感を出すには「フォトレタッチ」の力を借りなければなりません。料理から発せられる湯気や冷気、水滴や肉汁はなかなか写真で撮るだけでは表現できません。フォトレタッチ加工ができるスマホのアプリもありますが、プロのフォトレタッチャーの手にかかれば驚くほど写真の質が変わります。うちの会社にもプロのレタッチャーがいますが、ある意味魔術師です。販売に間に合わせるために、食品のフレーバー違いや商品のカラーバリエーションをレタッチで作成するときがあります。

いわゆる「シズル感のある写真=魅力的な写真」は多くの人の目に止まります。多くの人の目に止まるということは、多くの購入見込み客との出会いがあるということです。「魅力的な写真」を使って訴求することでより多くの人に見てもらえるのです。

3分の1の法則

今は写真加工アプリが発達しているので、一般のユーザーでも魅力的な写真に加工がある程度はできるかもしれません。しかし、なかなかバランスの良い写真が撮れなくてお困りの方もいるかと思いますので、バランスのとれた写真の簡単な撮り方をご紹介したいと思います。紹介させていただくのは「3分の1の法則」です。画面を3分の1に分割する構図がバランスよく見えると言われています。

この法則は、格子状の補助線を利用して画面を構成した古くからの技法です。一般的に、この法則を使うと美しく好ましい構図ができます。画面の垂直方向と水平方向を、どちらも3分の1に分割して格子状の補助線を引いてみると9つの長方形と4つの交差する点ができます。

主要な要素は交差する点に位置づけ、垂直方向に伸びる要素は垂直線に重ね、水平方向に伸びる要素は水平線に重ねると良く見えます。言葉だけでは分かりづらいと思うので、具体例をアップしてみましょう。

超が付くほど有名な葛飾北斎の『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』でございます。写真じゃなくて申し訳ありません(汗)。この画を9分割してみると、左3分の1の2点に手前の波と奥の波が入っていて、右3分の1の下部にちょうど富士山が収まっているのが分かります。富嶽三十六景シリーズは大体富士山が4つの交差する点辺りに収まっています。

上記3点の写真は私がインスタに挙げた写真です。これらも3分の1の法則に沿って、重なる4点にメインとなる被写体が来るように撮っています。ラーメンの箸上げ、鎧武者の首級と心臓あたり、そして酒と肴。もちろん私はプロのカメラマンではないですが、こんなことに注意するだけで、いい感じの写真になるように思いませんか?

重要な要素が1つしかない場合は、この法則に合わないことがあるので、その場合は中央揃えの構図にすると効果的です。デジカメのレンズを覗くと格子状の補助線が見られると思います。スマホでも機種によっては補助線を表示させる事ができます。ちなみにiPhoneは設定→カメラでグリッドをONにすると表示させることができます。なにか撮影するときは、是非試してみてください。

実は今回のイラストもこの「3分の1の法則」に即しています。一番見せたいフォトジェ忍者を右3分の1辺りに縦に入れています。このフォトジェ忍者には実はモデルがいまして、当社スタジオのスタイリストさんです。料理系の写真撮影や動画撮影では大変お世話になっております。

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